豆の選別
お惣菜の煮豆やおつまみのピーナッツを購入したとき、
もし腐ったものやカビが生えたものが混ざっていたら、
多くの購入者はすぐに製造者か販売者にクレームをつけるでしょう。
大豆や木の実は、腐ったりカビが生えたりしないものなのではなく、そういったものが調理・加工する前に原材料から取り除かれているので、
購入段階では綺麗な商品のみが店頭に並んでいるのです。
一方、珈琲について見ると、焙煎と言う工程により豆が茶色く色づくため、そのような悪い豆が分かりにくくなってしまうことも手伝って、市販されている殆どの商品に、
本来取り除かれるべき商品価値のない珈琲豆が混入しているのが現状のようです。
仕入れた段階での珈琲生豆
混入している正常ではない豆を分類すると、
発酵豆・カビ豆・死豆・未成熟豆・
虫食い豆・割れ豆・貝殻豆、などがあり、
これらをまとめて「欠点豆」と呼んでいます。
それらの欠点豆を手作業で一粒づつ選別し、取り除いていきます。
欠点豆を取り除いた結果、良い豆だけが残り、次のステップへ進めます。
生豆の鮮度について
コーヒーは農作物であるため、多くの場合は一年に1回の収穫となります。
ただし、全世界で同じ時期に一斉収穫が行われるのではなく、国や地域によって収穫時期は変わります。
お米でも、新米・古米・古々米と区別するように、
コーヒーも「ニュークロップ」「パーストクロップ」「オールドクロップ」の3つに区別されます。
- ニュークロップ
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収穫から1年以内・当年ものの珈琲豆
含水量が高く、成分がまだあまり抜けていないため、適正な焙煎によって香り豊かなコーヒーとなる。一方、水分・油脂成分が豊富であるため焙煎は難しく、高い技術を必要とし、適正に焙煎しないと煎りムラをおこし、まとまりのない味になったり、表面は茶色く色づいていても芯まで火が通らず非常に酸っぱいコーヒーに仕上がる恐れがあり、焙煎者の技術が問われる豆である。
- パーストクロップ
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収穫から1年経過・前年ものの珈琲豆
ニュークロップと比べて含水量が低下するのに伴い、煎り上ったコーヒーの香りも落ちることは否めない。水分が抜けていることにより、煎りムラが出にくくなる分、ニュークロップに比べて焙煎が容易になる。
しかし、適正に焙煎されたニュークロップに比べると、
酸味や香りの成分が少なく、風味が一段落ちたコーヒーと言える。 - オールドクロップ
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収穫から2年以上経過した珈琲豆
含水量も著しく低下し、風味の成分が希薄になったもの。もともとコーヒーの風味を形成する諸成分が希薄であるため、どのような焙煎技術を駆使しても、香り豊かなコーヒーにはできない。
色は黄色と黄土色の中間色のようになるため、「黄金のコーヒー」などと称する人もいるが、風味の方は枯れ草のような臭いとカビ臭さが漂う。かつて日本がコーヒーの輸入国として力を持っていなかった頃は、オールドクロップしか手に入らなかった為、
現在でもオールドクロップを珍重する向きもあるが、風味豊かなニュークロップが手に入る現在、
その価値はなくなっているとも言われている。
カフェ・ヴェルディでは、
各々の産地から厳選された
風味豊かなニュークロップを使用しております。
トップグレードのニュークロップならではの、
豊かな風味をお楽しみ下さい。
欠点豆の種類
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発酵豆
生成過程で発酵層に長く浸っていたり、水洗水が汚れていた場合などの他、
山積みになって長時間経過した場合などは豆の芯まで発酵が進行する場合もある。この豆が混入しているとヨード臭を発し、腐敗臭の原因となる。
写真上は初期発酵段階のもの、下は発酵が進んだもので、
特に写真上のものは見分けがつきにくく、
ハンドピックには細心の注意が必要とされる。 -
カビ豆
乾燥が不完全であったり、移送中や保管中に湿気を帯びて
青カビや白カビが生えた豆移送中や保管中に発生してしまうことが少なくないため、
どのような高価な生豆でもハンドピックをしていないと混入の恐れがある。この豆が混入しているコーヒーは、当然のことながらカビ臭がして非常に後味が悪くなる。
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未成熟豆(ベルジ)
きちんと成熟する前に摘み取られた豆。
青い外皮が残ったものや茶色い果皮が残っている場合が多いが、
微妙な色の違いであるため判別がつけにくい。この豆が混入したコーヒーは、舌を刺すような酸味や青臭さを発する。
豆を数年寝かして「枯らす」(通称「エイジング豆」・「オールドビーンズ」)と水分が抜けて、酸臭を押さえられるため、ハンドピック作業を回避するために豆を寝かすロースターもあるが、豆を枯らすと、悪い味と共に、良い風味もなくなってしまうため、やはりきちんとハンドピックをして、新しい豆を焙煎した方が美味しいコーヒーと言える。
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虫喰い豆
ブロッカーと言う蛾の幼虫に喰われた豆。
中には虫がまだ入り込んでいる場合もある。殺虫剤を使用していないことの裏づけであることは嬉しいが、虫喰い豆の混入は、風味を落とすと同時に抽出液の汚れや濁りの原因となり、場合によっては異臭を放つこともある。
ブルーマウンテン(ジャマイカ)は非常に混入比率が高い。
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割れ豆・貝殻豆
乾燥ムラや移送中の衝撃によってわれた豆。
貝殻豆は、乾燥ムラの他、異常交配でも発生する。煎りムラの原因となり、この豆が混入したコーヒーは微妙に苦味が強くなり、
味の安定度を下げる。 -
パーチメント
コーヒー豆の果肉を内側から覆う内果皮が残った状態のもの。
水洗式の精製方法をとっている生産国(地域)で混入することがる。火通りが悪くなり、芯が生焼けの焙煎になるためエグミや渋味の原因となるのみならず、焙煎中にこの皮に火がついて燃え上がることもありる。
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コッコ
水洗式の精製方法を採用している生産国(地域)では、まず混入していないが、
自然乾燥式の精製時に果肉が残ってしまったり、
脱穀不足の場合に混入する恐れがある。コッコが混入したコーヒーは、ヨード臭や土臭さが発生し、アンモニアのような匂いを発する。