珈琲専門店を営業していると、時折コーヒーについての蘊蓄を語りたいお客様がいらっしゃいます。
私と蘊蓄を語りたいのであれば、それはそれで良いのですが、中には私に「コーヒーのことを教えてあげよう」というスタンスでご来店になる方もいらっしゃったり。
私も、実際にコーヒーの全てを知っているわけではないので、コーヒーの産地に長くいらっしゃって、コーヒーの仕事に携わっていた方から現地の情報などをお話しいただければ、学ぶところも多く、情報の更新ができて有難いことですし、もっといろいろと教えて頂きたいと思うのです。
反面、他の店であまり正確ではない情報を聞きかじったことや、そうとう昔の常識を話してこられることもあり、そんなときはお客様のおっしゃることを頭から否定することもできないし、だからと言って肯定してしまうと「ヴェルディのマスターもこう言っていた」と他で言われたら困ってしまうし・・・
しかし、私と一対一で話している分には、なんとかお客様を否定することなく、上手く回避して正確な情報をお伝えするよう考えられるのですが、一番困るのは、一緒にご来店になった方に、コーヒーについての誤った蘊蓄をお話になっていて、その会話を私に振ってこられることなのです。
目の前でお話されているので、耳には入ってくるのですが、明らかに間違っていることを得意げにご友人に話されていて、それを私に「そうだよね、マスター」と言ってこられたら、私としては本当に困ってしまうのです。
2年ほど前のことなので、もう時効と言うことで例を挙げるなら、「コーヒーの生産量の1位はコロンビアで、その次はどこか知ってる?」と友人に訊かれたお客様、そのご友人は「ブルーマウンテンじゃないの?」とのおこたえだったので、これは私は絶対に会話に参加してはいけないやつだと思って、さっと焙煎室へ逃げようとした瞬間、「いや、2位はインドネシアなんだよ、ね、マスター」と振ってこられてしまったのです。
ちなみに、1位はブラジルで、2位はロブスタを合わせればベトナム、アラビカだけならコロンビアというのが正解。
2位についてだけ言えば、昔は確かにインドネシアがロブスタのシェアトップだったので、「以前はインドネシアがロブスタ種のシェアトップだったので、生産量も多かったのですが、実は、最近インドネシアはベトナムに抜かれちゃったんですよ」と言ったら、あまり傷を深くせずに済むものの、1位がコロンビアと言うのは、どうにも迂回して返答することができず・・・
結局ウソは言えないので「すみません、1位はブラジルで、2位はベトナムなんです。最近インドネシアもベトナムに抜かされちゃったんですよ」と言ったら、「そうそう、ブラジルを忘れとったわ」と笑ってくださったので事なきを得たのですが、コロンビアはベトナムよりも生産量が低いということは、あえて触れずにおきました。
そんな経験から、目の前でお連れ様とコーヒー談義をされていて、かつ情報が正確ではなさそうな時は、しれっとカウンターから離れるか、慌ただしいときは、せかせかと抽出しているフリをして、会話が耳に入っていないように見せかけるようにしています。
そんなわけで、もしカウンターでお連れ様とコーヒーについてお話されているとき、私がサッと焙煎室などへ行ってしまったら、今自分が話している内容が、実は間違っているかもしれない(本当に用事があってカウンターからいなくなることもあるので、必ずとは言えませんが)、と思って頂ければ幸いです。








