自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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珈琲のことなど

1000円の壁

2025年3月25日 

昨日は、下鴨店が定休日だったので、私も月曜日はお休み。

なので、北白川へ行くことになるのだが、下鴨にいると開店準備から閉店後まで、昼食をとる余裕すらなく、気が付いたら午後9時とか10時なので、商談だとか打ち合わせなどは、どうしても休みの日の月曜日にまとめてすることになる。

ご多分に漏れず、昨日も10時からZOOMでのミーティングがあり、午後一には生豆を扱う業者さんが来店。

その合間に髙島屋用の豆の焙煎をしつつ、生豆業者さんとの話が終わったら、髙島屋へ豆の配達へ行き、戻ったら商品の写真撮影。

をしている間に、この春のアルバイト募集をお願いする会社の担当者が来店。

結局休みの日も息つく間もなく一日が過ぎていくのだが、それでも北白川だと、さっとお昼ご飯を食べる程度の時間は作れるから、まだお休み気分が味わえるかも。

そんなわけで、比較的のんびりと過ごした月曜が終わり、火曜日の下鴨店。

この土日は、なかなか慌ただしかったので、やらねばならない仕込みが山ほどあったのだが、今朝は落ち着いていたので、パートのスタッフにはそれら仕込みをしっかりとやってもらい、私は今日焙煎する豆のハンドピック。

なんだかのんびりしているなぁ・・・と思っていたら、いきなり12名のご来店。

10時半に、12名様分の席が空いていること自体は、けっこうヤバイ状況なのだが、いきなり大ピークが訪れて、一気に活気づく下鴨店。

その後もお客様が途切れることなく、なんだか午後は春爛漫という雰囲気の店内だった。

と、ここまでは前置きで、ここからが本題。

ラーメン屋さんから、よく「1000円の壁」という言葉を聞く。

ラーメン一杯1000円を超えるというのは、ちょっと・・・という発想なのだが、ヴェルディ的にもコーヒー豆100gにおいて1000円の壁というものがある。

原価的には、本当なら1200円くらいで売りたいものの、やはりコーヒー100gに1000円以上出して頂くのは、心が痛む。

なので、ギリギリのところで1000円を超えないよう頑張っているのだが、最近オープンした自家焙煎店などは、平気で1000円以上の値段をつけているし、コーヒー一杯カップで飲むにしても、平気で800円とか1000円とかメニューに書かれている。

実際、ヴェルディでも本当ならそのくらい頂戴しないと、経営は安定しないのだが、やはりコーヒー一杯に800円以上をつけることや、豆100gに1000円以上をつけることは、長年ご愛顧下さっているお客様のことを考えると、どうしても踏み込めない領域。

そんなことを考えていたら、先日の夜に今年の仕入れのことで打ち合わせをしていた生豆商社の社長も、生豆の卸価格をしっかりと会社を経営できる価格にしようとしたら、販売先のロースターさんの顔が頭に浮かび、なかなか価格を決められない。といったことをおっしゃっていた。

本当に10年前と比べたら、ブラジル・サントスNo.2なんかは4~5倍の値段になっているし、エチオピアもほぼ2倍、コロンビアでも1.8倍程度になっている。

10年前と同じ原価率で販売しようと思ったら、100gを1500円~2000円で売らないと、かなり厳しいことになってしまうのだが、その値段でヴェルディが販売している豆って、ブルーマウンテンかお酒風味の豆くらいなもの。

一方で、通販関係の広告会社の方と話をしていたとき、私が本来なら1200円以上の値段を付けたいけど、やはり1000円の壁があって・・・と言ったところ、「そうやって本来あるべき原価率で価格をつけた会社は、本当に2倍近く値上げをして、客数は4割ほど減ったものの、売価が2倍になったので、結果的に売り上げは伸びているので、ヴェルディさんも思い切って1000円の壁を突破したらどうです?」と言われた。

本当に、これはもう究極の選択なのだが、やはり私的には1000円の壁は超えられない。

1000円の壁をぶちやぶって営業を続けるか、もういっそのことコーヒーというものに見切りをつけるか。なんてことも脳裏を横切る。

けっこうお客様からは気軽に「コーヒーの値段上がっていて大変だね」と声をかけられるのだが、実は本当にシャレにならない現在のコーヒー生豆価格。

長く自家焙煎を続けている人ほど、私と同じ悩みを持っているように思いつつ、今日はこの春からヴェルディで働きたいと言っている人と面談をしたのだが、コーヒーについて、深く学びたいので、私の元で働きたいと言ってくれる眼前の若者に向かって「でも、今のコーヒー業界の状況からすると、うちで働くのは、泥船に乗ることになるかもしれないよ」と、冗談抜きで言わずにはいられなかった。

新品種

2025年1月16日 

メキシコ・アナエロビックは、おかげさまでご好評の中残り本当に僅かになっており、髙島屋S.C.店ではすでに売り切れとなりました。

下鴨、北白川ともに残り数百グラムなので、お召し上がりになりたい方はお早めに。

そして、メキシコの次は何かというと、恐らく京都では初となる新品種がお目見え。

その名も「セラード ヴァリエダード ノヴァ

ブラジルのセラード地域で開発された新品種です。

この品種は、コーヒー2050年問題に対応すべく研究開発されたものです。

コーヒー2050年問題とは、2050年には地球温暖化の影響で、今と比べてコーヒーを栽培できる地域が半分程度になるのではないかとされている問題です。

私も視察してきた他の生産国では、だんだん標高の高いエリアが主要生産地域になっていたり、今までアラビカを作れていた低地エリアには、ロブスタの中でもグレードの高いファインロブスタに植え替えるといったことを検討している国もありました。

エチオピアなどでは、これまで2,000メートルあたりで最上級クラスだったものが、今や2,300~2,400mのエリアも主要な高度の生産エリアになっています。

しかし、ブラジルの生産エリアは標高がそんなに高くないので、高度で逃げることができません。

例えば、グァテマラの場合最上級グレードのSHBは、標高1,400m以上のものにつけられるグレードですが、ブラジルの場合標高800m以上でスペシャルティーと呼んでよいとされていて、多くの農園は最高標高エリアでも1,300m前後しかありません。

世界最大の産地ブラジルがコケたら、コーヒー市場そのものが大変なことになります。

そんなこともあり、ブラジルでは高さに逃げられないため、品種改良で何とか温暖化に立ち向かおうとしており、この新品種は量産化の目処が立った第一号となるものです。

この新品種、アラビカでもロブスタでもない母体品種である「ユーゲニオイデス」と「オバタン」という品種を掛け合わせたもの。

オバタン=(ビジャサルチ×ハイブリッドティモール)×カツアイ

ちなみに、ビジャサルチ×ハイブリッドティモール=サチモールという品種にあたり、サチモールにカツアイを掛け合わせたものがオバタンになります。

サチモール自体も、ブラジルで研究開発された品種なので、ある意味ブラジルの開発品種に、アラビカの基となったユーゲニオイデスを掛け合わせたもので、これだけこねくり回したら、どんな味になるのかと思っていたのですが、想像以上にバランスよく、非常に飲みやすいコーヒーになりました。

以前、一度この新品種を試飲したときは、焙煎度合いが中煎りあたりだったこともあってか、非常に渋みがあり、正直こんなのがコーヒーとして出てきても飲みたくないと思ったのですが。中深煎りにすることでクリアで甘みの感じられるものになりました。

北白川の山下は「パプアニューギニアに近い味」と表現していました。

そんなわけで、全くの新品種「セラード ヴァリエダード ノヴァ」が本日より通販でもお求め頂けるようになりました。

こちらも限定販売。

よろしければ、近未来のブラジル産コーヒーの風味を時代を先取りしておためしくださいませ。

品種とテロワール

2024年12月15日 

寒くなると、朝の立ち上がりが遅くなる。

開店と同時に並んでお待ちくださっているお客様が一気にご入店になるわけだが、季節が良い時なら開店と同時にほぼ満席になるところ、今日はお並びになっていたお客様は6名様のみ。

ただ、トースターは3台なので、1台にパンを2枚ずつ入れたとして、一度に焼けるのは6枚まで。

先週などは、開店と同時にお入り下さったお客様全員にトーストを提供するには2回転しなくてはならなかったが、今日は綺麗に1回転で皆様に提供できた。

そんな寒い朝の日曜日。

今日から エルサルバドル・ゲイシャ・ナチュラル を販売開始。

ただ、ゲイシャと言えば、マスカットやレモンティーのような味わいというイメージだが、エルサルバドルのものは少し質感があって、ティーライクと言うよりも少し苦みを伴った柑橘系の風味。

パナマやエチオピアのゲイシャは何度か販売しているが、どちらとも違った味わいなので、The Gesha な風味を想像されていると、ちょっと違うという感じかも。

コーヒーの味は、以下のようなことで変わってくる。

1、品種
2、産地(terroir)※ 栽培の状況や収穫も含む
3、精選方法
4、焙煎

1~3については、生産国段階での問題なので、私たち焙煎者ではどうしようもないが、4の焙煎をどうするか、というのが私たちの仕事。

一方で、焙煎で変えられるのは味のバランスと強弱であって、もともとのポテンシャル以上のものを出すことはできない。

そんな豆のポテンシャルと言っても、品種や産地で変わってくるのだが
● 産地の土壌や気候よりも品種の個性が強く出るもの
● 品種の個性より産地の土壌や気候によって大きく特徴が変わるもの

といったことがある。

で、ゲイシャ種というのは、後者の方でテロワールによって風味特性も変わってくるから面白い。

今回のエルサルバドルについては、今までに飲んできたパナマやエチオピアのゲイシャ種と同じ風味を楽しむというより、エルサルバドルで栽培されたらゲイシャ種はこんな味になる、という楽しみ方が良いかもしれない。

で、昨日焙煎して販売を開始したら、けっこうな量が売れてしまったので、今日も焙煎をして残り生豆は4キロ少々。

恐らく次の週末までは残っていないと思うので、お召し上がりになりたい方はどうぞお早めに。

焙煎度合い

2024年11月5日 

この三連休、土曜日は大雨の影響もあってか、平日並み、と言うか、平日よりもお客様が少ない一日だった。

が、日曜と月曜は一転、好天にも恵まれ開店から閉店まで多くのお客様にご来店頂き、慌ただしくも充実した連休となった。

そんな中、日曜日の朝に現在の限定珈琲であるエチオピア・ナチュラルの中深煎りは売切れて、慌てて次のインディア・中煎りを焙煎した。

翌月曜日にご来店下さったいつもお二人でおいでになる常連のお客様が、何を注文しようか迷っていらっしゃったので、インディアの中煎りと深煎りをご注文下さったら、ハーフカップでハーフ&ハーフにしますよ。と言ったところ、それに乗って下さって、同じインドの豆を中煎りと深煎りに煎り分けた2つを飲みくだべ手下さった。

中煎り
深煎り

「コーヒーの味は焙煎で変わる」と説明することは多いのだが、こうして飲み比べて頂くと、同じ豆でも中煎りと深煎りでは全く味が違ってくることを実感していただけて「これ、違う豆と言われても分からないですよ」というご感想を頂いた。

前回のエチオピアは、やはりキャラクターが強い豆だったこともあり、ベースは同じテイストで、風味が深くなっていくところをお楽しみ頂けたが、今回は本当に全く違う味わいになるところと実感して頂けるのではないかと思う。

こちらも現在の在庫がなくなり次第販売終了。

もし、ご興味のある方は、私がカウンターに立っているときにお二人でご来店下さったらハーフ&ハーフもできますので、ひと声おかけください。

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