朝から日差しは強く、夏を思わせる空ではあるが、日陰は意外と涼しくけっこう過ごしやすい。
そう言えば、パプアニューギニアも、ポートモレスビーは蒸し暑かったけど、高地にある農園は最高気温が25度前後で、日差しはあっても過ごしやすく心地よい気温だったなぁ、と、少し懐かしくなったりして・・・
.
さて、とびとびではあったが連載していたパプアニューギニアの旅行記も今日が最終回。
やっと終わると思う方もいらっしゃるかもしれないが、けっこう多くの人から「楽しく読んでます」と言って頂き、調子に乗って書き続けていた。
まぁ、ここまで書いてきたこと以外にも、面白いことやすごいこともあったが、全部書いていたら大変なことになるので、そのあたり聞きたい方は Verdi のカウンターで。
さて、マウントハーゲンでは、農園視察を中心に回ったのだが、午前中に行った修道院の農園と、カランガファクトリーは、ある意味しっかりと軌道に乗り、完成している農園であったのに対して、午後はこれから伸びていくであろう農園を回ることに。
丘の上に、建物が見えてきて、しばらくすると珈琲の木の苗を育てているエリアを通過。
農園に着いたら、民族衣装で歓迎してくれた。
先日行った部族とは、頭の飾りもメイクも衣装も違う。恐らく部族によって、微妙に違うのであろう。
この頭の飾りは、ニューギニアの国鳥である極楽鳥をイメージしているのだそうである。
続いて、この集落の精製加工場を見せてもらう。
大規模農園の工場というよりも、手作りで皆が持ち寄って精製するステーションという感じ。
だが、一つ一つの処理工程は、きちんと考えて作られており、良い珈琲を作りたいと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。
この規模からみると、今後生産量をもっと増やそうという気がいが見て取れる。
パーチメントの乾燥場
私たちを前に、この集落の責任者が語り始め、この部族の人たちがみんな集まってきた。
曰く、この集落では、良い仕事をすることによって、より高価で高品質なものを生産して行きたいと思っているが、現在日本との取引は非常に少なく、買い付け面でのライバルがいない欧米からは、安い値段で買いたたかれている。
日本の方々には、私たちにもっと「こういう珈琲をつくってほしい」という要望を言ってもらいたい。
私たちは、それにこたえることによって、日本の皆さんに、もっと美味しいPNGの珈琲を飲んでもらい、私たちも相応の対価を得て、より良い農園になって行きたい。
と、力説する集落の代表を筆頭に、集まった皆が期待を持った目で私たちを見つめてくる。
独立してまだ間のないPNG、しかし、ここの人たちの真剣な姿を見ていると、これからの伸びしろは無限にあるような気がする。
社交辞令ではなく、真剣に向き合えば、より美味しい珈琲がパプアから入ってくるのではないかと思うと同時に、そうするためにも、ちゃんと私たちの要望を伝えなくてはならないと思うのであった。
この子供たちが大人になるころ、パプアの豆もグァテマラやコロンビア並みにメジャーな豆になっているといいなぁ、と思うのであった。
農園を後にして
長閑な高原地帯を通り抜け
山間の農園が見えてきたら
だんだん道なき道になってきた。
無事、山村の農園に到着
ここのチェリーを剥ぐ機械は、まだ手回し式。せっかくだったのでちょっと回してみたが、これを延々続けるのは、なかなかの重労働である。
誇らしげに豆を見せる村の人
見るからに、まだまだ小さな農園ではあるが、今育てている苗をもっともっと山の斜面に植えて、生産量を増やしていきたいとのこと。
こういうマイクロロットの農園が、本当に力をつけて来てくれることに期待。
山間部のこの村では、日が落ち始めたらあっと言う間に真っ暗になってしまう。
整備されていない、崖もある山道を暗くなってから走るのは危険なので、まだ明るさがあるうちに農園を後にした。
途中、ものすごく雄大な光景が目に飛び込み、思わず写真を撮ったが、この風景は絶対写真では伝えきれないなぁ、と思い、しばし目に焼き付けて再び車に乗った。
そんなこんなで、最終日の農園視察も無事終わり、翌朝はマウントハーゲンの空港から、空路ポートモレスビーへ。
最近建てなおしたそうで、マウントハーゲンは非常に綺麗な空港だった。
チェックインカウンターの横には、原住民メイクの絵が並ぶ。
手荷物検査を終えて、搭乗口の横の待合室にある売店を見てみたら、弓矢や手斧といった凶器が平然と売られていた。
一緒に行った珈琲店主が、お土産に弓矢を購入していたが、見てみたら、矢の先はちゃんととんがっていて、十分狩りができそうな代物、それを手に持って飛行機に乗れちゃうすごさ。
そんなわけで、さらばマウントハーゲン!
ポートモレスビーで国際線に乗り換えて、一週間ぶりの文明社会へ。到着が夜遅めだったこともあり、この日の夜は成田のホテルで一泊。
普段ホテルに泊まったときは、シャワーで済ませる私ではあるが、この日は浴槽にお湯をはって、ゆっくりバスタブにつかってみた。
レストランで出された水を躊躇なく飲める幸せ、蛇口をひねったらちゃんと水やお湯が出てくる幸せ、日に何度も停電しない幸せ、ベッドに横になったときカサカサっと何かが這い回る音を聞かずにすむ幸せ、テレビがちゃんとつく幸せ、実は世の中って、幸せで満ち溢れているということを実感した成田の夜であった。
最後におまけ。
ポートモレスビー空港のトイレ、便座がない!
これは、男子トイレだけだろうと思って、同行した女性の方に「便座、ありました?」ときいたら「なかったですよ~」と。
やはりすごい国だ。
と、思いつつ「なかったですよ~」と平然とこたえた彼女は、ある意味もうパプアの価値観にどっぷりつかっているんだなぁ、と、感心すると同時に、どうやって便座のないトイレを使ったのだろう?と、一瞬考えそうになって、それはやめておこうと心にフタをするのであった。
おしまい。