知らなくてもいい珈琲の話、本来なら今回はハイブリッド種について書くはずでした。
しかし、明日より下鴨本店18周年記念のプレセールとして「エチオピア・ゲシャヴィレッジ・ゲイシャウォッシュド」を18周年にちなんで通常価格より18%OFFで販売するので、そのゲシャヴィレッジについて書こうかと思います。
まず、ゲイシャ種は、「ゲシャヴィレッジ」で発見されたことから、地名が品種の名称になったことは多くの方がご存知でしょう。
発見されたのは80年以上前ですが、非常に生産性が悪く、コスタリカにある農業研究センターで細々と研究されている程度でした。
しかし、2004年にパナマのエスメラルダ農園のゲイシャがベスト・オブ・パナマのコンテストで絶賛され、当時のオークション落札金額の史上最高額をたたき出し、一躍有名になり、スペシャルティコーヒー業界では「ゲイシャ前・ゲイシャ後」と言われるほど、世の中のコーヒー全体に与えた影響は計り知れません。
ちなみに、2017年のパナマにおけるゲイシャの最高落札額は601$/lb(15万円/1kg)が記録されています。
エチオピアでは、ゲイシャ種の多くがナチュラル精選(チェリーを果肉がついたまま天日乾燥する方法)されていますが、今回は、少量だけ作られている、よりクリアで繊細な香りのウォッシュド(水洗により果肉を除去する方法)の逸品をご用意しました。
ヴェルディは初めてゲイシャ種を販売したのは、今からもう10年以上前で、その当時は「芸者と何か関係あるの?」とよく聞かれました。
そんなゲシャヴィレッジは、どのようなところにあるかと言うと、エチオピアの中西部に位置する旧イルバボール州(1995年に民族ごとの州編成に伴い東西が分かれた)現オロミア州の険しい山奥にあります。
私がエチオピアへ行った折も、途中の道路コンディションションが非常に悪く、四輪駆動車でもタイヤが泥に埋もれて、周りの住民たちが総出で車を押して進むということがありました。
しかし、ゲシャヴィレッジへはそんなレベルではなく、農園からトラクターに出動してもらい、四駆車の推進力にプラスでトラクターのけん引がないと進めないというほどの悪路の奥にあります。
ゲシャヴィレッジ農園のあるゴリゲシャの森は、概ね標高が1900m以上の高さにあるため、常態的に霧が発生しており、 Misty Valley とも言われています。
そんなゲシャヴィレッジ農園は、8つの区画に分かれており、区画ごとに日照や風通し、シェードツリーとなる木の茂り具合などが違うため、各々の区画ごとに異なる品種が植えられています。
ゲシャヴィレッジ農園で栽培されている品種は以下の3つ。
● Gori Gesha
ゴリゲシャの森にちなんで名前が付けられたゲイシャ種。
耐病性、収穫時の生産性、熟度などのバランスが良い(と言っても、他品種より生産性は悪い)のエチオピアにおけるゲイシャのスタンダード。
● Gesha 1931
ゴリゲシャより糖度が5%ほど高めながら、成長のスピードや熟す速度など収穫時の生産性は悪く、より高値がつくものの生産量は少ないゲイシャ種
● Illbabor Forest
JIMAの農業調査局がイルバボールの森で発見した品種(74110 と 74112)の中でも耐病性に優れた株を掛け合わせて作った品種。
もともとは、原生種だったが交配により糖度が増し、素晴らしい風味を持つ品種となった。
2020年にヴェルディで販売したところ、30キロが1週間持たずに売り切れるほど、いまだに「イルバボール、もう入らないの?」と聞かれる伝説的美味しさの珈琲。
今回の豆は、ゲシャヴィレッジの中でも北部に位置するShaya 区画で作られている Gori Gesya のウォッシュドを仕入れました。
Shaya 区画の名前は、ゲシャの伝統部族メアニット族の酋長の名前からとられています。
標高は1926~2011mと非常に高く、北に向かって傾斜した山の斜面で作られています。
そのため高いシェードツリーは少なく、刻々と角度が変わる日光を浴びてスピーディーに熟度が増していったチェリーをウォッシュドで精選しています。
エチオピアにおいて、ここまで細かく栽培地域が分かっているものは非常に稀です。
ぜひこの機会に本家本元のゲイシャをお楽しみくださいませ。
※ 今回の画像・資料は、Zephyr Japan CEO 橋本様から頂いたものを使わせて頂いています。