自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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音楽レビュー

ブレンド向き、ストレート向き

2023年6月12日 

雨の週末、梅雨の時期なので雨が多いのは仕方ないが、できれば週末は降らないでほしいなぁ・・・

さて、先日CDラックを見ていたら、ふとブルックナーの交響曲8番が目についた。

そう言えば、ここ数年ブルックナーって聞いていなかったなぁ、と思って久しぶりに聞いたら、なんだか昔と感じ方というか印象が違っていた。

で、Bのところから少し下がってSのところを見たら、実はけっこうサンサーンスも持っていることに気付く。

そこで久しぶりに聞いたのが、サンサーンスのヴァイオリン協奏曲第3番。

この曲は3枚持っていて、モノラルのフランチェスカッティと、定番かどうか知らないけど、あまりヴァイオリンの奏者を知らなかった頃に買ったパールマン、そして、どうしてこんなの買ったんだろう?と思う、チョンキョンファ。

最初に聞いたのはフランチェスカッティ。

さすがに音質は良くないが、そんな中でも存分に歌っているのが分かる。

が、演奏そのものは、けっこう昔の人はこんなテンポどりが普通だったんだろうなというか、時代を感じると言うか、「間」を重視せずテキパキとしたテンポの中での音色と技術をしっかり聞かせる感じ。

一転パールマンは、もう彼の世界をしっかりと披露する内容で、特に3楽章のラストあたりは、もうひれ伏すしかないパールマン節。

そして、以前作った動画「木の実の塩タルト」のBGMに使ったのは、チョンキョンファのサンサーンスだった。

ある意味、チョンキョンファの演奏は、音大を首席で卒業した学生が卒業コンサートで弾いているような教科書通りの演奏。

全く面白さはないが、取り立ててマイナス点もない超無難な演奏。

でも、動画のBGMとして聞いたとき、フランチェスカッティはレトロな動画なら大丈夫だが、今のことをテーマにした動画だと時代が買ってしまう。

パールマンは、演奏の主張が強いので、動画が負けてしまう可能性も。

そうしてみると、動画を見せるBGMとしては、チョンキョンファの優等生演奏が一番しっくりくる。

これって、コーヒーで言うと、ブレンド向きというか、他の主張したい味を上手く引き立ててくれる豆的な「良い」存在かもしれない。

一方で、パールマンなんかは演奏そのものは「良い」ものだが、本当に主張したい豆より目立ってしまって、何がメインのブレンドなのか分かりにくくしてしまうという点では「好ましくない」演奏かもしれない。

音楽の演奏も、ブレンドベースに使う豆も、時と場合によって「良い」ものの基準は変わってくるものだな、と、思いながらの音楽鑑賞であった。

全然違った

2023年1月13日 

今日は金曜日なので、業務用のコーヒー豆配達日。

来週、下鴨本店が遅めの正月休みをとるため、来週の業務用配達がお休みになることもあり、今日は非常に多くのご注文を頂いていた。

で、配達回りをしながら信号待ちでふと前を見たら、四葉のヤサカが止まっていた。

何かいいことあるかなぁ?と思ったが、特に何もなかった。

さて、そんな配達中に車載のSSDに入れている多くの曲の中から何となく流れてきたのはショスタコーヴィッチの交響曲第11番。

指揮はロストロポーヴィッチのものだったが、その2楽章を聴きながら、なんとなく今の私の心情にとてもフィットしている曲のように思えてしまった。

ちょっと私に課されているタスクが多すぎて、けっこう分けわからん状態に陥っているのかもしれない。

でも、この曲の私の愛聴盤は、ロストロではなくビシュコフがベルリンフィルと録音したものだった。

なので、ショスタコの11番って、こんな曲だったかな?と思って改めてビシュコフで聴いてみたら、全く違う曲のような印象を受ける演奏だった。

演奏時間も、第2楽章に限ると、ロストロは21分48秒なのに対して、ビシュコフは18分20秒。

中盤から後半にかけての部分が特に違い、ロストロはlargoと言っても良いスピードなのに対して、ビシュコフはandante。

この重く激しく悲壮な曲も、andanteで演奏したらクールでカッコイイ演奏になるんだということが良く分かった。

そうしてみると、ロストロの振るショスタコ11番の2楽章のような気分のときでも、ちょっと自分のテンポを変えたら、もしかするとネガティブな思考がポジティブに変わるかも?と思えてきた。

明日から、ちょっとテンポを変えて頑張ってみよう。

買ってしまった

2022年5月26日 

だんだん朝に涼しさを感じなくなってきた。

先日、ついCDを2つ購入してしまった。

一つはショスタコーヴィッチ交響曲全集、指揮はロストロポーヴィッチ。

ロシアによるウクライナ侵攻以来、世界中でロシアの文化や芸術まで排除する動きがある。

でも、チャイコもラフマニノフも、スクリャビンも好きな私としては、今聞きたいものを聞きたいわけで、世界情勢とは関係なく、今私の気分としてはショスタコの音楽に強い共感を覚える上、「ショスタコーヴィッチの証言」なんかを回想しつつ聞くと、より一層その世界に没入してしまう。

ショスタコーヴィッチとの出会いは、もうかれこれ40年以上前。

京都市少年合唱団というのに入れて頂き、京都市交響楽団のニューイヤーコンサートのメインプロ「森の歌」の少年合唱パートを歌わせてもらったのが最初。

当時は、ショスタコーヴィッチの音楽なんて全く分からなかったが、分からないなりに聞いているふりをしていた。

でも、50を過ぎたあたりから、だんだん本当に好きになってきて、交響曲以外も聴き始めたが、せっかくなら交響曲を全て揃えようと思って、所持ラインナップを見たら、あと1番、4番、14番がなかったのだが、ネットで探していたら「あなたにオススメ」というメールが来て、全集12枚組で3,700円、持っていない3枚買うより全集の方が安いということが分かってAmazonでポチっと購入してしまった。

とりあえず1番から聞き始めているが、弓を指揮棒に持ち替えたロストロポーヴィッチのタクト、なかなか素晴らしい。

全部聞くのが楽しみ。

そしてもう1つは、メンゲルベルクが1940年から1944年にかけて録音したライヴレコーディング。

ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトはブスタボ。

私が一番聞きたかったシューマンのピアノコンチェルトはザウアー。

クレバースのブラームスとジャンドロンのドヴォルザークといった内容。

一番好きなピアノ協奏曲は何かと聞かれたら、ラフマニノフの3番かシューマンとこたえると思う。

そのシューマンのピアノコンチェルト、主観的な評価だが、一番の演奏はダントツで他を寄せ付けずリパッティ。

次は?と言われると、なかなか難しいがギーゼキングが個人的には面白い。

ただ、ギーゼキングのアルバムはカップリングのグリークが凄過ぎてシューマンが損をしているかも。

で、ザウアーのシューマンが聞きたかったのが、オークションなんかで探していたら3万円もするのだって珍しくない希少アルバム。

だったが、入荷したらメールをくれるよう設定していた中古本のサイトから入荷メールが来て、値段を見たらこれまた3千円そこそこ。

これこそすぐに購入しないと、次はいつ眼前に現れるか分からないので、すぐに購入。

今この日記は、このアルバムを聴きながら書いているが、やはりシューマンのピアノ協奏曲って、聞けば聞くほどスゴイラブソングだなぁと思う。

そして、私が持っているメンゲルベルクは、ベートーヴェンの6番とマーラーの4番だが、交響曲を振るメンゲルベルクとソリストのサポートに回ったときのメンゲルベルクの違いに若干驚く。

ベートーヴェンを弾くブスタボは、一音一音をしっかりと弾く時代を感じさせる演奏ではあるが、ものすごく歌心を持って奏でていて心地よい。

雨の夜、決して音質が良いとは言えない、80年前のモノラル録音を聞きながら、ちょっとだけ現実逃避をするひとときだった。

サンサーンスの3番3楽章

2022年2月11日 

だんだん朝が明るくなってきた。

今朝はちょっと寝坊して、歩き始めが6時5分だったので、その分明るかったのかもしれないけど・・・

今月から、私は下鴨のカウンターに立つ機会も増やすようにしているのだが、先週の土曜日から明後日の日曜日まで、京都芸術大学の卒展に伴い、この1週間は芸大店に着きっきり状態。

おかげさまで、連日多くのお客様にご来店いただいている。

このところ私もトシをとったと自覚していたものの、この1週間は、連日開店前の仕込みから閉店まで、12時間休むことなくぶっとうしでホールを走り回れるのだから、トシをとったと思っていても、普通の人と比べると、かなり若い50代半ばのおっさんなのだろうと思う。

それにしても、データを見ていたら、去年と比べてスイーツの売り上げが200%、つまり昨年の2倍になっているのは、松尾の頑張りあってのこと。

そんな彼女を見ていると、何となくサンサーンスのヴァイオリン協奏曲3番の第3楽章が思い浮かんでしまう。

芯の強さとロマンチストな面を併せ持ち、淡々と作業を進行させつつも、しっかりと歌心にあふれた仕事をしている彼女にピッタリな気がしたので、「木の実の塩タルト」の動画のBGMには同曲を使ってみた。

余談ではあるが、芸大店の店長山下は、ショスタコーヴィッチの交響曲6番の第3楽章のイメージだったりする。

で、サンサーンスのヴァイオリン協奏曲3番、私は3枚しか持っていないが、この3枚を聴き比べるとなかなか面白い。

チョン キョン ファとパールマン、フランチェスカッティの3枚。

チョン キョン ファは、音大を首席で卒業した学生の初リサイタルという雰囲気で、この曲を正確に演奏することに徹しているような、個性は薄いが教科書的な安心感がある。

パールマンは、自分の主張をしっかり出しているが、なぜかあまり印象に残らないのは、むしろバレンボイムの軽い演奏が、パールマンの技術しか感じられなくしているのではないかと思ったり。

バレンボイムとパリ管のサンサーンスと言えば、協奏曲ではなく交響曲の3番を聴いたことがある。

そのときも、バレンボイムはサンサーンスの抒情的な雰囲気とダイナミックさをあまり表に出さず、淡々と演奏しているようで個人的にはあまり好みではないかも。

フランチェスカッティは、もう説明の必要もない、この曲におけるベスト演奏の一つ。

早いパッセージの中に、恐ろしいほど歌いきっているその演奏は技巧派の奏者がテクニックだけを前面に押し出すのとは似て非なる演奏。

下手すると冷たく感じられるほどの曲運びだが、むしろ「クールビューティー」と言えるかも。

なんて分かったようなことを書いてしまったが、ちょっと忙しくて疲れた夜には、音楽でも聴いて気分をリフレッシュ。

そんなとき、ブルッフと並んでけっこうサンサーンスをかけることがあるので、つい久しぶりに音楽レビューしてしまいました。

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