自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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音楽レビュー

買ってしまった

2022年5月26日 

だんだん朝に涼しさを感じなくなってきた。

先日、ついCDを2つ購入してしまった。

一つはショスタコーヴィッチ交響曲全集、指揮はロストロポーヴィッチ。

ロシアによるウクライナ侵攻以来、世界中でロシアの文化や芸術まで排除する動きがある。

でも、チャイコもラフマニノフも、スクリャビンも好きな私としては、今聞きたいものを聞きたいわけで、世界情勢とは関係なく、今私の気分としてはショスタコの音楽に強い共感を覚える上、「ショスタコーヴィッチの証言」なんかを回想しつつ聞くと、より一層その世界に没入してしまう。

ショスタコーヴィッチとの出会いは、もうかれこれ40年以上前。

京都市少年合唱団というのに入れて頂き、京都市交響楽団のニューイヤーコンサートのメインプロ「森の歌」の少年合唱パートを歌わせてもらったのが最初。

当時は、ショスタコーヴィッチの音楽なんて全く分からなかったが、分からないなりに聞いているふりをしていた。

でも、50を過ぎたあたりから、だんだん本当に好きになってきて、交響曲以外も聴き始めたが、せっかくなら交響曲を全て揃えようと思って、所持ラインナップを見たら、あと1番、4番、14番がなかったのだが、ネットで探していたら「あなたにオススメ」というメールが来て、全集12枚組で3,700円、持っていない3枚買うより全集の方が安いということが分かってAmazonでポチっと購入してしまった。

とりあえず1番から聞き始めているが、弓を指揮棒に持ち替えたロストロポーヴィッチのタクト、なかなか素晴らしい。

全部聞くのが楽しみ。

そしてもう1つは、メンゲルベルクが1940年から1944年にかけて録音したライヴレコーディング。

ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトはブスタボ。

私が一番聞きたかったシューマンのピアノコンチェルトはザウアー。

クレバースのブラームスとジャンドロンのドヴォルザークといった内容。

一番好きなピアノ協奏曲は何かと聞かれたら、ラフマニノフの3番かシューマンとこたえると思う。

そのシューマンのピアノコンチェルト、主観的な評価だが、一番の演奏はダントツで他を寄せ付けずリパッティ。

次は?と言われると、なかなか難しいがギーゼキングが個人的には面白い。

ただ、ギーゼキングのアルバムはカップリングのグリークが凄過ぎてシューマンが損をしているかも。

で、ザウアーのシューマンが聞きたかったのが、オークションなんかで探していたら3万円もするのだって珍しくない希少アルバム。

だったが、入荷したらメールをくれるよう設定していた中古本のサイトから入荷メールが来て、値段を見たらこれまた3千円そこそこ。

これこそすぐに購入しないと、次はいつ眼前に現れるか分からないので、すぐに購入。

今この日記は、このアルバムを聴きながら書いているが、やはりシューマンのピアノ協奏曲って、聞けば聞くほどスゴイラブソングだなぁと思う。

そして、私が持っているメンゲルベルクは、ベートーヴェンの6番とマーラーの4番だが、交響曲を振るメンゲルベルクとソリストのサポートに回ったときのメンゲルベルクの違いに若干驚く。

ベートーヴェンを弾くブスタボは、一音一音をしっかりと弾く時代を感じさせる演奏ではあるが、ものすごく歌心を持って奏でていて心地よい。

雨の夜、決して音質が良いとは言えない、80年前のモノラル録音を聞きながら、ちょっとだけ現実逃避をするひとときだった。

サンサーンスの3番3楽章

2022年2月11日 

だんだん朝が明るくなってきた。

今朝はちょっと寝坊して、歩き始めが6時5分だったので、その分明るかったのかもしれないけど・・・

今月から、私は下鴨のカウンターに立つ機会も増やすようにしているのだが、先週の土曜日から明後日の日曜日まで、京都芸術大学の卒展に伴い、この1週間は芸大店に着きっきり状態。

おかげさまで、連日多くのお客様にご来店いただいている。

このところ私もトシをとったと自覚していたものの、この1週間は、連日開店前の仕込みから閉店まで、12時間休むことなくぶっとうしでホールを走り回れるのだから、トシをとったと思っていても、普通の人と比べると、かなり若い50代半ばのおっさんなのだろうと思う。

それにしても、データを見ていたら、去年と比べてスイーツの売り上げが200%、つまり昨年の2倍になっているのは、松尾の頑張りあってのこと。

そんな彼女を見ていると、何となくサンサーンスのヴァイオリン協奏曲3番の第3楽章が思い浮かんでしまう。

芯の強さとロマンチストな面を併せ持ち、淡々と作業を進行させつつも、しっかりと歌心にあふれた仕事をしている彼女にピッタリな気がしたので、「木の実の塩タルト」の動画のBGMには同曲を使ってみた。

余談ではあるが、芸大店の店長山下は、ショスタコーヴィッチの交響曲6番の第3楽章のイメージだったりする。

で、サンサーンスのヴァイオリン協奏曲3番、私は3枚しか持っていないが、この3枚を聴き比べるとなかなか面白い。

チョン キョン ファとパールマン、フランチェスカッティの3枚。

チョン キョン ファは、音大を首席で卒業した学生の初リサイタルという雰囲気で、この曲を正確に演奏することに徹しているような、個性は薄いが教科書的な安心感がある。

パールマンは、自分の主張をしっかり出しているが、なぜかあまり印象に残らないのは、むしろバレンボイムの軽い演奏が、パールマンの技術しか感じられなくしているのではないかと思ったり。

バレンボイムとパリ管のサンサーンスと言えば、協奏曲ではなく交響曲の3番を聴いたことがある。

そのときも、バレンボイムはサンサーンスの抒情的な雰囲気とダイナミックさをあまり表に出さず、淡々と演奏しているようで個人的にはあまり好みではないかも。

フランチェスカッティは、もう説明の必要もない、この曲におけるベスト演奏の一つ。

早いパッセージの中に、恐ろしいほど歌いきっているその演奏は技巧派の奏者がテクニックだけを前面に押し出すのとは似て非なる演奏。

下手すると冷たく感じられるほどの曲運びだが、むしろ「クールビューティー」と言えるかも。

なんて分かったようなことを書いてしまったが、ちょっと忙しくて疲れた夜には、音楽でも聴いて気分をリフレッシュ。

そんなとき、ブルッフと並んでけっこうサンサーンスをかけることがあるので、つい久しぶりに音楽レビューしてしまいました。

NHKありがとう!

2021年12月20日 

そろそろ薄手のジャージ上下では朝が寒くなってきた。

さて、今日は完全に私の趣味の世界なので、オペラに興味のない方はスルーしてください。

先日、Amazonで中古のDVDを注文した。

グノー作曲 ファウスト

1973年9月9日と12日、NHKホールでのライブ録画。

今から50年前に、NHKがイタリアからソリストと指揮者、演出家などを呼んで、N響と日本の合唱団で上演するということをシリーズ化していたようである。

今では、ミラノ・スカラ座やウィーン国立歌劇場など海外の一流オペラハウスの引っ越し公演が珍しくないなか、まだまだオペラが浸透していなかった時代の日本に、当代一流のキャストを呼んで、しかもソリスト以外は日本のオケとコーラスで上演するなんて、スゴイことだったというのは想像に難くない。

そんなある意味記念碑的とも、歴史の1ページともとれるDVD、ともかく歌手の名前を見て、何が何でも聞きたくて購入。

ファウスト役のアルフレード・クラウス、マルガリーテ役のレナータ・スコットという当時のイタリアオペラで唯一無二の存在が、よくもオペラ未開拓の日本に来てくれただけでなく、手を抜くとヤバいスカラ座の舞台でもないのに、この上なく見事に歌い上げる様は、鳴りやまぬ拍手がその素晴らしさを物語っている。

そして、やはり素晴らしいのは、ニコライ・ギャウロフのメフィストフェレス。

実は、ギャウロフの正体は悪魔メフィストフェレスそのものだったのではないかと思うほど、古今東西これ以上のメフィストフェレスはいないと思う。

ちなみに、私の愛聴盤はプレートル盤とボニング盤。

好きな曲は、だいたい5~6枚持っていのだが、やはり3枚組のグランドオペラともなると、そんなにたくさん揃えられず・・・

で、その2枚、両方ともBsにはギャウロフを配している。ボニング盤は1966年の録音で、このときのギャウロフはまだ悪魔になりきっていない、とても上手なバスという感じだったが、1978年録音のプレートル盤では、憎たらしいほどの悪魔ぶり。

12年の歳月をかけて、役を完璧に自分のものにしたのかと思っていたが、このDVDに聞くギャウロフは、目をつぶって聞いていたらプレートル盤と間違うほど、すでに完璧なメフィストフェレスだった。

ボニング盤のジャケット

ボニング盤は、コレルリが素晴らしく、またサザーランドのマルガリーテが初々しい乙女っぽさを出している。

プレートル盤のジャケット

プレートル盤は、ギャウロフの境地を是非聞きたいが、ドミンゴとフレーニというこの時代としての最高キャストは見事のひとこと。

でも、でも、この2枚を聞いた後に見たNHKホールのライヴ。

これは、本当に「よくぞこんなものを録ってくれた!」と感嘆するDVD。

終幕の前半に展開されるバレエ、まだオペラ以上に当時バレエはマイナーな芸術だったという感は否めないし、ヨーロッパの一流オペラハウスと最も差を感じるのは合唱の部分ではあるが、それを差し引いても余りある素晴らしい舞台。

主役の3人だけではなく、ジーベルもヴァレンティンも聞き惚れてしまった。

ワイド画面でもないし、画質はブラウン管品質だし、録音も今のデジタル技術と比べられるはずもないが、そんなことを超越した歴史的名演が、まさかのNHKホールライヴ。

まだ私もやっと幼稚園という年齢のころの演奏なので、見に行けるはずもなかったが、もし、その場にいたら涙をぬぐうことすら忘れスタンディングオベーションをしていたことは間違いないと思う。

本当にNHKさん、有難う!と感じるDVDだった。

CDでも聴きながら

2020年4月14日 

今日はスカッと晴れた青空の下、ほぼ葉桜になっている鴨川沿いを気分よく歩けた。

芸大店では連日教職員さん向けにお弁当の販売をしているのだが、昨日から「ナン カレートースト」も販売開始。

そのための袋を購入しに業務用パッケージ店へ行ってみたら、これまでに見たことがないほど多くの人が来ていて、テイクアウト用のパッケージを購入していた。

どこの店も、店内のお客様が激減しているため、何とか生き延びるためにテイクアウトで頑張ろうとしていることは想像に難くない。

Verdi も頑張っていこう。

さて、私の場合、普段だと1日の勤務時間が12時間以下ということはめったにないのだが、このところ外出自粛もあり、まだ明るいうちに帰路に就くことも多くなってきた。

そうなると、自宅でゆっくり音楽を聴く時間もできたりする。

で、久しぶりに好きな曲の聴き比べをしてみた。

最も好きなピアノ協奏曲の一つ、シューマンのコンチェルト。

私のCDラックにあるのはこの4枚。

左上から、ギーゼキングはベーム / ドレスデン国立

風と共に去りぬのバトラーにも似た、ちょっと訛りのある色男が、スポーツカーで颯爽と駆け抜ける。ような感じの演奏。

そんな芝居じみた外観とは裏腹に、ち密で繊細な運指とカデンツァで見せる派手なテンポ運びは思わず身を乗り出して聞きほれてしまう。

右上は、ミケランジェリとチェリビダッケ / スウェーデンRSO

ライヴレコーディングなので、拍手も入っていたりするが、どうも必要以上に残響があって、細かな音の動きが靄に包まれているような感は否めない。

ある意味模範的な演奏ではあるが、それだけに面白みに欠ける。

チェリビダッケも往年のスコア無視のテンポではなく、オーソドックスな演奏。

面白いのは、シューマンのコンチェルトはカップリングにグリークが選ばれることが多い中、ミケランジェリはベートーヴェンのコンチェルトと一緒に録音されている。

そのまま下にいって右下は、リヒテルとマタチッチ / モンテカルロ国立歌劇場。

こちらも模範的な演奏だが、ミケランジェリ盤と比べ残響が少ない分、細かな音のタッチまでしっかりと聞き取れて、この曲に必要な繊細なテクニックを存分に楽しめる。

マタチッチと言えば、チェコフィルとのコンビによるブルックナーが有名。

アンチェルやターリッヒといったマエストロの後を受けたマタチッチは、「超一流の二流」という他に類を見ない称号を与えられた名指揮者。

名手、リヒテルをしっかりとサポートして、この曲の代表的名盤に仕上げている。

最後に左下は、リパッティとカラヤン / フィルハーモニアOrc

リパッティ盤を聞いていると、シューマンって人は、なんてスケベな女たらしだったんだろう?と思ってしまう。

いや、実際にはリパッティの表現が他の全てのピアニストを凌駕していると言えばよいのかもしれない。

これを聞いてしまったら、対抗できるのは最初に挙げたギーゼキングくらいかもしれないと思ってしまう。

録音はモノラルで古く、フィルハーモニアの音も最高レベルとは言えないが、そんなことはどうでもよくなるほどリパッティの表現は素晴らしく、この曲って実はラブソングだったんだ、と実感できる1枚。

カラヤンが振るコンチェルトは、多くの場合ソリストも完璧に「カラヤンの内なる宇宙の一惑星」になっているのだが、この盤における若きカラヤンは、後に帝国を築くBPOと比べると完成度に劣るフィルハーモニアを引っ張り、しっかりとリパッティを盛り上げている。

というわけで、自宅で時間の取れるときは、同じ曲の聴き比べも楽しいものである。

※ 個人の主観による感想なので、あまり鵜呑みにしないでください。

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