いよいよエチオピア旅行記も最終回。
今回の訪問を通して強く思ったことは、日本人が持つビジネスに対する価値観=『普通・当たり前』という考え方で産地の『普通・当たり前』を見てはいけないということ。
これはパプア・ニューギニアへ行ったときも感じたのだが、今回はより一層現実的に肌で感じられた。
今回の訪問は、現地で農園の経営と同時に精製所も持つエクスポーターでもある METAD 社の農園見学が中心だったが、その METAD 社はエチオピアの中では非常に欧米的な考え方でビジネスをしている希有な存在。
スターバックス、ブルーボトルといったアメリカの大手がこぞってここの豆を購入しているのは、どちらかというと豆の品質とか風味と言うよりも、同じレベルで対話ができる数少ない会社だからという点ではないかと思うほど。
もちろん、農園の経営や精製加工については高いレベルで運営を行っているので、クオリティーの高い豆が作られていることは事実なのだが、探せば METAD 社よりも風味特性の良い豆はいくらでもある。
しかし、ビジネスを【点】としてではなく、【線】で見た場合、一定のクオリティーを継続可能な形で提供してくれて、なおかつアメリカ大手と同じ目線でビジネスが見られる会社という観点で言えば代替の効かない会社なのではないかと思う。
そんな METAD 社は、これまで農園単位や地域単位での精製所は持っていたが、出荷前の最終精製であるドライミルは他社に任せていた。
しかし、他社に委ねることで、全てにおいて責任とクオリティーを維持できないということから、自社でもドライミルを持つことにされ、アディスアベバ近郊にその工場を建設中ということだったので、見学をさせて頂いた。
広大な敷地に、ドライミルと出荷用の向上が建設されている。
上階で精製と選別が行われ、下階は袋詰めや出荷用倉庫となっている。
脱穀機だけではなく、各種ソーターなどもすでに搬入され、稼働を待っている。
今後は、この工場で焙煎も行い、世界各国へ焙煎した豆も出荷したいということであった。
現在、Verdi でもMETAD社のウォッシュドを使っており、全体的なクオリティーは比較的高いと思われるが、過去には他のエクスポーターが出す豆の中に、もっと風味特性の良い豆があったことも事実。
ビジネスをするという点においては、METAD 社の豆を使っていれば安心安全であることは理解できたが、お客様により美味しい豆を提供するという点で言えば、やはり不安定かつ不確定な要素はあっても、いろいろと探してより良い豆を求めたいと思う。
そういう点から見ると、スターバックスやブルーボトルといった、味や風味よりも安定的に利益が上げることが最重要というビジネスをしている会社は METAD 社と組むのが最善の答えである一方、Verdi のような小さな自家焙煎店は、リスクはあるし、良いものが入るとは限らなくても、より美味しいエチオピアを探して奔走すべきかな?と思いつつ、保険として METAD 社の豆を常時持っているのが正解だと思いながら視察したドライミル工場であった。
最後に、エチオピアのお店で「ミックスジュース」と注文したら、こんなのが出てきます。
ミックスジュースはだいたい50~80ブル(1ブル=0.25円)、珈琲やラテが待ちのカフェだと30ブル程度なので、ちょっと高めのドリンクですが、日本円換算で200~350円程度と、日本のカフェではありえない価格。
ジュースを飲んで、ちょっとお腹の調子を崩した方もいたのですが、私は全然大丈夫でした。
もし、エチオピアへ行かれたら、ぜひミックスジュースを試してみてください。