最近、夕方に西の空を見て、綺麗だと思ったら造形芸大の大階段を駆け上って夕焼け空を眺めるのだが、今日は洗濯物を取り込もうとして出たバルコニーから見る西の空が、なかなか美しかった。
我が家のバルコニーもすてたものではないと思うのであった。
さて、このところ春のメニュー改定に向けて、試作をいろいろと繰り返しているのだが、その中の一つである「キッシュ」が迷路に迷い込んでしまったような状態に陥っている。
最初は、アパレイユを流し込む生地が安定せず、アパレイユが漏れて上手くいかなかったのだが、それが克服されて安定してくると、次はオーブンの温度や時間による舌触りと言うか、食感と言うか、そのあたりが気になり始めた。
ふるふるの柔らかさで焼き上げられる温度と時間が分かったと思ったら、どうも茶碗蒸しみたいな味になったり、少し温度と時間を長くすると、茶碗蒸しのような味はしなくなったが、表面がかなり黒くなるのと食感にざらつきが出てきて。
まぁ、本当に少しのことで、随分と仕上がりに違いが出てくるものである。
そんな迷った時は、ちゃんとしたものを食べてみるのが一番!
と言うことで、社員の土屋と太田を誘って、オ タン ペルディさんへキッシュを食べに行ってきた。
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店に行ったは良いが、キッシュが売り切れていたら大変なので、行く前に電話でキッシュはまだ食べられるか確認してから向かったのだが、店に入って「キッシュ食べに来ました」と、いつも笑顔が素敵なホールの方に言ったら「どこかで聞いた声だと思ったので、頭の中のアドレス帳を思いめぐらせたのに分かりませんでした」と。
で、隠しても仕方ないので、「実は店で作るキッシュの参考にするため、偵察に来ました。」と言ったら、とても親切にいろいろと教えて下さった。
そして、キッチンにオーダーを通すとき「ヴェルディさん、偵察のオーダーです」だって。
でも、こういう対応って、本当に自分の店の商品に自信がなくてはできないもの。
Verdi も余裕の姿勢で、他店からの偵察を受け入れられる器量の大きさを持ちたいものである。
って、Verdi には誰も偵察なんかに来ないか?
そんな偵察として食べたのは、定番の「キッシュ ロレーヌ」と、本日のキッシュ=「帆立のキッシュ」。
これが、本当にふるふるな感じで柔らかく、舌触りも非常になめらか。
デパ地下の惣菜店では、かなり硬めのキッシュが多かったりするが、それはテイクアウトを想定して、さらに持ち帰り時間も考えると、けっこうしっかり焼いておかないとダメなところもある。
私たちは、店で食べて頂くわけで、やはりオ タン ペルデュさん同様、ふるふるしていて柔らかく食感も素晴らしいものを作りたい。
いろいろと勉強になった。
せっかくなのでクラブハウスサンドも。
休みの日でも、こうして私の偵察に付き合ってくれるスタッフは有難いと思いつつ、ちゃっかりミーティングまでしてしまったが、それもこれもお客様により喜んでいただける店作りのため。
3月中にしっかり検討して、4月からキッシュを含む新しいメニューでお客様の心と胃袋を満たしたいものである。