自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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ティピカ

2024年6月5日 

今日の夕方、ご来店下さったお客様とカウンター越しに話していた時のこと。

パプアニューギニアのコーヒーが、今けっこう良いクオリティーであると言うことを話しつつ、全生産国的に見ても、パプアは最もティピカ種の比率が高い国ではないかと思う、といったことを私が語っていた。

閉店前になり、今日勤務していたスタッフにコーヒーを淹れようと思い、何を飲みたいか聞いたら「パプアニューギニア」という返事。

そこで、パプアを淹れて飲ませたところ、「飲みやすいコーヒー」という感想が返ってきた。

確かに現在ヴェルディで使っているパプアニューギニアは、アフリカの豆や中米のスペシャルティーと比べると、際立った個性はないのだが、中深煎りに仕上げることでクセなく苦み・酸味に偏ることなく、それでいて味わい深い The Coffee と言っても良いコーヒーだと思う。

その現在ヴェルディで使っているパプアニューギニア産豆の品種は、ティピカとアルーシャ。

パプアへ行ったときも、ほとんどの農園がティピカメインで栽培していたのだが、これは世界的に見てもけっこうレアな光景。

と、言うのもティピカ種は病害虫やコーヒーの木の病気に対する耐性が弱く、また一本の木から採れるコーヒーチェリーの量も、カツアイなどと比べて少ない。

さらに、同じく生産性が低かったり、栽培が難しかったりといった品種と比べても、特筆するほどの個性がない品種。

コーヒーらしいコーヒーと言えば聞こえは良いのだが、ゲイシャやパカマラといった品種と比べると、どうしてもキャラクターが弱くなってしまう。

生産性が低い上に、差別化が難しいとなれば、無理してまでティピカを育てようと言う感覚はなくなってくることも理解できる。

そんな中、パプアについては、いろんな意味で他との接触が少ないことも手伝い、いまだに昔ながらの品種になっているというところもある。

そして、パプアと並んで、いや、もしかするとパプア以上にティピカがメインの国と言えば、キューバが挙げられる。

こちらも、長くアメリカとの国交がなかったこともあり、先進的な栽培技術の面でも、それを取り入れるための資金の面でも、他国に後れを取ってしまったからティピカの比率が高いのかもしれない。

そんなティピカ種は、世界に出回っているほぼ全ての品種は、元をたどればティピカに行きつくと言われるほど、多くの品種の母体となっている。

にもかかわらず、ティピカを栽培しようと言う農家は減少の一途をたどっていることもあり、もしかするとティピカ種は最大母体品種であるにも関わらず、絶滅危惧種となりつつあるのかもしれない。

私個人的には、強烈な個性はなくても、毎日飲めるオーソドックスで王道の味わいを出してくれる良質なティピカを使いたいと思い、ヴェルディではティピカ種の豆を3種類ほど販売している。

でも、世の中は、強いキャラクターを求める方向性が強いから、やはりティピカは絶滅危惧種になりつつあるのだろう。

ちなみに、ヴェルディで扱っているティピカ種は以下の通り。

キューバパナマパプアニューギニア

キューバは浅煎りでナッティーな風味。

パナマは中煎りでまろやかではあるが、中米らしいほのかなフルーティーさも持っている。

パプアニューギニアは、比較的ボディもあり、王道のコーヒーらしいコーヒー。

よろしれば、ヴェルディのティピカ種を飲み比べて頂ければと思います。

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