前回は、ティピカ種について書きましたが、今回はティピカ種から派生した品種について書いて行きたいと思います。
ものすごくアバウトなコーヒーの品種系統図は、前々回載せましたが、もう一度こちらに載せておきます。
アラビカ種は、大きく分けて「ティピカ系」と「ブルボン系」に分類されます。
それ以外ですと、エチオピアで生産されている豆(エチオピア在来種)と、今回ヴェルディでも取り扱っている【イエメニア】になります。
そんな中で、今回はティピカ種の系統について説明します。
「全てのアラビカ種は、元をたどればティピカに行きつく」と言われるほどなので、下手をすると数百種類がティピカの系統になってしまうのですが、今回はヴェルディでも取り扱った豆や、けっこう源流に近い豆などだけに限定して説明します。
今回取り上げる豆の部分だけを切り取ると、このようになります。
ティピカとブルボンの交配でできたムンドノーボは別途説明するとして、まずはジャワから説明したいと思います。
【ジャワ】
JAVAと表記することから「ジャバ」と呼ばれることもあります。
● 由来
エチオピア~インドネシア・ジャワ島
1699年、オランダがインドのマイソールからジャワ島へ持ち込んだものが起源とされます。
DNA解析によると、エチオピア在来種と多くの面で一致していることから、ババ・ブーダンが持ち出したものが祖先と考えられます。
その後、このジャワ島の種子がヨーロッパへ渡り、1913年にドイツ宣教団によってカメルーンへ渡ります。
そこで、この品種が持つ炭疽病への耐性が注目されました。
ニカラグアのリモンシージョ農園(ヴェルディ取り扱い豆)が作っている「ジャバニカ種」は、カメルーンからニカラグアへ渡り、長らく栽培されていなかったものをリモンシージョ農園が作り始めたものです。
● 木および豆の特徴
木の高さは中規模程度で発芽後3年ほどで収穫できる。
豆のサイズは大きく細長い、俗にいう「ロングベリー」
収穫量は少な目で生産性は悪い。
炭疽病、さび病への耐性はあるが、線虫には弱い。
● 風味
フルーティーな酸味があり、やわらかい果実系の風味が特徴。
【マラゴジッペ】
● 由来
エチオピア~オランダ~ギアナ ⇒ ブラジル
1870年にブラジルで発見されたティピカ種の突然変異品種です。
バイーア州のマラゴジッペというところで発見されたことから、地名が品種の名称となりました。
● 木および豆の特徴
マラゴジッペの特徴と言えば、何と言ってもその大きさです。
コーヒーの生豆を見たことがない人でも、その大きさは他と違うことが分かるほど。
当然、木や枝ぶりも普通のティピカより大ぶりですが、生産性が悪いことが最大のネックです。
ただ、大きい割には病害虫に対する耐性が低く、特にさび病には非常によわいため、さび病の流行があるといの一番に被害を受ける品種でもあります。
● 風味
大粒なので味の方も大味かと思いきや、存外にマイルドで口当たり良く甘みもある良質な味を持った豆です。
そんな生産性の悪さを補うため、パーカス種と掛け合わせた「パカマラ種」が近年多く栽培されるようになっています。
次回もティピカ系の品種について説明いたします。