2022年2月号掲載
初めてのお客様が、購入する豆を迷われている場合、よく「どのような珈琲がお好みですか?」とお伺いすることになります。
そんな質問をしたとき、最もよく返ってくるこたえが「酸味のコーヒーは嫌いなんです」というもの。
もう少し突っ込んだ返事をする方の場合「モカって酸っぱいでしょ?」なんてことをおっしゃる方もしばしば。「モカ」は酸っぱい珈琲だと思われている方が多いのかもしれませんね。
そこで「いや、当店のモカは酸っぱくないですよ」とこたえつつ、「そもそもモカってなんだ?!」と思うのです。
「モカ」というのは、イエメンにある港の名前。
アラビカコーヒー発祥の地はエチオピアですが、エチオピアは海に面していないため、昔はイエメンにあるモカ港から船積みされて紅海を北上し、エジプトやヨーロッパへ輸出されていました。
15世紀頃からはモカ港をオスマン帝国が支配し、トルコの商人たちはコーヒーの輸出で大いに潤っていましたが、そんなモカ港も17世紀には大流行したペストの影響などで衰退して、現在はその役割を終えています。
そのようなわけで、「モカ」という名称は、当時の人たちにとってはイエメン産とエチオピア産のコーヒーを指していました。
しかし、15世紀ごろの感覚だと今ほど世界は狭くないため、そのころの人たちは「モカ」をエチオピアとイエメンに区別するどころか、ある種「コーヒー」という意味も持たせていたようです。今でも「モカ」は広義な意味で高級なコーヒーを指す言葉となっている所以でしょう。
しかし、エチオピアとイエメン、風味的に似たところはあるものの、コーヒー屋の感覚では全く違うものです。さらに言うと、同じエチオピアでも、シダマやカッファ、ジマ、レケンプティといった地域によって風味特性は全く違います。
つい、「モカ」でひとくくりになってしまうエチオピア産とイエメン産の珈琲、その味の違いはどこから来るのか、そして、エチオピアの豆の現状はどんなものか。
この続きは、2月26日の「珈琲夜話の会」でご説明いたします。


