2023年5月号掲載
珈琲豆をお求めにご来店下さったお客様から、よく「マスターが一番好きな豆をください」と言われることがあります。
ヴェルディとしては、私の好みのコーヒーというのではなく、お客様のお好みに合わせてお求めいただけるよう、多くの種類を揃えているのですが、やはり迷ったときは、店主の好きなコーヒーを飲んでみようと言うことになるのかもしれません。
ただ、私たちとしては、おすすめしたものがお客様の好みの味かどうか分からないので、せっかくお求め頂いたのに、お口に合わなかったら・・・と思ってしまいます。
そのようなわけで、やはりお客様のお好みを伺って、それに合うものをお勧めしたいというのが本音のところです。
話は変わって、まだヴェルディでお求めくださったことのない方からの質問で、「最近は浅い焙煎のものが多く、深煎りを注文しても、けっこう酸味の強いものを出されることがある。これは、焙煎する人の好みが浅煎りだから、どの豆もそうしているものだと思うが、ヴェルディは本当に深煎りをしているのか」というものがありました。
そこで、私はこのようにおこたえしました。
ヴェルディでは、各々の豆の個性を発揮できるよう、豆の特徴に合わせて浅煎りから深煎りまで煎り分けています。
その際、店主の好みは可能な限り排して、純粋にその豆のポテンシャルを引き出すことだけを考えます。
これは、子育てと同じことかもしれません。
親が、自分の思った通りの子供に育てようとするのか、その子の個性をしっかりと見極めて、その子供が最も輝けるように導くのか。
ヴェルディは、コーヒー豆をわが子のように大切に思っております、故に、豆の焙煎を子育てに例えるなら、その子供(豆)の個性を活かせるように導きたいと考えております。
どんなに良かれと思っても、どんなに愛情を持っていても、子供の個性を無視して、親が望むように育てようとすると、むしろ逆効果になることが多いのが子育て。
コーヒーの焙煎も同じで、本来深煎りに向いている豆を浅く煎っても酸っぱいだけで風味が出て来なくなります。
反対に、浅煎りに向いている豆を深く煎ってしまうと、苦いだけで香りが出てきません。
そうおこたえしつつ、ふと思いめぐらせたとき、お客様から「マスターが一番好きな豆は?」ときかれたときのこたえも容易に出てくるようになりました。
「私には3人子供がいます。ここに並んでいるコーヒーは、全て私のわが子同様愛おしく大切に仕入れて焙煎したものです。
私は3人のうち、どの子が一番好きか?ときかれても、決して答えられません。全員等しく愛情をかけているからです。
コーヒーも同様なのです。」
だからこそ、私は全ての豆の個性を知っているので、お客様のお好みを伺えば、きっとベストなものをお勧めできると思っております。
どの豆にするか迷ったら、ぜひ私たちにお好みをお伝えくださいませ。


