2023年10月号掲載
9月末、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)のカンファレンスへ行ってきました。私は第一回開催時から、毎年足を運んでいますが、今年は過去最多の来場者だったようです。
特に、今までは業界関係者がほとんどだったところ、今年は入場プレートに書かれたゲストの区分に「一般」が多かったように思います。
そんな光景を目にすると、世間のコーヒーに対する関心が高くなっていることを感じますが、同時に私たちコーヒーに携わる者は、プロとして正確な知識と幅広い見分を持ってお客様に接しなくてはならないという思いも強くなります。
お知らせの通り、ヴェルディは10月17日に京都髙島屋S.C.T8 に新しいお店を出店させて頂きます。
今回はコーヒー豆販売が中心の店舗であるため、スタッフにはより深くコーヒーに対する知識が求められます。
さて、今回SCAJのブースを回って感じたことの一つに、「アナエロビック」(嫌気性発酵製法)と「インフューズドコーヒー」(コーヒー生豆を精選する途中段階で、ハーブやフルーツ、スパイス等を漬け込んで発酵させる製法)が非常に多く出品されていたことがあります。
ヴェルディでも、ブラジルのアナエロビック「フルッタメルカドン」を登場初期段階から販売していますが、そのときはまさかこんなに広がるとは思ってもみませんでした。
アナエロビックは、伝統的な「ウォッシュド」「ナチュラル」「パルプドナチュラル」などと比べ、強烈な個性を主張できる一方、生産国や地域、品種等が持つ個性よりも、嫌気性発酵という精選方法が持つキャラクターの方が強く出てしまい、生産国や品種の持つ味わいを覆いつくしてしまう部分があります。
インフューズドコーヒーは、さらにハーブやフルーツ、スパイスといったコーヒー以外の香りがつくことから、もはやコーヒーと言うより「コーヒーを用いたフレーバードリンク」と化してしまいます。
ただ、それが単純に「悪いこと」と言うわけではなく、ある種面白い試みだとは思いますが、同時に素材本来が持つ風味がどこかへ行ってしまうことは、少々悲しい現実という思いもあります。
一方で、こういった外付けの味というものが、極最近登場したものかと言うとそうでもなくて、アラビカコーヒー発祥の地、エチオピアでは、コーヒーの皿に「テオアダム」というハーブが添えられてくることも多く、このハーブをコーヒーに少しつけて、しゃばしゃばすると、コーヒーの味にココナツのような甘みが加わり、なんとも夢心地な風味になります。
そうしてみると、コーヒーを純然たるコーヒーとして楽しむだけではなく、いろいろとアレンジして楽しむということは遠い昔から繰り返されてきたことになります。
このアナエロビックやインフューズドが、今後どうなっていくのか。
流行も100年続けば伝統になります。
個人的には、素材本来の風味を活かしたコーヒーが好きではありますが、今後の動向を楽しみに見ていきたいと思います。

エチオピアでコーヒーに添えられた「テオ アダム」


