自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

マスターの珈琲放談

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2022年03月

フレッシュ(コーヒークリーム)のピッチャー秘話

2022年3月1日 

2022年3月号掲載

喫茶店へ行ってコーヒーを注文すると、だいたいはコーヒークリームがついてきます。

このコーヒークリーム、日本では「フレッシュ」と呼ばれることが多いのですが、これは昔乳製品メーカーが「コーヒーフレッシュ」という名称で広告をしたのが起源のようで、日本以外では通用しない用語です。

このフレッシュ、乳脂肪のものもあれば、植物油脂のもの、乳脂と植脂を合わせたものと、いろいろな種類がありますが、ヴェルディの店内飲食では乳脂肪分35%のものを6cc、ピッチャーに入れて提供しています。

開業前、ヴェルディブレンドの提供量に対して、乳脂肪分が何パーセントのものを何cc入れるのが最適か?味を崩さない限界の量はどのていどか、試飲を重ねて乳脂肪分35%の生クリームを6ccという基準ができました。

そしていざ開業、普通のミルクピッチャーは9cc入るのですが、下の方がふくらんでいるので、6cc量るとピッチャーの真ん中あたりになります。

毎回、6cc分のクリームを量って提供していたのですが、開業から数週間経ったところで、お客様から呼ばれて、このようなことを言われました。

「サービスというものは、ちゃんとその器の提供量しっかり出すことを指す、ピッチャーの半分しかミルクを入れないでコストを抑えるなんて、みっともない上、客に対して失礼だ」

そこで、まだ若かった私は、つい「このコーヒーの味を損なわない分量が6ccだったので、その分量を量って提供していました」と言ったら、火に油を注いでしまい「それは客が決めることで、店はなみなみと出して客にたっぷり入れさせるのがサービスというもの、お前はなんという穿った考え方をしているんだ!」仕方なく、9ccなみなみと入れたピッチャーを渡すと、先にお出しした6ccに加え、9ccも全部お入れになり、帰り際に「ぜんぜん味のしない不味いコーヒーだった」と言われてしまいました。

確かに、ヴェルディブレンドに15ccの生クリームを入れると、味はしなくなってしまいます。

そこで満杯に入れて6ccのピッチャーを探してきて、それを使うようになったら、多くのお客様から「このピッチャーかわいいね」と言われるようになりました。

同じ量を提供していても、片や「みっともなくて客に失礼」片や「かわいい」

お客様商売は難しいけど面白いものです。

お客様とお話ししていると、6ccのミルクピッチャーを可愛さで選んだと思われているようなので、実はこんな事情で仕方なくこうなった、ということを(ぼちぼちこのお客様とのやりとりも時効かな?と思って)書いてみました。

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