自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

マスターの珈琲放談

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2022年07月

バタフライエフェクト

2022年7月1日 

2022年7月号掲載

「今まで使っていたグァテマラが、半端なく値上がりしてしまい、どうしようか悩んでいるのですが、どこかに今と同じくらいの価格で良いグァテマラありませんか?」

ヴェルディで働いていた元スタッフ(現・自家焙煎店マダム)から、こんな趣旨の問い合わせがありました。このところ、私も珈琲豆の仕入れには頭を悩ませており、特にグァテマラの仕入れは私にとっても喫緊の課題です。

そんな折、ヴェルディがグァテマラの豆を仕入れている商社の方が現地へ買い付けに行って来られました。帰国後、現地事情のレポートを書かれていたのですが、それを見て納得するような、驚くような・・・・ レポートの内容を簡単に説明してみましょう。

珈琲豆価格の高騰にコロナが影響していることは間違いないのですが、純粋に感染予防による行動制限が人手不足を呼び、減産や流通の悪化、コンテナ不足によることが原因だと思っていました。しかし、その商社の方が言うには、特に今年に入ってからは事情がちょっと違っているということです。

アメリカでは、コロナによる解雇や業務休止に伴い、生活に困窮している低所得の人たちに給付金を支給しました。ところが、今年に入ってアメリカでは規制も緩和され、急速に経済活動が回復しはじめました。そうなると多くの企業は、一気に人手不足に陥ります。しかし、本来なら復職するはずの人たちが、給付金により比較的財布に余裕があり、当面の生活に困らないことから復職しないという現象が起きてしまったのです。そこで、人手不足の企業は、中米からの出稼ぎ労働者を大量に雇用しました。すると、本来なら珈琲農園で働いていた人たちも賃金の良いアメリカへ出稼ぎに行き、収穫時期とアメリカの経済の復興が重なった中米各国、特にグァテマラではピッカーと呼ばれる収穫をする人たちが不足しました。出稼ぎに行かなかったピッカーも、完全な売り手市場に転じたため賃金が高騰、豆の取引価格も高騰してしまいました。それに追い打ちをかけたのが、未だ解消されないコンテナ不足と原油価格の高騰、さらに日本に限って言えば記録的な円安が珈琲豆の価格を必要以上に押し上げています。

日本では給付金詐欺が話題に上がる中、まさかアメリカが出した生活困窮者への給付金が、めぐりめぐって珈琲豆の価格高騰につながっていようとは。

恐らく、現在価格が上がっている畜産物や農産物にも同様の現象が起こっているものと思われます。

世界同時進行の疫病が大枠では原因だったものの、その中でも給付金という羽ばたきが、世界的なインフレを招く一翼を担っていた。かもしれない、というお話でした。

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