今回から2回に分けて、ハイブリッド品種について説明いたします。
ハイブリッド品種とは、文字通り異品種交配により両方の品種の良いとこどりをすることを前提に作られた新品種です。
そう言うと、なんだか人工的で良くないもののように思われるかもしれませんが、現在スーパーに並んでいる野菜・果実・穀物・畜肉などのなかで、全く交配されていない、純粋な原種あるいは在来種と言えるものがどの程度あるでしょうか?
本当に人間が品種改良のために手を加えていないものだけを食べようと思ったら、山へ山菜を摘みに行き、野生の動物を狩って食べる他ないのではないかと思います。
家庭菜園と言えば、なんとなく人工的なことを何もしていないように感じるかもしれませんが、庭やバルコニーに植える野菜や果物の種は、ほぼ全て研究所で交配して作られたものですし、家畜を飼って玉子や鶏、豚などを食料にしようと考えた場合でも、野生と同じ血統のものは、皆無と言っても良いでしょう。
コーヒーも同じで、人の手で交配したことのないものを求めた場合、エチオピアかイエメンで自生しているコーヒーを摘み取るしか方法はないのではないかと思います。
前置きが長くなりましたが、今回からはそんな交配によって作られた新しい品種について書きたいと思います。

ただ、ここで前提として、「ハイブリッド」は「アラビカ」同士の掛け合わせではなく、「カネフォラ(ロブスタ)」あるいは「リベリカ」とアラビカを掛け合わせて作られたものを指します。
上の図で言えば、「ムンドノーボ」や「カツーラ」「カツアイ」はハイブリッドではなく、単なるアラビカの交配合種です。
なぜそう定義するかと言うと、アラビカは風味こそ豊かですが、高地栽培が必要であったり、病害虫に対する耐性が低いものが多かったり。
一方でカネフォラ(ロブスタ)は、最高気温が高くなる低地でも栽培ができることや、病害虫に強いという特性があります。
そこで、風味良く、しかし低地でも栽培でき、さらに病害虫に強い品種を作ろうとした場合、異種配合が必要になります。
少し前は、このようなハイブリッドのことを「アラブスタ」などと揶揄する傾向もありましたが、ものによってはむしろ風味特性として他にはない面白いキャラクターを持っているということもあります。
ヴェルディでも、コロンビアをウイラ産からナリーニョ産に買えたとき、あえて品種はコロンビアの伝統的な品種ともいえる「カスティージョ」にしました。
ロブスタの良いところ(良いと言うべきかは意見が分かれますが)として、ブレンドを作るときに少量混ぜるだけで、風味のベースができて味が安定するということがあります。
そのため、安価なブレンドにはロブスタを混ぜることが多いのですが、ハイブリッド品種でもあるカスティージョにも同様の傾向があり、ブレンドに使うことで風味が安定するという利点もあります。
しかし、焙煎を少し深くしてしまうと、途端にロブスタの悪い面がでてきて苦みが重くなってしまうため、焙煎には非常に気を遣う品種でもあります。


