自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

マスターの珈琲放談

  1. 下鴨店TOP
  2. マスターの珈琲放談

珈琲の品種-5【ティピカ-3】

2021年10月9日 

前回に引き続き、今回もティピカ系の豆についての説明です。

今回も、ものすごくアバウトなコーヒー系統図の中からティピカ系の部分を載せておきます。

前回書いた「ジャワ」や「マラゴジッペ」は、単体としても取り扱われます。

しかし、両品種とも近年土着による変異や交配によって、より注目されていることから、2品種だけを詳しく書きました。

ジャワ種についていえば、近年「ジャバニカ種」がその風味特性から脚光を浴びて、コンテストなどでも上位入賞を果たすなど人気が出てきています。

また、マラゴジッペは、パーカス種と掛け合わせた「パカマラ種」が、中米を中心にCOE(カップ オブ エクセレンス)の入賞品種常連になるなど、目にする機会の多い品種でしたが、今回は比較的マイナーな3種についてさらっと説明いたします。

【ケント】

● 由来

インド南西部マイソール地方で発見されたティピカの突然変異とも他種との自然交配とも言われている品種。

1920年頃、マイソール地方にあったロバート・ケント氏が所有するドッデングーダ農園で発見された。

さび病に強いことから、発見から20年ほどはインドの中で人気品種として広がったが、近年はタンザニアを中心に栽培されている。

● 風味

マイルドで飲みやすいが、比較的固い豆なので中煎りだと個性を活かしにくい。

一方、深く煎っても味が崩れにくく、甘みを伴ったボディ感が増す。

● 雑ネタ

インドのマイソール地方へコーヒーの木が渡ったのは、1600年ごろにイスラムの巡礼者ババ・ブーダンが持ち出したものと言われていますが、1658年にはオランダがイエメンから持ち出した苗木を当時東インド会社が支配していたスリランカへ移植し、そこから200年近くスリランカでもコーヒー栽培が盛んにおこなわれました。

しかし、この1658年から始まったスリランカでのコーヒー栽培が、近年あまり大きく扱われないのは、1860年代にスリランカとインド(南西部)で猛威を振るったコーヒーの病気「さび病」により、両国のコーヒー栽培は壊滅的な被害を受け、特にスリランカではほとんどコーヒー栽培が途絶えてしまったことにあります。

そして、コーヒーの木がほぼ全て枯れてしまったところに、こんどは紅茶の栽培が始まり、インドとスリランカはコーヒー栽培の国から紅茶栽培の国へと変貌を遂げました。

そんな、さび病に対する痛い想いがあったことから、さび病に耐性のあったケント種は、発見当時のインドで人気を博しました。

そして、スリランカではコーヒー栽培が本当に小規模なものになったのに対し、インドでは病害虫に強い「ロブスタ種」の生産が盛んになりました。

ケント種とロブスタ種がインドで人気を得たのは、「さび病対策」という共通の優先事項があったからと言えるでしょう。

【サンラモン】

● 由来

1930年頃、コスタリカ西部のアラフエラ州にある、人口10,000人ほどの小さな町、「サンラモン」で発見されたティピカの突然変異種。

● 木および豆の特徴

樹高が高く、枝と枝の間隔が他のティピカ系と比べて狭いため、見た目クリスマスツリーのような、コンパクトにぎゅっと詰まったように見える。

チェリーは小ぶりで生産性は低い。

高地栽培に適していると言われているが、サンラモンの標高は1,057mとコーヒーの栽培地としては高い部類に入らないのが面白いところ。

生産性が良くないため、広く栽培されているというより、パナマやホンジュラス、グァテマラの一部などで細々と栽培されている品種。

● 風味

とても甘みが強いのが特徴。

もし、生産性が高かったら、多くの農園で栽培されるのではないかと思われるが、逆に生産性が高かったら、こんなに甘みは出ないかもしれないとも言われている(誰が言っているのか知らないが)

【パチェ】

● 由来

グァテマラで発見されたティピカの突然変異種

● 木および豆の特徴

樹高は中程度で、豆は比較的小粒。

● 風味

とてもマイルドで、控えめな酸味が特徴。

● ヴェルディでの取り扱い

開業当初から扱っている「グァテマラ・アンティグア」は、主にブルボン種ですが、その年のグァテマラを決めるためにカッピングして、より良いものを選んだとき、産地情報の詳細を見ると「品種:ブルボン、パチェ」と記載されていることがあります。

あくまで風味で選んでいて、たまたまパチェが入っていたということになるのですが、恐らくブルボンの特徴を崩さず、むしろより引き立てる役割を果たしているのではないかと思います。

【スマトラ】

● 由来

インドネシア、スマトラ島で栽培されるティピカ種。

インドネシアでは「バーゲンダル」と呼ばれている。

従来のティピカに比べると、生産性が高くさび病への耐性も高いとされる。

1908年にインドネシアで猛威を振るった「さび病禍」を生き残ったティピカとも言われている。

● 雑ネタ

ティピカの系統図に入れておらず、由来の部分でも歯切れの悪い書き方をしていますが、それには私なりの理由が3つあります。

1,ブラジルなどでは、「ストロング・ティピカ」と言われており、変異種と言うべきか、土着のティピカと言うべきか悩むところ。

2, スマトラ島(マンデリン)は、他の生産国とは違う「スマトラ式」という精製方法をとっており、他のティピカ種と風味の違いを単純に比較できないため、豆の風味なのか精選方法による風味の違いなのかを明確にできない。

3, マンデリン栽培地域は、小規模・零細農家の集まりで、品種を純粋に単一に管理するという概念に乏しく、本当の意味での「スマトラ種」がどの程度存在しているのかどうかが掴みにくい。

そのような事情で、私としてはあえて「スマトラ種」を外していますが、マンデリンを仕入れるときによく書かれている「スマトラ種」の豆は、実に魅力的で強いキャラクターを持ったものです。

ただ、上記のように、それが本当にスマトラ種の風味なのか、精選方法による違いなのか、あるいは「スマトラ種」と書かれていても、多品種との自然交配が行われているものなのか、さらに零細農家のかき集めになってしまうことから、本当にスマトラ種がどの程度入っているのかが不明なのが【マンデリン】です。

それもマンデリンの魅力でもあり、風味・品質を高い水準で維持することが難しい原因でもあります。

珈琲の品種-6【ブルボン-1】

2021年10月9日 

今回は、ティピカ種と並ぶアラビカ種の代表格「ブルボン種」について説明します。

まずは、ものすごく大雑把なブルボン種の系統図から。

「ブルボン種」の【ブルボン】は島の名前からきています。

そのブルボン島とはどんなところなのかから説明しなくてはならないでしょう。

ブルボン島は、現在「レユニオン島」という名前になっています。

ここは、フランス共和国の海外県という位置付で、実質的にフランスの領土と言えます。

アフリカ大陸の南東にある島で、マダガスカル島の東、面積は2,512キロ㎡なので、沖縄の二倍程度の広さです。

現在は、人口86万人ほどですが、1507年にポルトガル人がこの島を発見した当時は無人島でした。

その後、1640年にフランス人が上陸してフランス領を宣言。

1642年にルイ13世が、当時の王朝の名称(ブルボン王朝)から引用し、「ブルボン島」と名付けました。

1665年には、フランスの東インド会社がインドとの輸出入における中継地として重用したことから植民を開始します。

1715年頃には、イエメンからコーヒー豆が伝わり、コーヒー栽培が盛んになりますが、その後サトウキビへと主要産業が移り、製糖がブルボン島の重要産業となりました。

しかし、その後フランス革命による王朝の終焉に伴い、「レユニオン島」に改名されます。

1806年には、皇帝ナポレオンにちなんで「ボナパルト島」と改名しましたが、ナポレオン戦争が終結し、1814年にイギリスがこの島を占領したことにより、再び「ブルボン島」に改名されました。

しかし、1848年フランスの2月革命により、再び「レユニオン島」に改名されて今に至ります。

時の政権によって何度も名称が変わった島ですが、この島の産業も1700年代当初の珈琲栽培から、トウキビ栽培へと移り変わり、アラビカ種における2大品種の片割れとも言える「ブルボン種」、その名称発祥の地では、極僅かの栽培になっています。

しかし、その子孫たちが現在の世界のアラビカ種をけん引しているのです。

珈琲の品種-7【ブルボン-2】

2021年10月9日 

前回に引き続き、ブルボン種について書いて行きます。

今回も、まずはブルボン種の非常にアバウトな系譜を載せておきます。

【イエローブルボン】

● 由来

イエメンよりレユニオン島(旧ブルボン島)へ伝搬した「ブルボン種=レッドブルボン」とティピカの中でも熟すと黄色くなるもの(アマレロ デ ボッカツ)が自然交配してできたものと言われる。

● 風味

マイルドで飲みやすく、風味特性は良い。

レッドブルボンよりも甘みが強いとも言われるが、品種の問題なのか農園などの管理の問題なのかは不明。

● 木および豆の特徴

ティピカよりも2~3割多く収穫できるが、他の高生産性品種と比べると、収穫量は少な目。

実のサイズは比較的小さめ(レッドブルボンも同様)で、スクリーン16以下がメイン。

熟すまでのスピードは速め。

【ピンクブルボン】

● 由来

他品種との自然交配、または突然変異と言われているが、正確には不明。

熟すとピンクっぽいオレンジがかった赤い色になる。

● 風味

他のブルボン種とは風味の面で大きく違い、浅煎りだとゲイシャに似た特徴を持つが、ゲイシャと比べると実が硬いため、非常に酸味が強く出てしまう。

中煎りの後半まで焙煎を進めたほうが飲みやすいが、ゲイシャっぽさは失われて、独特のコクと甘みを楽しめる。

ゲイシャの場合、ここまで焙煎を進めると完全にキャラクターが損なわれるので、そういう面ではやはりブルボンと言える。

【モカ】

● 由来

レユニオン島由来のブルボン種の突然変異と言われているが、ブルボンとは形状や風味が違うことから、イエメンから渡った中の別品種ではないかという説もある。

現在は、マウイ島で栽培される「マウイモカ」と一部ブラジルでも生産されている。

● 木および豆の特徴

非常に小粒で丸っこい。

ヴェルディでも一度販売をしたが、小さなピーベリーという感じで、ブルボンというイメージは全くない。

樹高は低く、さび病には強いが生産性が非常に低いため、ほとんど栽培されていない。

● 風味

風味は良くて、マイルドでクリアで甘みもある。

標高が低いところでも、高いカップクオリティーを発揮できる豆。

【カツーラ】

● 由来

ブラジルのミナスジェライス州で発見されたブルボンの突然変異種。

1910年に確認されているが、正式にカツーラ(カツゥーラ)種として世に出たのは1935年頃。

● 木および豆の特徴

樹高は低く、非常にコンパクトな木。

元の品種よりも小型化した「矮小種」と言われる。

しかし、生産性は高く、ティピカの2~3倍の収穫量を誇る。

一方で、非常に土中の栄養を要するため栽培にはケアが必要とされ、年間降雨量も2,500~3,000mmは必要とされる。

生産性が高いため、人気の品種ではあるが、さび病に対する耐性が低く、いったん病気が流行り出すと壊滅的な影響を受ける品種でもある。

● 風味

ブルボン直系だけに、風味特性は優れおり、標高が高くなるほど風味も良くなる。

一方で、標高が高くなると、生産性が落ちてくるので、高生産性品種としての優位性が落ち、さび病のリスクと天秤にかけると、難しい選択を余儀なくされる。

● 一言

ブルボン直系の高生産性品種ということもあり、他品種との交配が非常に活発に行われている品種。

カツアイ(カトゥアイ)やカチモールといったハイブリッド品種の元になっている。

カツーラも、熟すと黄色くなる「イエローカツーラ」があり、ブラジルの中でもマッタデミナスとエスピリットサント州の州境あたりの高地でよく栽培されているが、現地では「イエローカツーラ」と言わず、そのあたりの地名から「イエローカパラオ」と呼ばれている。

実際、遺伝子的にはイエローカツーラとイエローカパラオは若干違うらしい(現地の人談)

【ヴィジャサルチ】

● 由来

正確な記録がないので不明だが、1920年~1950年の間あたりに、コスタリカで発見されたブルボンの突然変異種。

コスタリカのアラフェラ州(首都・サンホセにほど近い場所)の北西部にある「サルチ」という町で発見されたことからヴィジャサルチ(ビジャサルチ)と命名された。

● 風味

ブルボンのフルーティーさを持つ良好な風味。

● 一言

高地での栽培に適しているが標高1,200~1,500mmでも良好な風味を出せることから、コスタリカ国内では栽培が広がったものの、病害虫への耐性が低いことから今では下火となっている。

【パーカス】

● 由来

1950年頃、エルサルバドルのサンタ アナにあるアルベルト・パーカスという人の農園で発見されたブルボンの突然変異種。

● 木および豆の特徴

カツーラと同様に、木がコンパクトな所謂「矮小種」の特徴を持っている。

生産性は通常のブルボンより高いものの、カツーラほどではない。

しかし、低地での栽培に適しており、干ばつなどにも強く、栽培される土が多少肥養さを欠いても育つ特徴がある。

同じ矮小種でも、土中の養分が多く、2,500~3,000mmの降雨量を必要とするカツーラとは逆の特性を持っている品種。

● 風味

ブルボンの特徴をしっかりと受け継いでとても良好な風味。

● 一言

エルサルバドルのコーヒー研究所で、優良種(同じ品種の中でも特に優れたものを選別する)の選別が重ねられた結果、現在でもエルサルバドルの栽培品種の25%近くを占めるシェアを持つ。

ただ、小粒であることから、エルサルバドル以外の国では、ティピカの突然変異で大粒の品種「マラゴジッペ」と掛け合わせた「パカマラ種」が多く栽培されている。

珈琲の品種-8【ハイブリッド-1】

2021年10月9日 

今回から2回に分けて、ハイブリッド品種について説明いたします。

ハイブリッド品種とは、文字通り異品種交配により両方の品種の良いとこどりをすることを前提に作られた新品種です。

そう言うと、なんだか人工的で良くないもののように思われるかもしれませんが、現在スーパーに並んでいる野菜・果実・穀物・畜肉などのなかで、全く交配されていない、純粋な原種あるいは在来種と言えるものがどの程度あるでしょうか?

本当に人間が品種改良のために手を加えていないものだけを食べようと思ったら、山へ山菜を摘みに行き、野生の動物を狩って食べる他ないのではないかと思います。

家庭菜園と言えば、なんとなく人工的なことを何もしていないように感じるかもしれませんが、庭やバルコニーに植える野菜や果物の種は、ほぼ全て研究所で交配して作られたものですし、家畜を飼って玉子や鶏、豚などを食料にしようと考えた場合でも、野生と同じ血統のものは、皆無と言っても良いでしょう。

コーヒーも同じで、人の手で交配したことのないものを求めた場合、エチオピアかイエメンで自生しているコーヒーを摘み取るしか方法はないのではないかと思います。

前置きが長くなりましたが、今回からはそんな交配によって作られた新しい品種について書きたいと思います。

ただ、ここで前提として、「ハイブリッド」は「アラビカ」同士の掛け合わせではなく、「カネフォラ(ロブスタ)」あるいは「リベリカ」とアラビカを掛け合わせて作られたものを指します。

上の図で言えば、「ムンドノーボ」や「カツーラ」「カツアイ」はハイブリッドではなく、単なるアラビカの交配合種です。

なぜそう定義するかと言うと、アラビカは風味こそ豊かですが、高地栽培が必要であったり、病害虫に対する耐性が低いものが多かったり。

一方でカネフォラ(ロブスタ)は、最高気温が高くなる低地でも栽培ができることや、病害虫に強いという特性があります。

そこで、風味良く、しかし低地でも栽培でき、さらに病害虫に強い品種を作ろうとした場合、異種配合が必要になります。

少し前は、このようなハイブリッドのことを「アラブスタ」などと揶揄する傾向もありましたが、ものによってはむしろ風味特性として他にはない面白いキャラクターを持っているということもあります。

ヴェルディでも、コロンビアをウイラ産からナリーニョ産に買えたとき、あえて品種はコロンビアの伝統的な品種ともいえる「カスティージョ」にしました。

ロブスタの良いところ(良いと言うべきかは意見が分かれますが)として、ブレンドを作るときに少量混ぜるだけで、風味のベースができて味が安定するということがあります。

そのため、安価なブレンドにはロブスタを混ぜることが多いのですが、ハイブリッド品種でもあるカスティージョにも同様の傾向があり、ブレンドに使うことで風味が安定するという利点もあります。

しかし、焙煎を少し深くしてしまうと、途端にロブスタの悪い面がでてきて苦みが重くなってしまうため、焙煎には非常に気を遣う品種でもあります。

珈琲の品種-9【ハイブリッド-2】

2021年10月9日 

現在流通しているコーヒーの品種は、大別して3つに分けられることから「3大品種」と言われています。

それは、

1,アラビカ種:酸味・香りが良く、様々なキャラクターがある高級品種

2,ロブスタ種(カフェフォラ):酸味はほとんどなく、深めに煎ると苦みと独特の重い油脂系の香り(通称ロブ臭)がする普及価格帯品種

3,リベリカ種:アフリカ中南部を中心として流通している普及価格帯品種。酸味・香りには多くを期待できず、やや重い苦みが特徴。

そして、これとは別に

4,ハイブリッド品種:上記1~3を掛け合わせて作られた新品種

というのが、第四の品種として流通しています。

今回は、それらハイブリッド品種について個別に説明していきます。

● ハイブリッドティモール

1920年代、ティモール島の農園で発見された自然交配によるハイブリッド品種第一号。

それまでアラビカ種とカネフォラ種は自然交配しないと考えられていましたが、その一般論を覆し、ティモール島のアラビカ種を栽培する農園で発見されました。

ただ、これはたまたま染色体数が変異したロブスタ種と近くで栽培されていたアラビカ種が自然交配して誕生しました。

このハイブリッドティモールは、アラビカ種との交配が可能であったため、その後のハイブリッド品種の母体となり、多くの品種を排出することになります。

● カチモール

ハイブリッドティモールとカツーラの配合種。

1959年にポルトガルで作られたハイブリッド種です。

さび病に対する耐性がある上、成熟が早く生産性も高いことから、コロンビアやブラジルで多く栽培されるようになりました。

(ブラジルでは、土壌との相性が良くなかったため、ヴィザサルチとティモールの配合種サルティモールが普及した)

比率としては、ロブスタよりもアラビカの方が高い(1:2)ため、生産性の高いアラビカ種として世に出てみたものの、やはり風味特性は純粋なアラビカより弱いため、生産性の高さから南米のシェアは上げたが、品質は下げたと揶揄されることも多いのが実情です。

● その他のハイブリッド

コロンビア:カチモール同様、ハイブリッドティモールとカツーラの配合種で、コロンビアで1988年から生産され始めました。

カスティージョ:カチモールの中からセレクトされた品種で、2005年にコロンビアで生産が開始されました。

上記2種は、それぞれ「コロンビア」「カスティージョ」の前に「カチモール」をつけて、カチモールの亜種であることを謳うこともあります。

● ジャクソン

リベリカ種とブルボン種が自然交配によってできた新品種に、もう一度ブルボンを掛け合わせて、風味特性を向上させたハイブリッド品種。

ハイブリッドと言うと、ロブスタとアラビカの掛け合わせがメインですが、ジャクソンは珍しくリベリカとの掛け合わせ品種です。

ブルンジやルワンダで多く栽培されています。

ハイブリッド品種は、産業としてのコーヒーを支えてきましたが、近年のスペシャルティブームもあり、その存在に対して批判的な意見も耳にすることが多くあります。

しかし、コーヒーを産業としてではなく、自然の一部として捉えたとき、一般的には交配しないはずであったアラビカとロブスタが染色体数の変異という過程を経て自然交配したという事実には、生命の凄さを感じずにいられません。

そんなハイブリッド品種、毛嫌いするだけではなく、ブレンドに少し入れるだけで、けっこうブレンドが安定したりすることもあります。

バイオリンが主旋律を担当している曲では、高音域こそ素晴らしい音色だと思われていても、コントラバスがしっかりとベースを守っているからこそ、全体のハーモニーに調和が生まれるのと同じかもしれません。

しかし、残念ながらヴェルディではハイブリッド品種を扱っていないので、飲んでみたい方は他をあたっていただければ幸いです。

このページの先頭へ