現在流通しているコーヒーの品種は、大別して3つに分けられることから「3大品種」と言われています。
それは、
1,アラビカ種:酸味・香りが良く、様々なキャラクターがある高級品種
2,ロブスタ種(カフェフォラ):酸味はほとんどなく、深めに煎ると苦みと独特の重い油脂系の香り(通称ロブ臭)がする普及価格帯品種
3,リベリカ種:アフリカ中南部を中心として流通している普及価格帯品種。酸味・香りには多くを期待できず、やや重い苦みが特徴。
そして、これとは別に
4,ハイブリッド品種:上記1~3を掛け合わせて作られた新品種
というのが、第四の品種として流通しています。
今回は、それらハイブリッド品種について個別に説明していきます。
● ハイブリッドティモール
1920年代、ティモール島の農園で発見された自然交配によるハイブリッド品種第一号。
それまでアラビカ種とカネフォラ種は自然交配しないと考えられていましたが、その一般論を覆し、ティモール島のアラビカ種を栽培する農園で発見されました。
ただ、これはたまたま染色体数が変異したロブスタ種と近くで栽培されていたアラビカ種が自然交配して誕生しました。
このハイブリッドティモールは、アラビカ種との交配が可能であったため、その後のハイブリッド品種の母体となり、多くの品種を排出することになります。
● カチモール
ハイブリッドティモールとカツーラの配合種。
1959年にポルトガルで作られたハイブリッド種です。
さび病に対する耐性がある上、成熟が早く生産性も高いことから、コロンビアやブラジルで多く栽培されるようになりました。
(ブラジルでは、土壌との相性が良くなかったため、ヴィザサルチとティモールの配合種サルティモールが普及した)
比率としては、ロブスタよりもアラビカの方が高い(1:2)ため、生産性の高いアラビカ種として世に出てみたものの、やはり風味特性は純粋なアラビカより弱いため、生産性の高さから南米のシェアは上げたが、品質は下げたと揶揄されることも多いのが実情です。
● その他のハイブリッド
コロンビア:カチモール同様、ハイブリッドティモールとカツーラの配合種で、コロンビアで1988年から生産され始めました。
カスティージョ:カチモールの中からセレクトされた品種で、2005年にコロンビアで生産が開始されました。
上記2種は、それぞれ「コロンビア」「カスティージョ」の前に「カチモール」をつけて、カチモールの亜種であることを謳うこともあります。
● ジャクソン
リベリカ種とブルボン種が自然交配によってできた新品種に、もう一度ブルボンを掛け合わせて、風味特性を向上させたハイブリッド品種。
ハイブリッドと言うと、ロブスタとアラビカの掛け合わせがメインですが、ジャクソンは珍しくリベリカとの掛け合わせ品種です。
ブルンジやルワンダで多く栽培されています。
ハイブリッド品種は、産業としてのコーヒーを支えてきましたが、近年のスペシャルティブームもあり、その存在に対して批判的な意見も耳にすることが多くあります。
しかし、コーヒーを産業としてではなく、自然の一部として捉えたとき、一般的には交配しないはずであったアラビカとロブスタが染色体数の変異という過程を経て自然交配したという事実には、生命の凄さを感じずにいられません。
そんなハイブリッド品種、毛嫌いするだけではなく、ブレンドに少し入れるだけで、けっこうブレンドが安定したりすることもあります。
バイオリンが主旋律を担当している曲では、高音域こそ素晴らしい音色だと思われていても、コントラバスがしっかりとベースを守っているからこそ、全体のハーモニーに調和が生まれるのと同じかもしれません。
しかし、残念ながらヴェルディではハイブリッド品種を扱っていないので、飲んでみたい方は他をあたっていただければ幸いです。


