自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

マスターの珈琲放談

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珈琲の品種-9【ハイブリッド-2】

2021年10月9日 

現在流通しているコーヒーの品種は、大別して3つに分けられることから「3大品種」と言われています。

それは、

1,アラビカ種:酸味・香りが良く、様々なキャラクターがある高級品種

2,ロブスタ種(カフェフォラ):酸味はほとんどなく、深めに煎ると苦みと独特の重い油脂系の香り(通称ロブ臭)がする普及価格帯品種

3,リベリカ種:アフリカ中南部を中心として流通している普及価格帯品種。酸味・香りには多くを期待できず、やや重い苦みが特徴。

そして、これとは別に

4,ハイブリッド品種:上記1~3を掛け合わせて作られた新品種

というのが、第四の品種として流通しています。

今回は、それらハイブリッド品種について個別に説明していきます。

● ハイブリッドティモール

1920年代、ティモール島の農園で発見された自然交配によるハイブリッド品種第一号。

それまでアラビカ種とカネフォラ種は自然交配しないと考えられていましたが、その一般論を覆し、ティモール島のアラビカ種を栽培する農園で発見されました。

ただ、これはたまたま染色体数が変異したロブスタ種と近くで栽培されていたアラビカ種が自然交配して誕生しました。

このハイブリッドティモールは、アラビカ種との交配が可能であったため、その後のハイブリッド品種の母体となり、多くの品種を排出することになります。

● カチモール

ハイブリッドティモールとカツーラの配合種。

1959年にポルトガルで作られたハイブリッド種です。

さび病に対する耐性がある上、成熟が早く生産性も高いことから、コロンビアやブラジルで多く栽培されるようになりました。

(ブラジルでは、土壌との相性が良くなかったため、ヴィザサルチとティモールの配合種サルティモールが普及した)

比率としては、ロブスタよりもアラビカの方が高い(1:2)ため、生産性の高いアラビカ種として世に出てみたものの、やはり風味特性は純粋なアラビカより弱いため、生産性の高さから南米のシェアは上げたが、品質は下げたと揶揄されることも多いのが実情です。

● その他のハイブリッド

コロンビア:カチモール同様、ハイブリッドティモールとカツーラの配合種で、コロンビアで1988年から生産され始めました。

カスティージョ:カチモールの中からセレクトされた品種で、2005年にコロンビアで生産が開始されました。

上記2種は、それぞれ「コロンビア」「カスティージョ」の前に「カチモール」をつけて、カチモールの亜種であることを謳うこともあります。

● ジャクソン

リベリカ種とブルボン種が自然交配によってできた新品種に、もう一度ブルボンを掛け合わせて、風味特性を向上させたハイブリッド品種。

ハイブリッドと言うと、ロブスタとアラビカの掛け合わせがメインですが、ジャクソンは珍しくリベリカとの掛け合わせ品種です。

ブルンジやルワンダで多く栽培されています。

ハイブリッド品種は、産業としてのコーヒーを支えてきましたが、近年のスペシャルティブームもあり、その存在に対して批判的な意見も耳にすることが多くあります。

しかし、コーヒーを産業としてではなく、自然の一部として捉えたとき、一般的には交配しないはずであったアラビカとロブスタが染色体数の変異という過程を経て自然交配したという事実には、生命の凄さを感じずにいられません。

そんなハイブリッド品種、毛嫌いするだけではなく、ブレンドに少し入れるだけで、けっこうブレンドが安定したりすることもあります。

バイオリンが主旋律を担当している曲では、高音域こそ素晴らしい音色だと思われていても、コントラバスがしっかりとベースを守っているからこそ、全体のハーモニーに調和が生まれるのと同じかもしれません。

しかし、残念ながらヴェルディではハイブリッド品種を扱っていないので、飲んでみたい方は他をあたっていただければ幸いです。

カスカラサブレ新登場!

2021年10月1日 

カスカラに含まれるポリフェノールは赤ワインの10倍以上!まさにポリフェノールの宝庫です

カスカラとは・・・

コーヒーは、コーヒーの実の中にある種を煎ったものです。

カスカラは、種を取り出した後の果肉と果皮を乾燥させたものです。

全世界で毎日10億杯以上飲まれているというコーヒーですが、その生産現場では、大量のカスカラが廃棄され、土や水への環境負荷になっています。そのカスカラを活用できれば、農家の所得向上や食品ロスの軽減に繋がり、環境への配慮にもつながります。

そんないいことずくめのカスカラですが、良質なカスカラを作るためには、精選時にひと手間もふた手間もかかるため、なかなか良質なものを安定的に仕入れられませんでした。今回、インドネシアの小規模農家を支援しつつ、良質なカスカラを作り輸入する企業からの仕入れに成功、商品化が実現しました。

気になるお味は、ほんのり酸味とフルーティーさが心地よい、甘酸っぱい風味です。

一般的にカスカラは湯に浸してお茶として飲まれることが多く、こちらもほんのり甘いハーブティーのような味わいです。

ヴェルディのカスカラサブレ、ぜひお試しくださいませ。

酸っぱいの、苦いの

2021年9月1日 

2021年9月号掲載

先日、初めてヴェルディで珈琲豆をお求め下さるお客様が何を購入しようか迷っていらっしゃったので、お好みの風味などを伺ったところ、深煎りでなおかつ爽やかな香りのものが良いとおっしゃったので、「ケニアはいかがですか?」と提案したところ「ケニアって酸っぱい珈琲でしょ?私、酸っぱいの苦手なので」と言われた。

日々営業をしていると「酸っぱい珈琲は嫌」とおっしゃるお客様が多いのですが、恐らくこちらのお客様は、どこかのお店で極浅煎りのケニアをお召し上がりになったのだと思います。

珈琲の味を評するとき、産地・銘柄で語られることが多いのは事実。

確かに繊細な風味特性などは、産地や品種によってある程度決まってきますが、もっと大枠で見た時の【酸味】【苦み】のバランスは、焙煎度合いによって変わります。

ヴェルディに通ってくださっているお客様なら「何を今更」と言われそうですが、珈琲の味は焙煎により加熱することによって、最初のうちはお茶のような味が、だんだん渋みを伴った酸っぱみになり、やがて酸っぱみがフルーティーな酸味へと変わります。

そういう意味で、私たちは【酸っぱみ】と【酸味】は明確に分けています。

その後、酸味は薄れて行って苦みがだんだん強くなっていきます。

つまり、ケニアも極浅く焙煎すると、酸っぱい珈琲になってしまいますが、しっかりと火を通してやることで、苦みの珈琲にすることもできます。(図参照)

同じ産地の豆でも、焙煎次第で酸っぱくもなれば苦くもなる。それが珈琲の焙煎というものです。

もし、焙煎による味の変化について、もっと詳しく知りたいという方は、ぜひヴェルディの YouTube https://www.youtube.com/@caffeVerdi-でご確認ください。

ブレンドとシングルオリジン

2021年7月1日 

2021年7-8月号掲載

18年前の開業当初、ほとんどのお客様は、メニューもよく見ないで「ブレンド」と注文されることが多かったように記憶しています。

当時はまだヴェルディのような多くの豆を焙煎度合いごとに並べる店は少なく、単一生産国の豆のことを単に「ストレート」と呼んでいました。

いつの頃からかそんなストレート豆の、さらに単一農園豆のことを「シングルオリジン」と呼ぶようになり、ブレンドよりもシングルオリジンの方が価値あるもののように言う人も増えてきました。

クオリティーの高いシングルオリジンは、焙煎さえしっかりすれば美味しい珈琲になります。

そんな素晴らしいシングルオリジンの個性を味わうのも珈琲を楽しむ一つの要素だと思います。

しかし、豆の仕入れから焙煎までを一元管理する私にとっては、ブレンドこそ珈琲の味わいを探求する醍醐味だと思えるのです。

それはどういうことか、私の趣味でもある音楽に例えてみましょう。

シングルオリジンというのは、例えるならピアノであったりヴァイオリンであったり、1つの楽器と言えます。

素晴らしい楽器があり、才能ある作曲家が曲を作り、腕のあるプレイヤーが演奏すれば、感動的な演奏になります。

しかし、ピアノソナタから聞こえてくるのは、たとえ和音であっても、どんなに甘美なメロディーであってもそれはピアノだけの音です。

一方で、ブレンドはいくつかの楽器による合奏と言えるでしょう。

ピアノのみならず、ヴァイオリンや木管楽器などが共演します。

ただ、下手をすると不協和音になる、或いはうるさいだけになってしまいます。

そんな各々の楽器が持つ個性をしっかり掌握して、全体をまとめつつ素晴らしい音色を作ることこそ作曲家の腕の見せ所。

焙煎士に置き換えれば、各々の豆が持つ個性をしっかり掌握して、それを十分に引き出す焙煎をしたうえで、数種類の豆をブレンドして単一豆では絶対に出せない新たな味の創造をすることこそ、本当のアーティストにしかできない仕事だと思うのです。

初めて行った珈琲専門店で、豆の種類が多いときは何を注文しようか悩むところですが、迷ったらその店のハウスブレンド。

そのお店の珈琲に対する考え方が全て分かるのが、ブレンドなのです。

Vol.1 フランス人はスゴイ

2021年6月1日 

2021年6月号掲載

みなさんは「珈琲」と聞いてどこの国を連想するか?と訊かれたらなんと答えるでしょうか?

例えば、「ワイン」と聞いたら「フランス」と答える人が多いでしょう。「紅茶」だったら産地として有名な「インド」あるいは消費国として「イギリス」と答える人も多いかと思います。

ヴェルディのスタッフ3人に「珈琲」で連想する国は?と聞いてみたら「ブラジル」「エチオピア」「タンザニア」と三者三様に答えました。たぶん自分が好きな生産国を言ったのでしょう。

ブラジルは世界最大の生産国ですし、エチオピアはアラビカ珈琲発祥の国、まぁ、タンザニアは置いておくことにして、確かにそれらの生産国は大変重要です。

でも、私は「もしフランス人がいなかったら珈琲の文化はどのようになっていただろう?」と思うのです。

珈琲栽培の歴史において、フランス人が果たした役割は非常に大きいものでした。

でも、そういった栽培の歴史ではなく、珈琲の淹れ方・飲み方に対して革新的な方法を考えたのがフランス人だったのです。1700年頃まで珈琲の抽出はトルコ式の煮出したものがほとんどでした。しかし1710年にフランス人がドリップコーヒーの元となる「濾して浸出する」抽出方法を考え出しました。

これによって、珈琲は飛躍的に飲みやすくなりました。

さらに、時を同じくしてパリではミルクを入れる飲み方が人気となります。

カフェ オ レの誕生でした。

フランスでは温めたミルクとドリップした珈琲でカフェ オ レを作りますが、イタリアではフォームしたミルクとエスプレッソでカフェ ラ テを作ります。

ミルクコーヒーの美味しさを知ったイタリア人も、同じように飲みたかったものの、実は地中海沿岸の人種は、遺伝的に乳糖を分解しにくい人が多く、フランス人のようにたっぷりとミルクを入れると、おなかがゴロゴロしてしまうことが少なくなかったようです。

そこで、少量のミルクでもミルク感を楽しむためにフォームドミルクという手法が考え出されたのではないかと私は勝手に想像しているのです。

もし、フランス人が1700年初頭にドリップとミルク入り珈琲を思いついていなかったら、今の珈琲飲用文化はどうなっていたのだろう?

たまにそんなことを考えながら、フランス人はスゴイと思うのでした。

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