自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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2019年03月

インドカレーとスパイスカレー

2019年3月7日 

今朝は私が歩くころ、ちょうど雨が上がっていたのだが、出勤しようと外に出たらポツポツと降っていた。

もうずいぶんと気温も上がり「寒い」から「涼しい」という感じになってきた。

 

はじめに、今日はかなり毒舌になります。

ご容赦ください。

さて、このところ毎日のようにカレーの試作をしているのだが、昨日も自宅でカレーの試作をしてみた。

真鯛のオレンジカレー

一昨日のカレーとどこが違うねん?と言われそうだが、見た目こそ似ているものの、全く味は違って、一昨日はココナツ風味のカレーで今回のはオレンジ風味のカレー。

先日店でオレンジ風味のポークカレーを作ってみて、これはまあまあの出来だったのだが、今回のはちょっとイマイチな感じだった。

自宅のミキサーが壊れているので、カシューナッツペーストを作れず、ココナツミルクを少し入れたのが間違いだったのかもしれないし、カレーリーフが不要だったような気もするし、とりあえずオレンジ風味については再度検証してみよう。

で、そのオレンジ風味のカレーというのは完全な創作カレーなのだが、最近巷では「スパイスカレー」なるものが人気を博している。

私個人の意見としては、カレーにスパイスが入っていないわけないので、【スパイスカレー】と聞くと【炭酸ソーダ】と言っているようなもので、別の言い方をすると【頭痛が痛い】と同義語のように思えるのだが、まぁ、それはさておいて。

私も何軒かのお店でそのスパイスカレーなるものを食べてみたのだが、どうもそれらの店は足し算で料理しているので、やたらと不要なスパイスを投入しているように思えてならない。

画家が絵をかくとき、絵の具を混ぜて奇麗な色を作るわけだが、微妙な配合で数種類の絵の具を混ぜるから奇麗な色ができるわけで、やたらめったら多くの絵の具を混ぜたら真っ黒になっておしまいなわけである。

全てのスパイスカレーがそうだとは言わないが、スパイスカレーを看板にしている店の中には単に絵の具をたくさんまぜて真っ黒にしてしまったような味であることが少なくない。

 

私が珈琲の修行を始めたころ、京都の珈琲と言えば、ともかく濃くて重いものが多かった。

これも、その豆の特徴とか関係なく、ともかく何でも深く焼いているように思えてならなかった。

深くなればなるほど、味の個性は失われて行って、強い苦みが勝ってくる。

そんな珈琲を飲みながら、浅煎りから深煎りまで、豆の特徴に合った焙煎度合いに仕上げて、その豆のポテンシャルを引き出せるようにしたいと思って始めたのが Verdiだった。

ただ、当時はまだスペシャルティコーヒーという概念も広がっておらず、やっとカップ・オブ・エクセレンスが始まったころだったので、今のように個性豊かな豆が多かったかというと、そこまでではなかったのだが、その後の10年ほどでずいぶんと珈琲業界の傾向も変わってきた。

そして、今ではスペシャルティーコーヒーの普及とともに、極浅煎りがトレンドとなり、珈琲の【風味=酸味】という感じで独り歩きしている感は否めない。

同時に、そんな今のトレンドのお店で飲むと、もうちょっと、あと一歩と言わないから半歩深く煎ったら、えも言われぬ美味しさになるのに・・・と感じることも多い。

ある意味ブームに乗って、そいういった半歩前後の煎り止め技術を持たずにカッピング用の色と同じように極浅く仕上げることしかできない技術不足で開業してしまう人が多いということなのだろうと思う。

そんな中で、本当に「まいりました」と思える絶妙な焙煎で仕上げている店もあるから、私ももっと勉強しなくてはと思うわけである。

でも、まぁ、世の中極端にぶれることは多々あることで、そのうちちゃんとした技術を持たずにノリだけで開業した店は淘汰されていくと思うのだが、同時に淘汰が進んだ先に、きちんと絶妙な焙煎度合いが求められる時代になるのではないか?と、希望的観測で思っている。

それまで私たちも淘汰されずに、しっかり技術向上をしていかねばと思うのだが、本日のお題はコーヒーではなくカレー。

 

カレーも、今は何となくスパイスを多投すれば良いという時代で来ているが、そのうちちゃんと理にかなった配合で作られるカレー。

足し算ではなく引き算で、何が言いたいのかしっかりと主張しているカレーの時代が来るのではないかと思う。

苦いだけのコーヒーの時代が終わったとは言わないが、陰りが見えてきたのと同じく、辛い(スパイスが強すぎる)だけのカレーも次の時代に入って然るべきであってほしい。

京都でインドカレーを食べていると、インド人がやっているお店で魅力を感じるところはほんの数軒しかなく、むしろ日本人がしっかりとインドカレーとして(スパイスカレーとは言わず)作っている店の方が、良い店が多いように思うのだが、東京へ行くとやはりインド人がやっていてすごい店がゴロゴロあって、毎回勉強になる。

恐らく、関西のインド人(多くはネパール人)は日本のことをなめきっていて、まともなカレーを作らないから、スパイスカレーなるものが流行ってしまう土壌をつくっているのではないかと思うのだが、東京へ行けばそんなスパイスカレーなんてものに手出しされなくても、まともなインド料理店が多数あるから毒されることなくインド料理がちゃんとカレーとして存在感を放てるのかもしれない。

そんなわけで、スパイスカレーの次を狙って、日々カレーの試作をしている今日この頃。

来月あたり、そんなカレーが食べられる!かもしれません。

パスタとカレー

2019年3月5日 

今日は造形芸大店が定休日だったので、私も朝はちょっとゆっくりしてウォーキングはお休み。

昨日は雨だったので体がなまりそうだが、まぁ明日から再び頑張ろう。

で、朝はいつもよりゆっくりだったが、午前中に一つ会議があったので出席したのち、カミさんと久しぶりにアズーロさんでランチを頂いた。

前菜・パスタとも2種類注文してシェアさせてもらった。

鴨肉のゼリー寄せ

サンマのソットオーリオ

聖護院かぶらのポタージュ

アマトリチャーナ

自家製フィットチーネ 生ハムと人参

エスプレッソで〆

アズーロさんは気軽さもあって、ちょくちょく足を運んでいたのだが、このところなんだかんだで伺えていなかったのでちょっと久しぶり。

普段は昼より夜に利用することが多いので、次に夜来たとき何を頂こうかと黒板を見ていたら、リガトーニ ホルモンのグラタンというのがあって、これは次回ぜひ食べたいと思った。

 

お昼過ぎから、学校のご担当者と打ち合わせの予定が入っていたので昼食をとったら私は造形芸大へ。

打ち合わせが終わったら、その足でこんどは歯医者へ。

けっこうタイトな午後になったのだが、昼食をとりながらカミさんが「今夜のごはん、何にしようかな?」と言うものだから、つい出来心で「カレーでも作ろうか?」と言ったら「作って」と言われたので帰宅したらタマネギ切りから。

で、カミさんがチキンな気分ではないということだったので、たまにはということでシーフードカレーを作ってみた。

マラバール風シーフードカレー

玉ねぎを切るところから出来上がりまでで、ほんの30分という簡単カレー。

わりと美味しく食べられた。

またちょくちょく、と言ったらカミさんの目が輝いてしまいそうなので、また気が向いたら作ることにしよう。

ハンバーグを食べながら

2019年3月4日 

今朝はいつも通り起きて、何も考えずに着替えて鴨川へ出ようと外へ出てみたらしっかりとした雨が降っていた。

そんなわけでウォーキングはお休み。

夕方には青空も見えていたので、明日は晴れることでしょう。

 

さて、先日のこと、配達周りを終えて帰り立ち寄った定食屋さん。

ここは中休みなく昼から夜まで通し営業なのと、リーズナブルな価格でボリューム満点なので、たまに利用するお店。

今回もいつも通り何も考ずに午後3時前に店に入り、なんとなくトンカツ定食を注文したら、トンカツは品切れと言われた。

それではチキン南蛮と言ったら、厨房の方から「だから、今日はもう準備中の札を出してるんだから、それでも入ってきた人にはできるもんだけ言ってよ」と恐らくキッチンで調理しているご主人が母親と思しきおばあちゃんに投げかける声が聞こえた。

すると、おばあちゃんがやってきて「ハンバーグくらいやったらできると思うけど」と。

私が「今日はもう終わってたって知らんかったから、またこんどにしようか?」と言ったら、「いやエエねん、実は厨房の冷蔵庫が壊れて、もうそろそろ業者さんが来るんやけど、冷蔵庫あらへんから仕込みができひんので、今日はちょっとしか作ってへんかったんやんか」と。

そこで「ほな、悪いけどハンバーグ作ってくらはる?」と言ったら、おばあちゃんは「もう、こっちの勝手ですまんなぁ、またこんどトンカツ食べに来てな」と言いながらハンバーグのオーダーを通した。

そうこうしているうちに別の客が入ってきたので、おばあちゃんが「今日は厨房の冷蔵庫が壊れてしもて、もうあんまりないし、ハンバーグくらいならできるけど」と言ったら、その人は「エビフライは?」と。

おばあちゃんが厨房に向かって「エビフライできるか?」と聞いたら、厨房から「エビフライやったら作ってエエよ」という声。

それを耳にしたお客が「作ってエエとはなんやねん、客が金払って注文してるんやから、『作らせて頂きます』言わなあかんのちゃうんか!もう気分悪いし帰るわ」と、怒りながら出て行ってしまった。

冷蔵庫が壊れていて仕込みがない上、もう準備中の札を出していたということが分かっていたら、さらにこの店が昔ながらの家族経営の定食屋であることを理解していたら、「エビフライやったら作ってエエよ」という言葉に対して、私だったら「すみませんねぇ、よろしくね」と言い、そうしたら店の方も「いやいや、こっちの都合で食べたいもの出せへんでごめんね」と、丸く収まるのだが、そのあたりを全く理解できずにその瞬間の断面だけで「作ってエエよ」をとらえてしまうと、なんて傲慢な店と憤慨してしまう気持ちも分からないではない。

 

実は先日、初めて行ったお店で、けっこう気分を害する出来事があったのだが、こうしてみるともしかしたら私も時間の断面だけで判断してしまっていたのかもしれないと思う。

もちろん、私も飲食店を経営しているので、大人げない態度はとらなかったが、もう一度行ってみたほうがいいかな?とも思ったり。

そんなわけで、普段生活していて嫌に思えることも、全体を見つつ、ちょっとバックグラウンドを考えれば、実は感情的にならなくて済むことが大半なのではないかと、ハンバーグを食べながら考えてしまう昼下がりであった。

やはり白鳥はプレヴィンだった

2019年3月3日 

昨日はけっこう暖かかったのだが、天気予報によると今日は前日差5度以上寒くなるということだったので、少し厚着で鴨川へ出たが、朝の気温は言うほど低くなく、少し歩くと汗ばんできた。

もうすっかり明るくなってきた。

 

さて、昨日ネットでニュースを見ていたら、指揮者のアンドレ プレヴィンが亡くなったと書かれていた。

プレヴィンと言えばロンドン交響楽団を中心に数多くの録音を残している名指揮者の一人だが、ミュージカルや映画音楽も手掛け、自身はピアニストとしてジャズにも手を伸ばしていた多角的音楽家。

私が初めてプレヴィン指揮の録音を聴いたのは、確かホルストの惑星だったように記憶している。

そんな中、私にとってのベスト オブ プレヴィンと言うべきレコードはチャイコの白鳥の湖。

白鳥の湖と言えば、オーボエがもの悲しい旋律を歌い上げる情景の曲がやたら有名で、あの旋律を聴いたことがない人はまずいないのではないかと思うのだが、このバレエ曲はどの幕のどの部分を切り取っても音楽的に素晴らしく、本当に美しいメロディーにあふれたすごい曲だと思う。

そしてなんといってもこの曲の魅力は主旋律の優美さだけではなく、オーケストレーションの妙と印象的なオブリガートにあるような気がする。

プレヴィン盤はそのあたりの表現がずば抜けているのみならず、しっかりとしたストーリー性を持ってオデットの悲しみに満ちた美しさ、オディールの妖艶な魅力を語りかけてくる。

そして圧巻は終幕のクライマックス。

襲い掛かるロットバルトに挑む王子が鬼気迫る演奏となって押し寄せてきて圧倒されずにいられない。

若干ペットが飛び出したり、弦が乱れたりする部分もあるが、それがまた物語の演出と思えてしまう。

私が持っている白鳥の湖の全曲盤は、他にアンセルメ盤、サヴァリッシュ盤、小澤盤、ゲルギエフ盤がありそれぞれに面白いのだが、どれか1枚と言われたら迷うことなくプレヴィン盤を選ぶ。

まさにプレヴィンという指揮者のすごさが心底わかる1枚。

カラヤンやアバド、バーンスタインといった私が若かったころに活躍していた巨匠たちはもうすでに亡くなり、マエストロの時代が終わったともいわれる中、また一人偉大な音楽家が世を去り寂しい限り。

どうぞ安らかにお休みください。

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