少し前のこと、コーヒーを一杯(600円)お召し上がりになり、千円札でご精算になったお客様が、店を出てすぐ戻ってこられ「千円札を出したので、おつりが400円あるはずなのに、小銭入れの中に100円玉がない、ということは、おつりを受け取っていないのではないかと思う。」とおっしゃった。
ちょうどレジが混みあっていて、スタンプカードのハンコを押したり、そのカードをお返ししたりで、もしかしたらおつりを渡し忘れていたかも、と対応したスタッフは思ったらしい。
しかも、お顔を覚えている常連のお客様だったので、嘘をつかれるわけがないという信頼のもとで、レジから400円を出してお渡ししてしまっていた。
そのやりとりを私も横目で見てはいたが、他の接客中だったので、すぐに対応できず、お客様が400円を受け取ってお帰りになってから、「そういうときは、少しお待たせして申し訳ないけど、一度レジの現金チェックをして過不足がないかどうか確かめてからお渡しするように」と注意した。
そして、その日の営業終了後、レジ精算をしたら、現金誤差がちょうど400円マイナスになっていた。
多分、そのお客様にお渡しした400円だろうと予想はできるのだが、恐らくそのお客様も悪気はなく、どこか別のところに400円を入れてしまったものの、何気ない行動だったので、それを忘れて小銭入れに100円玉がなかったため、釣銭をもらい忘れたと言ってこられたのだろう、ということで、まぁ、仕方なかったというか、そのスタッフの勉強ということで私も今日までその出来事を忘れていた。
が、今日、そのお客様がご来店になり「この前はすみませんでした、別のところに400円あったのでお返しします。」と400円を持ってこられた。
たかが400円、されど400円。
400円少なかったからと言って、たちまちヴェルディの経営が行き詰まるという金額ではないことは、お客様もご承知のことだろうが、恐らくお客様からすると400円を不要にもらってしまうことで、ヴェルディに来店するのが後ろめたくなったり、自分の信用が損なわれることの方が金額以上に重くお感じになったのだと思う。
お客様が故意に嘘をつかれるはずはない、という店とお客様の信頼関係でお渡しした400円。
たとえ少額でも、自分の勘違いで多くもらってしまったことに対して、間違っていたと正直に言ってご返却くださった400円
長く営業を続けるということは、金額の大小とは関係なくお客様と店との信頼関係あってのことだと改めて実感した出来事。
常に、お客様に対して正直できちんとした営業をしなくては、と改めて思い知らされた10月最後の一日だった。