売れる商品の中には「見た目が良ければ」とか「SNSで話題になれば売れる」といったものもあれば、「最初は売れなくても、徐々に定着して爆発的ではないけど着実にシェアを獲得する」といったものもある。
ある意味、見た目やSNSで話題になって売れるものは、瞬発力はあっても定番商品にならないことも多いが、じわじわと売れてくる商品は、着実にファンを増やしていると言うことなので、定番化することが多い。
そんな中の一つに「カスカラ茶」がある。

カスカラは、コーヒーチェリーの果皮を乾燥させたもの。
コーヒー屋なので、せっかっくならコーヒーに関わりのある飲料を出したいと思い、麻袋で仕入れてみた。
が、発売当初は、「あちゃ~、在庫抱えすぎてしまった」と思っていたものの、最近は注文が入らない日がないほど。
そんなカスカラ茶、繰り返しご注文下さるお客様が増えてきた一方で、初めてのお客様にとっては馴染みのない名前なので、商品名を間違えてご注文下さるお客様が少なくない。
そして、間違われるときは、だいたい「カラカラ茶」とおっしゃるのだが、そんなとき私は、あえて訂正せずに「はい、かしこまりました」と言うのだが、店長の山下は「はい、カスカラ茶ですね」と、しっかり訂正している。
そんな姿を見ながら、ふと昔のことを思い出した。
開業当初から、だいたい週に6回ご来店くださっていたお客様、その方はいつも深煎りを中心に、たまに中深煎りをご注文下さるといった感じで、毎朝開店直後においでになって、コーヒーを一杯飲んで、当時はまだ全席禁煙ではなかったので、カウンターで煙草を一本吸って出勤されていった。
そのお客様、なぜかいつもブルンジを注文されるとき「ブレンディ」とおっしゃっていた。
うちはインスタントなんて扱っていないぞ!と思いつつも、「はい」とだけ言って、ブルンジを抽出していたのだが、まぁ、毎日おいでになっている、ある意味気心知れらお客様だったので、ある日ちょっと企ててスーパーでインスタントコーヒーのブレンディを1本購入して抽出カウンターの下に隠し持っていた。
で、そのお客様から「ブレンディ」と言われた瞬間、「はい」と言って、ブレンディを取りだして、カップに入れてお湯を注いで出してみた。
すると、そのお客様は、インスタントコーヒーを飲んだうえで、「おかわり、この店のブレンディ」と。
このお客様の方が一枚上手だった。
それ以降、私はもっと強くなろう、と、心に誓ったのだった。
何に強くなるのかは知らんけど・・・















