知らなくてもいい珈琲の話、やっとエチオピアから出国できました。
今回からは、「珈琲鑑定士」という仕事について書きたいと思うのですが、これも知ったからと言って全く役に立たない上、かなり地味な内容で、しかもやたら文章は長くなるので、興味のない方はパスされることをオススメします。
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現在世の中は「資格」に溢れています。
何かの仕事をするにあたって、その資格を持っていないとできない職業もありますが、世の中に氾濫する資格の多くは、民間団体などが付与する資格で、持っていなくても差し障りがないものがほとんど。
先日散髪にいったとき、店内に流れていたラジオで「野菜ソムリエの私がお勧めする野菜の美味しいイタリアン」なんて言いながらお店の紹介をしていて、つい耳がダンボになっていました。
医者になるためには医師免許を持っていなくてはなりませんし、弁護士や会計士になるためにも国家資格は必須です。
このような難易度の高い国家資格は別として、もっと身近なもので言えば、自動車運転免許証がないと、車を運転できませんよね。
また、飲食店を営業するためには「食品衛生責任者」または「調理師免許」の資格を持った人が店舗にいなくてはなりません。
ただ、調理師免許は若干ハードル高めですが、食品衛生責任者は受講さえすれば簡単に取得できます。
恐らくほとんどの人が知らない資格ですが、私は「甲種防火管理責任者」の資格を持っています。
大型の商業施設や多くの人が住む共同住宅では、防災の計画書を作らなくてはならないのですが、その計画書を作成できるのは甲種防火管理責任者の資格を持った人になります。
まぁ、実際には管理会社が防災計画の案を作り、私は署名捺印をすることと、検査に立ち会ってハンコを押すだけなのですが、運悪く、私が住むマンションの中に、甲種防火管理責任者の資格を持つ人がいなかった(まぁ、普通そんな資格持っている人いないですよね)ので、私はかれこれ20年もマンション全体の防火管理責任者になってしまうという、不運に見舞われました。
そんなわけで、マンションに住む方は、あまりニッチな資格は取らない方が身のためではないかと思います。
そんな多種多様な資格の中でも、先に書いた「野菜ソムリエ」のように民間団体か勝手にと言ったら語弊はありますが、一定の基準を設けて資格を付与しているものは、法的必然性はないものの、そのジャンルの中では権威があったりします。
まぁ、どのあたりが線引きかと言えば、「その行為によって、身体(生命)・財産・基本的人権の保障する知的な部分で、的確さを欠いた仕事をした場合は個人および団体の権利を棄損する恐れがある」ものに対しては資格がないと、その行為をしてはならないということになるのではないかと思います。
医師免許や薬剤師=身体(生命)の部分、弁護士や会計士、司法書士など=財産の部分、教員免許=基本的人権の保障する知的な部分、運転免許や防火管理責任者=生命と財産的な部分といったところでしょうか。
個人の範囲を超えて、ボイラー技士だとか、電気設備関係の資格も、一歩間違うと施設を破壊して財産や身体的な棄損に繋がりますよね。
一方で、野菜ソムリエだとか、ワインのソムリエ、インテリアコーディネーターといった資格は、お金こそ絡みますが、深刻な身体的財産的棄損に繋がるとは考えにくいので、専門職に就くからと言って、持たなくても法的に問題のない資格となるのでしょう。
前置きが超長くなりましたが、コーヒーにも多くの資格があります。
私も聞いたことがないような資格もあり驚きましたが、まとめると、こちらに書かれているほどの資格があるようです。
そして、日本国内においては、コーヒー店を経営するにあたって持っていないと法的にまずいものはない(飲食店営業における食品衛生責任者を除く)ものばかりです。
そう言うと「Qグレーダーは、スペシャルティ認定に必要」という声が出てくるかもしれませんが、スペシャルティ認定をしたら(Qグレードコーヒー認定)「その豆が相場より高価で売れる可能性が高くなる」というだけのことで、どの豆を高く売るか・安く売るかは資本主義社会における自由競争の範囲内、必要性は、あくまで法的根拠で考えて頂ければと思います。
そんな中、ブラジルにおける「クラシフィカドール=珈琲鑑定士」は、日本国内で見ると全く無意味ですが、ブラジルでは国家資格であり、コーヒー豆の取引を行うにあたって、鑑定士によってグレード付けをすることが前提条件になっています。
流通価格はあくまで相場ですが、その相場の元となる【輸出基準の豆】なのか、【国内消費用豆】なのかを判断するのは珈琲鑑定士、輸出用であれば、どのグレードに位置するのかを決めるのも鑑定士なので、ブラジルにおいては珈琲鑑定士が鑑定しないと、取引に入っていけないということになり、日本における「コーヒーマイスター」だとか「コーヒーコーディネーター」といった資格とは全く意味の違うものなのです。
ヴェルディでは、コロナ前に入社した社員は全員 SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)認定のコーヒーマイスターという資格を持っています。
働くにおいて、最低限の知識は持っていてほしいので、自社の社員には取得を推奨していますが、私が取得したのは「コーヒーマイスター」ではなく「ブラジル政府認定の珈琲鑑定士」でした。

どうしてマイスターやQグレーダーではなく、他国の鑑定士の資格だったかと言うと、世界のコーヒー相場の根拠となっているグレードは、どのようにつけられているのか、また、輸出する側の国がどのような基準でコーヒーを売ってきているのかを知りたかったから、ということでした。
そんなわけで、めちゃくちゃ前置きが長くなりましたが、次に話す内容を考えるにあたっては、【資格】というものの位置付を明確にしておく必要があったので、つらつらと書いてしまいました。
そんなわけで、今回はプロローグということにして、次回から具体的な珈琲鑑定士の仕事についてお話します。
今回は下手すると7~8回連載になるかも。


