自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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Torniamo all’antico e sarà un progresso

2026年10月6日 

YouTubeを開けたら、自分が登録しているチャンネルと同時に、よく見るジャンルの動画が出てくる。

私の場合、クラッシック音楽関係、オペラやバレエ、それにタイガース関係と、ホラー系のものが並ぶのだが、先日⇩この動画が出てきたので見てみた。

私は、けっこう同業者から嫌われる傾向にあると自覚しているのだが、まぁ、世の中だいたい本当のことを言うと嫌われてしまうもの。

それを覚悟でこの動画をアップしたHo.Qo.さんには敬意を表するかも。

で、この動画を見て、私はそんなの細かいところまでバレエに詳しいわけではないが、大技だけではなく、群舞の美しさとか、言葉がない分、表情や手の先から足の先までを使った感情表現とか、観ていて何を表現しているのかが分かる、そしてその踊りや一挙手一投足に見とれつつ共感できるのが、芸術としてのバレエだと思っている。

ジャンプの高さ、たしかにカッコイイ、回転数やスピード、たしかにスゴイ。

でも、Ho.Qo.さんが言う通り、確かにそれだけではない。

これって、バレエだけではなく、他のクラッシック音楽でも同じことが言えるように感じている。

例えば、ハイフェッツのヴァイオリンって、目をつぶって聴いていてもハイフェッツだと分かるし、その曲に対する姿勢、考え方、表現といったものが、しっかりと伝わってくる。

一方、最近大人気の若手ヴァイオリニストの演奏を目をつぶって聴いたら、その完璧なまでのテクニックには感嘆するものの、もしかしたらこれはAIが弾いているのではないか?と思ってしまうときもある。

コーヒーに置き換えてみると、ゲイシャだ、アナエロだ、インフューズドだ、と、派手で分かりやすいものがもてはやされる時代。

ヴェルディでも、限定コーヒーとしてスポットでこういったコーヒーを販売してはいるものの、それはあくまで変化球であって、実際に店舗で最も売れているのは、何が出ようとヴェルディブレンド。

私のコーヒーに対する解釈と言うか、何を最大の力点にするかと言うと、まずはクリアな味であると言うこと、口に含むと風味は豊かだけど、雑味がないもの。

後味については、芳醇な余韻はあっても、スッキリとしていて、嫌な味は決して残さない。

そして、毎日飲んでも、一日何杯飲んでも飽きない味であること。

そこが、飲料としてのコーヒーを考えたときの基本だと私は思っているので、そのようにできる生豆を仕入れ、ハンドピックをして、適切に焙煎を行っている。

ただ、世の中のコンテストなどでは、派手な味が良しとされる傾向にあり、確かに香りも味も良いけど、毎日飲んでいると飽きてくるようなものも少なくない。

さらに、香りや酸味を強調したいがゆえに、生焼けの焙煎をして、一杯飲んだら胃が痛くなるようなものまで良しとされているのが現実。

料理においても、繊細な日本料理の出汁の味よりも、アメリカナイズされた派手な味に傾いているように感じる昨今。

ここから先を言うと、また嫌われそうなので抑えておくが、まぁ、バレエに限らず、クラッシック音楽に限らず、そしてコーヒーや料理に限らず、「守・破・離」ではなく、破離破離になってしまうと、守るべき基本を知らないのだから、何かあったとき、元に戻れなくなってしまうのではないかと思う。

ヴェルディの店名にお名前を拝借した、作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの名言に、こんなものがある。

“Torniamo all’antico e sarà un progresso”

直訳すると「源泉に戻ろう、それは進歩である」意味としては、「源泉に戻ろう、そこから新たな命を汲み取るために」と解釈されている。

音楽の友のWebマガジンによると、「自分たちの偉大な先人たちが築いたイタリア音楽の伝統や基礎(源泉)をもう一度見つめ直し、血肉化することこそが、真の新しい創造(進歩)に繋がる」と主張したということで、安易な懐古主義ではなく、「原点にある本質的なものを学ぶことが、未来へ進むための最大の礎になる」という、時代を超えてあらゆる表現や活動に共通する本質を突いた名言だと思う。

カフェ・ヴェルディには、守るべき源泉があるから、もし何かおかしなことが起こっても、そこに立ち返って、そこから今一度積み上げることができる。

けど、派手なことをするためだけの技術を是としてしまうと、少し傾いたときに戻るべき源泉がないから、倒れるしかない。

なんてことをこの動画を見ながら思っていました。

おしまい。

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