自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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ハンドドリップチャンピオンシップ

2018年5月16日 

昨日から私と造形芸大店の太田は東京に来ていたわけだが、スカイツリーから夜景を楽しんだり、雷門~浅草寺に行ったりするための東京出張ではなく、本当の目的は今日開催されたジャパンハンドドリップチャンピオンシップの決勝ラウンド出場のためであった。

この競技会は、日本スペシャルティコーヒー協会が主催するハンドドリップの競技大会で、東京・大阪・福岡3つの会場で予選を勝ち抜いた13名による決勝ラウンド。

造形芸大店の太田は、大阪での地区予選を勝ち抜いて、総勢216名中13名のファイナリストになったので、私もサポーターとして同行した。

今日は造形芸大店の定休日でもあったので、店長の今西も昨夜仕事を終えてから夜行バスで駆けつけて、一緒に応援。

見たところ、周りは何度もこの競技会に出場しているツワモノが多い中、初出場で恐らく最年少の太田がどこまでできるのか、期待と不安を抱きながらの観戦となった。

決勝戦は、「ドリップ競技」と「フリー競技」の合計点で争われる。

ドリップ競技は、当日初めて渡された豆をハンドドリップで抽出、審査員はブラインドで味覚評価をする。

持ち時間(10分)の間に、同じ豆を使って抽出量違いで2回ドリップ。

審査員は、まず二つの抽出に温度や味の違いがあるか否か(二つの味や温度が均一かどうか)をみたうえで、風味の採点を行う。

同時に、細かく定められたルールと照らし合わせて、ルールから外れたことをしていたら減点。

均一性と風味の得点から減点項目があった場合、その点数を差し引いたものがスコアとなる。

フリー競技は、予めサンプルが提供された豆を使い、ドリップ競技と同じ内容で抽出するのだが、こちらは抽出しながら、目の前にいる審査員に対して、豆についてや自分の抽出についてなど、プレゼンをしながらのドリップとなるので、純粋な風味の得点プラスプレゼンの能力や説明した内容と抽出したものの差異なども得点の要素となる。

太田は、くじ引きの結果、ドリップ競技の第一競技者となり、フリーの方は最後から2番目の競技者になった。

まずは、ドリップ競技をする太田。

私の目から見ると、けっこう緊張していたようなのだが、恐らく彼女を初めて見る人なら、全く緊張せず堂々としていると映ったのではないだろうか。

ドリップ競技の風味審査は、別室にてブラインドで行われる。

太田のドリップ競技とフリー競技の間に、けっこう時間があったので、私と店長の今西は近所でランチをとることに。

昨夜から目を付けていた会場近くの中華料理店へ行ってみた。

エビチリ定食(棒々鶏つき)

アサリの辛味炒め

けっこう美味しかった。

そして、ドリップ競技終了時点での成績が発表され、太田は堂々の1位通過!

今日初めて見た豆を1回のリハーサルだけで、よくこのスコアを出せたと感心。

そして、プレゼンを伴うフリー競技

正直言って、ここまでの競技者のプレゼンを聞いていると、本当に場慣れしている人が多いというか、みなさんすごく上手にいろいろと説明している。

さらに、淹れ方も千差万別というか、ユニークな抽出方法が多く、ミルも数十万円するようなすごいものを持参している人が目につく。

そんな中、太田は初々しいプレゼンと、見るからに堅実な姿勢、そして抽出方法は普段Verdiで皆がやっているハンドドリップをブラッシュアップしただけの、いわばド直球な抽出方法。

多彩な変化球を操り、すごい機材を使って挑んでいる人たちに、直球一本勝負の太田がどこまで太刀打ちできるのか分からなかったが、少なくともドリップ競技ではダントツの1位だったので、いいところまで行くのではないかと期待していたのだが・・・

運命の結果発表

残念ながら、フリー競技で順位を落とし、最終的には6位で終わった。

私は、正直言って日本スペシャルティコーヒー協会主催のこういった競技大会に、今まで全く関心を持っていなかった。

というのも、私たちが最も大切にすべきはご来店下さるお客様であって、競技で点数をとるためだけに用いる技術は、別にどうでもよいのではないかという発想だったからである。

なので、太田には特に奇をてらったことをするのではなく、普段私や太田はもちろん、下鴨本店の社員たちがやっていることと同じ抽出をいかにブラッシュアップしていくか、そして普段お客様に提供している抽出方法と大きな違いのない淹れ方でこの競技会にチャレンジしてほしいと思っていた。

そのような思いもあって、抽出方法については全く手を加えることなく、彼女の抽出に口出しせずに見守ってきたのだが、今回の競技会を見ていて、やはりそれだけでは上位入賞が難しいということを痛感した。

競技終了後、来年もチャレンジしたいという太田に、もちろん頑張れと言ったものの、競技としていかに点数を取れることをするか、という部分と私の中にある「いつもお客様に提供している珈琲が一番美味しいものでなくてはならない」という思いの整合性をどうやってとっていくか。

なかなか自分の気持ちのやり場に苦労しそうである。

でも、表彰式で「3回目の挑戦でやっと・・・」と思わず目をおさえながらスピーチをした優勝者を見ていると、太田にも何とか頑張ってほしいという思いを強くした。

ファイナリストになったバッヂ

とはいえ、すごいミルを使っていたり、流ちょうな話術やカッコイイ資料を配布してプレゼンしている人たち、そして、見たこともないような抽出方法で挑んできた人たちに、全くの正攻法というか、普段と同じ姿勢で淡々と立ち向かう姿は、マシンガンを持っている相手に木刀一本で挑むような感じだったが、少なくとも216人中6位に食い込んだ太田には、すごいなぁ、と感心。

本当だったら、もっと練習時間を作ってやりたかったし、もっと店全体で彼女をサポートしてあげたかったが、都をどり開催に伴い練習をさせてあげる時間すら与えられない中、彼女は毎日早く店に出てきたり、休みの日返上で練習に励んでいた。

その努力には最大級の賛辞を贈りたい。

同時に、今回上位入賞した人たちの探求心と熱心さ、そこに至る努力には、心から敬意を表するとともに、私たちもそこから何かを学べればとも思う。

ただ、少なくともドリップ競技の味覚審査において、太田が堂々の1位だったということは、普段通りの抽出さえしていれば、お客様に美味しい珈琲が提供できているということ。

私にとっては、そのことこそ一番うれしいことであった。

そんなわけで嬉しさ半分、悔しさ半分で会場を後にした。

で、京都へ帰る前に太田に「何食べたい?」ときいたら「お寿司が食べたいです」と。

ということで、頑張ったご褒美に江戸前のにぎりを食べに行くことにした。

個人的に、寿司と天ぷらは、東京の方が好きだったりする。

そんなわけで、明日からは来年に向けて、より一層美味しい珈琲をお客様に出せるよう、普段の抽出をしっかり磨きつつ、競技会でも良い点数がとれる能力を高めて行きたいものである。

 

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