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カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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知らなくてもいい珈琲の話-その3【エチオピア-Part 2】

2021年1月24日 

三回目となった「知らなくてもいい珈琲の話」今回はエチオピアについての2回目です。

前回は、エチオピアの生産エリアについて、ものすごく軽く説明しましたが、今回はエチオピアのコーヒー取引について、これまためちゃくちゃ端折ってご説明いたします。

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エチオピアはGDPが年間500ドル、日本円に換算すると、月給は概ね4,500円程度という、世界最貧国の一つです。

しかし、コーヒーの生産量は年間約640万袋 / 1袋=60キロで、アフリカ最大の生産量を誇ります。

一方で、多くの貧しいコーヒー生産国は、自国消費が少なく、生産量のほとんどは輸出に回されるところ、エチオピアは自国消費が約50%と非常に高い数字になっています。

これは、コーヒー発祥の地として、コーヒーが商材であると同時に、どの消費国よりも長いコーヒー消費の歴史があるからでしょう。

そんなエチオピアは、貧しい国であるが故に、貴重な外貨獲得手段であるコーヒー(コーヒーはエチオピアの輸出総額の26%を占めます)に関わる法律がとても多く、生産から流通に至るまで他国との違いが大きい国でもあります。

その中でも特徴的なのが ECX (Ethiopia Commodity Exchange)でしょう。

ECX は、国内で生産された商用のコーヒー全てを格付け(Grading)し、Grade 1~9を輸出向け、Under Gradeを国内消費向けとして仕分けします。

そして、輸出業者はECXで輸出向けとされた豆をオークションで購入して消費国へ輸出します。

ただし、一部にはECXを通さず直接輸出が可能なものもあります。

それは、大農園と地域の組合ですが、現状は ECX 8 : 直接輸出 2 といった比率で(日本で人気の高いイルガチェフなどの場合はECX 9 : 直接輸出 1 程度)圧倒的にECXを通して輸出されるものが多いのが現状です。

エチオピアにおける零細農家と大規模農家の比率は 9 : 1 と圧倒的に零細農家が多いため、ECXで扱われる豆の比率が高いのは自明のことと言えるでしょう。

ECXを通した取引が、どのような手順になっているか、文字で説明するより図の方が分かりやすいと思うので、チャートを作ってみました。参考までにご覧ください。

上記チャートを説明すると

1,小規模・零細農家は収穫したチェリー(脱穀する前の実の状態)を地元の市場へ持っていく。

2,中間業者(Akrabis)がチェリーを買い付けて精製工場で脱穀してECXへ。

3,ECXでグレーディングされて保管倉庫に積まれる。

※ グレード確定後は20日以内に売買しなくてはならない(法律で制定されている)

4,グレーディングされた豆はオークションにかけられ、輸出業者が購入

5,輸出業者は出荷前の保管倉庫へ運び、その後輸出。

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ちなみに、グレーディングは以下のような配分で点数化され格付けされます。

【基礎点 40点】

・ 水分含有量が11.5%以下であること

・ 欠点豆の混入率

・ 規格よりサイズが小さいものの混入率が15%以下

・ デフェクト(ネガティブな要素)の有無

【カップ評価 60点】

・ カップのクリーンさ

・ 酸味の質、明るさ

・ ボディ

・ フレーバー

これらの要素でG1(グレード1)は91点以上、G2 は81点以上を獲得したものになります。

80点以上のものは、スペシャルティコーヒーとして認定されます。

ちなみに、日本国内で出回っている「モカ」の多くは、G4のものが多くG4 の得点は63~70点、スペシャルティコーヒーの規格外とされます。

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では、大規模農園や組合の場合はどのような手順になっているか、それが下のチャートです。

こちらは、収穫後に自前の水洗工場(ナチュラルもあり)で精製され、それを輸出業者が購入して船積み・輸出されます。

そういう点において、大規模農園や組合は他の生産国とほぼ同じルートで取引されますが、先にも述べた通り比率としてはエチオピア全体の輸出量の2割程度に留まります。

そのようなECXという制度により、エチオピア特有の問題が生じます。

ECXの問題点

ECXの取引所では、地域とグレードだけで取引される。

グレーディング段階では、カッピングによる評価がされるものの、ECXにおいては地域名(シダモやイルガチェフ、カッファ等)とグレード(G 1、G 2、G 3….G 9)のみで取引されるため、実質トレースが効きません。

POINT

エチオピアの零細農家は、一軒あたり平均0.5ヘクタールの土地でコーヒー栽培をしています。

エチオピアにおける1ヘクタールあたりの平均収穫量は10袋 ※ 1袋=60キロ

零細農家の平均作付け面積 0.5ヘクタールの場合 〈10袋 × 0.5 = 5袋〉⇒ 一軒あたりの生産量=5袋ということになります。

さらに、エチオピアの農家は生産したもののうち、半分程度を自家消費するため、地域の市場に持ち込まれるのは2.5袋程度になります。

すると、ECXの倉庫では下図のような現象が起こります。

輸出業者は、数袋単位で買い付けることはありえません。

そうなると、同じパレットに乗っている豆でも、地域やグレードこそ同じくくりでも、倉庫から取り出した袋毎に生産者が違ってくるため、風味特性が変わってきます。

グレーディングにおけるカップ評価は、風味の優劣であり、優秀な風味であると判断されても、風味の特徴毎に分類されるわけではありません。

これでは、トレースがとれないのみならず、同じ「エチオピア・シダモ・G2」という豆を購入しても、今開けた袋と次に開ける袋で全く味が違ってくるということが起きてしまいます。

このような問題を解決するために、輸出業者の中には購入した豆を袋毎にカッピングして、一定の味になるようブレンドして一つのブランドを作ってから輸出するところもありますが、全ての輸出業者がそのような面倒な作業をしているとは考えられないため、エチオピアの豆はロット毎のばらつきが大きくなります。

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このようなリスクを避けるため、ヴェルディのイルガチェフは全体の1割程度と言われる【大規模農園もの】や【組合もの】といったトレースが効く豆、風味特性がロット毎に変わらない豆をECXを通さない直接取引で信頼できるインポーターから購入して、可能な限り味のブレを防いでいます。

特に現在仕入れているイルガチェフの組合(ウォッシングステーション)【WOTE】は、毎年高いクオリティーを維持しており、少なくとも次のニュークロップが入荷するまでは、安定した風味を提供できます。

そんなエチオピア、特にイルガチェフでは珍しくトレースがはっきりしている豆は、コーヒー通販からもお求めいただけます。

【中煎り】エチオピア・イルガチェフ・WOTE(Washed)

今クロップは、熟度が高く深みのある味わいとボディが印象的な風味に仕上がっています。

ぜひお試しくださいませ。

来週は、エチオピアにおけるコーヒーと経済について書きたいと思います。

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