自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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知らなくてもいい珈琲の話-その11【珈琲鑑定士 Part 4】

2021年3月28日 

珈琲鑑定士についてのお話も第4回目。

今回は、自分で書いていても、恐らくエチオピアの話より分かりにくいだろうなと感じながら、でも始めてしまったからには最後まで書かねばと思いつつ、ちょっと端折りながら、今回で完結できるようにしたいと思います。

本当は、6~7回の連載になるだろうと思ったのですが、書きたいことを箇条書きにしたら、マニアックになりすぎてしまいそうだったもので。

まぁ、テレビドラマでも視聴率が悪かったら、本当は10回放送の予定を8回で打ち切ってしまうなんてことあるし・・・

そういえば、ディズニーが映画製作を開始した「ナルニア国物語」、もう次の話は出ないのだろうか?と思ったり・・・

そんなわけで、珈琲鑑定士が行う仕事の中で、グレード分けや味の評価以外の部分について説明したいと思います。

ブラジルでexporterを訪ねると、たいがいは最初に案内されるサンプルストックの部屋で鑑定士がコーヒーのグレード分けを行っています。

ともかくブラジルにおいては、この「グレード分け=欠点数の算出」がなくてはコーヒーの評価は始まりません。

そんなexporterの倉庫兼事務所には、毎日たくさんのトラックは入ってきます。

トラックに積まれているのは、もちろんコーヒー豆です。

この段階では、私たちが仕入れる60キロ入りの麻袋ではなく、Bica Corrida(ビッカ コリーダ)と呼ばれる1.6~1.8トン入りの袋に入ってきます。

これが、倉庫に積まれて行きます。

そして、入ってきた豆はサンプルが抜き取られて、鑑定士の元に運ばれます。

鑑定士は抜き取られたサンプルを鑑定して、入ってきたロットに欠点数によるTipo分けが行われます。

そうして、Tipo分けされた豆が、次は味評価へと移ります。

ちなみに、後ろの棚に積まれている小さな容器は、このexporterが倉庫に保管している豆のサンプルで、商談のときに使います。

事務所にはサンプルロースターがならび、毎日たくさん入ってくる豆を次々とローストしてカッピングをしていきます。

こうして味の評価をされた豆がサンプル容器に入れられて、豆の取引の折にバイヤーの確認用に使われます。

exporterの事務所には商談スペースが並びます。

買い付けにやってきた人が自分の欲しいグレードや風味特性、価格などを詰めていきますが、その日の相場で価格は変わりますので、商談スペースには証券会社などでよく見るようなリアルタイムの先物価格表示が刻一刻と数字を変化させつつ瞬いています。

これらを元に、バイヤーは細かくグレードや味を指定して豆を購入するわけですが、そのときによく利用されるのが「ブレンド」です。

アフリカなどは小規模農園の豆を集めて、それらを精選するウォッシングステーションが豆のトレースとなっているところが多いのですが、ブラジルは大規模農園も多いため、農園単位のトレースが効きます。

しかし、必ずしも単一農園産のものが、バイヤーの求めているグレードと味になるわけではないので、いろいろな生豆をブレンドしてバイヤーが求めるグレードと味、価格のロットを作ると言うことが出てきます。

私も、鑑定士講習の最終段階で、[Tipo=4-5、風味特性はGrupo1だが、味を安定させるためにコニロン(ロブスタ)を少量配合、最終的に4-5でApenas Moleのロットを作れ]という課題が出されました。

これらを混ぜたら、理論上はTipo=4-5、風味はApenas Mole のものができるはず。

これをサンプルロースターで焙煎して、再度味を見てブレンドの可否を決めます。

ちなみに、このTipo4-5というのは、ブラジル産の豆ではBASEと言われ、一般的なコモディティコーヒー(普及価格帯)の基準となるものです。

欠点数は26~28、300グラム中に発酵豆や黒豆、未熟豆などが20~50粒(欠点の種類によって違う)程度入っていると言うことになります。

日本では、主にブレンドベースに使われるランクのもので、スーパーなどで300グラムが1,000円以下で売られているようなブレンドが、このランクのものだと思えば良いかと思います。

このように、珈琲鑑定士はグレード付けをするのみならず、バイヤーの要望に合ったコーヒーのブレンドなども行う役割があります。

そのあたりを見ると、本当に生産国=輸出側の立場に立った資格であることがよくわかります。

そうして、商談成立となったら、ドライミルにかけた後、60キロの麻袋に入れ替えられます。

スペシャルティコーヒーの場合は、真空パックにされたり、ビニールに入れて箱詰めして出荷されたりしますが、ブラジルのほとんどの豆は、この麻袋状態で輸出されます。

港の倉庫からコンテナに入れられ、出荷されますが、ブラジルの出荷港として有名なのが「サントス港」ここからは、Tipo2も4-5も、それよりもっと下のクラスのものも出荷されますし、味についてもMole~Dura、Rioに分類されたものもここから出荷されます。

これまでの経緯をご覧頂いたら、「サントス」という名称は、単なる出荷港の名前に過ぎず、味については何の保証もないことが分かるかと思います。

私の場合、「サントス」は単なる港の名前で合って、「ブラジル・サントス No.2」というのは、サントス港を出港した欠点豆が少ないものである、ということ以外は、何のトレースも風味面での評価もされていないと言うことは、鑑定士になる以前から承知していたことでした。

しかし、実際に鑑定士という資格をとってみると、ブラジル産の豆がどのような評価でどのように価格決定されているのか。

また、トレースが効くもの(単一農園産)以外の、ブラジル豆がどのように扱われ出荷されているのか、ということがよく分かりました。

そして、ブラジルのコーヒー業界においては、この鑑定士の資格を持っていると、だいたい食いっぱぐれることがないことも。

もし、私も食うに困ったら、家族みんなでブラジルへ移り住もうかと思います。

~珈琲鑑定士編、おわり~

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