コーヒーの精製3回目は、水洗式=ウォッシュド(Washed)について説明いたします。
ウォッシュドは、1850年頃にジャマイカにおいて West Indies Process(西インド諸島式精製)として誕生しました。
ナチュラルは、果肉がついた状態から乾燥させるため、長期間広大な敷地を必要とすること。とくにパティオ(地面に広げて乾かす方法)の場合、広い面積の平地が必要なため、山岳地帯などでは難しい部分もありました。
その点、ウォッシュドの場合は、乾燥にかける時間が短くて済むことや、広大な平地を必要としないこと、また品質が均一にできることなどから広く採用されるようになりました。
現在では、ブラジル、インドネシア、エチオピア東部を除くアラビカ生産国のほとんどで採用されており、珈琲精製方法における主流となっています。
その方法は以下の通りです。
① 収穫(収穫後に粗選別をすることもある)
② 果肉除去(水を使う)
③ ファーメンテーション(ミューシレージを発酵により弛緩させる処理)※ ミューシレージ=粘質物(ペクチンの層)詳細は前々回のものを参照)
④ ミューシレージを水で洗い流す
⑤ 重量ベースで水分量が11±1%まで乾燥 ※ 乾燥方法は天日、アフリカンベッド、ドライヤーなど
⑥ ドライパーチメントとして保管
⑦ 出荷前にドライミルでパーチメントを除去
順を追って説明いたします。
まず、収穫されたチェリーを集めて水につけていきます。

ここで水につけて、浮かんできたものなどを除去する粗選別が行われることもあります。
次に、機械に通して果肉をはぎ取ります。

果肉が除去された状態で、水につけて粘質物(ミューシレージ)を弛緩させます。
これを「ファーメンテーション」と呼びます。


このときの温度管理や水質の悪いもの(細菌などが多い水)を使うと、風味が悪くなるため、この工程は非常に重要になります。
その後、弛緩したミューシレージを水で洗い流して、パーチメント状態で乾燥させます。

パーチメントとは、チェリーと種(豆)の間にある内皮のことで、この状態で保管することにより、豆の感想を防ぎ破損から守ります。

左がパーチメント、内皮を被った状態です。
右は、出荷前にドライミルでパーチメントを除去して袋詰めされます。
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● ウォッシュドプロセスの特徴(ポジティブ)
・ クリーンカップ
・ ナチュラルよりも短時間・短期間で精製できる。
・ ナチュラルよりも均一性がとれる
● ウォッシュドプロセスの特徴(ネガティブ)
・ 大量の廃水がでる。
・ 品質保持期間が短い(風味がフェイドアウトしやすい)
・ 香り・味での差別化がしにくい
このような面から、風味特性の多様性が求められる時代となった昨今では、今までウォッシュドを採用していた国や地域の農園でも、ナチュラルプロセスを取り入れるところが増えてきました。
ヴェルディでは、同じ産地のものをウォッシュドとナチュラル両方取り扱っているものもあります。
また、今後もそういった精製方法による味の違いを楽しんで頂けるよう、色々な豆を仕入れたいと思います。
次回は、パルプドナチュラル(ハニー)精製について説明いたします。