クリスマスあたりから、通販サイトのページ作成や Facebook広告用の画像制作など、ともかく商品撮影をする機会が非常に増えている。
シュトーレンの次は、新春ブレンド、新春初物3種セットといった通販サイトに載せるための撮影に加え、ギフトのブラッシュアップで、フィナンシェとドリップバッグの再撮影、そして今日はヴァレンタイン用のチョコレートケーキの撮影。

中学のときに機械式マニュアルカメラ OM-1を中古で購入してはじめた写真撮影、学生時代は鳥とかスポーツとか、ともかく動きのあるものを撮っていたので、商品撮影は門外漢だった。
しかし、フルマニュアルカメラで、しかもカラーはだいたいポジで撮っていたこともあり、光学機器としての【カメラ】とそれを使った【撮影】というものの基本的な知識は一通り身に着けたつもりである。
なので、こういった商品撮影も、店が少し落ち着いているときに、自然光とレフ版だけでちゃちゃっと撮っているのだが、デジカメを使っていると、ポジフィルムで撮っていたときと比べて一回シャッターを切ることに対する重みが全く違うことに気付く。
コダクロームだと、まずフィルム代が36枚撮りで1200円くらい。
現像料が800円くらいだったので、36枚撮るのに最低でも2,000円、1枚当たり5~60円のコストがかかっていた。
一回シャッターを切ったら、自動的に50~60円!プロならともかく、7~8枚写真を撮ったら牛丼が一杯食べられる金額、そんな環境で撮影していたので、失敗は許されないため、ともかく理論を習得して技術を磨くしかなかった。
でも、今の時代SDカードは高いけど、撮ってパソコンに画像を保存してカードのデータを消せば、何枚撮ってもコストはかからない。
とは言え、一眼レフはやはり高価なので、それを購入して撮るとなったら、それなりのコストはかかる。
しかし、今はスマホの普及率がだいたい100%と言っても過言ではないので、そのスマホについているカメラで一億総カメラマン時代になっていると言えるだろう。
昔は、カメラを持っている人しか撮れなかった写真、しかも撮影しても現像してプリントしないと人には見せられないし、紙で見せるしかないので、拡散力は非常に低かった。
しかし、カメラを持っていなくてもスマホがあれば写真は撮れる。
そうなると、スマホのカメラで撮った写真が世の中に溢れかえってしまう。
が、一目見れば、スマホで撮ったかどうかは別として、どのようなレンズで撮ったのかはすぐに分かる。
スマホの場合、だいたいは広角レンズで撮影されている上、画素数は多くてデジタル処理による画質向上はしていても、レンズそのものの性能は低いので、強いパースペクティブとディストーションが目についてしまう。
が、そんなスマホ写真だけを見ていると、それが普通になってしまうから恐ろしい。
昔、珈琲の師匠である田口護氏に「欠点豆の味を知る必要はないのですか?」と訊いたことがある。
そのとき田口氏は「良い珈琲だけを飲んでいなさい、悪い珈琲は飲む必要がない、でも、良い珈琲だけ飲んでいたら、悪い珈琲に出会えばすぐに分かるものだ。」とおっしゃった。
続けて「悪い珈琲ばかりを飲んでいたら、良い珈琲との区別もつかなくなるから、極力悪い珈琲は飲まない方が良い」と。
それって、珈琲だけのことではないと最近強く感じている。
私の趣味の一つであるカレーも同じ。
最近「スパイスカレー」なるものが世の中に出回っている。
スパイスカレーって、その表現そのものが分けわからないもので、例えるなら「カフェイン入りコーヒー」とか「アルコール入りビール」とか言っているのと同じこと。
コーヒーにカフェインが入っているのは常識で、現代の技術を使ってカフェインを抜いた場合のみ「デカフェ」とか「カフェインレスコーヒー」と呼ぶわけである。
なので、カフェインの入っているコーヒーをあえて「カフェイン入りコーヒー」と呼ぶ人はいない。
同じく「ビール」にはアルコールが入っているのが常識で、アルコールの入っていないビール味の清涼飲料水のみ「ノンアルコールビール」と呼ぶわけである。
同じく、カレーにはスパイスが入っているのは当たり前。
でも、デカフェやノンアルビールと違い、「スパイスレスカレー」というのは聞いたことがないなぁ・・・
で、そのスパイスカレーという不思議な名称の食べ物屋さんに行って食べると、ほぼ8~9割の確率でスパイスの使い過ぎ、セオリー無視の刺激だけの強い味の食べ物を出される。
カレーと言っても、インドのものもあれば、タイのものもあるので一概には言えないが、やはり「カレー」という伝統的な料理を作ろうと思ったら、その料理を作りだした国の歴史や宗教的背景、そして基本の配合というものをしっかり学んだ上で、まずは基本に忠実に、それをしっかりマスターできたら少しずつアレンジしていくと言うことが重要だと思う。
俗に言う「守 破 離」である。
でも、多くのスパイスカレーと呼ばれる不思議な名称の食べ物の多くは、「離 離 離」だなぁ、と感じてしまう。
絵を描くとき、どういう色を出したいか考えて、数種類の絵具を微妙に混ぜて綺麗な色を作り出すのだが、手元にある絵具を片っ端から混ぜていったら、単に黒いだけの色になってしまう。
スパイスも同じことで、何百年と言う歴史の中で、数種類のスパイスを黄金比で混ぜることによって、その食材に適したスパイス配合になるという基本を作り上げてきたはず。
不必要に多くのスパイスを混ぜてしまうと、単に強い(苦い)だけの味になってしまう。
そんな基本をしっかりと習得した人が、きちんと分かったうえで行う自分流のアレンジと、基本のない人が自己流でやたらめったらスパイスを入れて作るものは、ピカソと幼稚園児の描いた絵の違いと言えるかもしれない。
本当に良いものだけを見ていたら、芸術と落書きの違いは分かるが、落書きだけ見て、それを芸術だと思い込んでしまったら、本当の芸術を見ても分からなくなってしまう。
カレーの味も同じだろうなぁ・・・と、思ったり。
と、長々とぼやいてしまったが、単にここ数日カレーを食べていないので、ちょっとカレーを食べたいな、と思っていたら、こんなことを書いてしまった。
禁断症状です。<(_ _)>


