一昨日書いた通り、「酸味」と「すっぱみ」の違いについて。
これは、私の感覚的なものなので、全ての人にとって正解かどうかは断言できないが、少なくともヴェルディの線引きがどこにあるのか、ということはご理解頂けるものだと思う。
まず、私が考える【焙煎】とは、豆の芯まで火が通っていることを前提条件にしている。
そして、芯までしっかりと火を通したコーヒーは、そこに【酸味】とカテゴライズされる風味があったとしても、「すっぱみ」ではなく「酸味」と言えるものになるはず。
多くの場合、「酸味のコーヒー」と言われるものは、「芯残り焙煎」に分類されており、コーヒー豆の外側は火が通っていても、中心部は生焼けになってしまっている。
コーヒーは「豆」と言われるが、「果実の種子」というのが正解。
スイカや柿といった果物の種は、種の周りに「ぬるぬるorねばねば」としたコーヒーで言うところの「ミューシレージ」はついていない。
しかし、レモンやオレンジなどは、種の周りに「ぬるぬる」とした粘膜曽がある。
そういった種のまわりに粘膜曽を持つ種の多くは、ぐっと噛んだら少し酸味を伴った渋みを感じる。
コーヒーも同様で、生の状態で種を噛んだら、少し青臭さと渋みを感じる。
多くの物質は、加熱によって成分が変わっていくのだが、コーヒーの種子も生の状態で青臭かった味が、加熱によって青臭さが「お茶のような風味」に変わり、やがて「すっぱさ」へと進んで行く、生sおしてでも感じた「渋み」はより強くなっていく。

コーヒービーンズは、チェリーの果肉を脱殻した後、水分地11%前後になるまで乾燥させて出荷されるのだが、その水分が11%残っているコーヒービーンズを芯までしっかりと煎ったら、お概ね重量が18%~20%減る。
一方で、芯まで火を通さなかったら重量は10~15%しか減らない。
この重量減率と収益については、以前「スペシャルティーコーヒー」について書いたときに語っているので、今回はあまり深く書かないが、だいたい重量の減率はそんな感じである。
そんなわけで、「強い酸味≒すっぱみ」が好きな方は生焼けのコーヒーをお求めになれば好みのコーヒーを飲むことができる。
ヴェルディでは、浅煎り~深煎りまで取り揃え、お客様のご要望に応じてお選び頂けるようにしている、と言っている。
が、ヴェルディには、そういった「強烈な酸味≒すっぱみ」を出すコーヒーは存在しない。
それはなぜか?と言うと、「食」を提供する者が一番守らなくてはならないものは「安全」だからである。
どんな食べ物でも、「生焼け」と「しっかり火を通した」ものだと、どちらの方が早く劣化するか?と訊いたら、ほとんどの常識ある人なら「生焼けの方が早く劣化する」とこたえるものだと思う。
料理でも、さっと焙って出す料理、表面だけ色付けて中心部はレアな状態で提供する料理は、その場ですぐに食べてもらえる場合がほとんど。
少なくとも、食べるのが何日も先という条件下で、そういう調理をする料理人はいないものだと思う。
コーヒーは、購入して1日~2日で飲み切ってしまうという商品ではなく、1週間~2週間かけて飲む方が大勢を占めるのではないだろうか。
そう考えたら、安全な食を提供しようと思ったとき、決して生焼けなものは提供できないというのが私の考え方である。
そんなわけで、ヴェルディが「すっぱいコーヒー」を提供しないのは、食を仕事にするものの大前提である「安全」を担保するためでもある。
実際、私は仕事柄一日に恐らく数リットルのコーヒーを飲むことになるのだが、自店のコーヒーなら何杯飲んでも胃もたれはしないものの、生焼けのコーヒーは2杯飲んだらしんどくなってくる。
トシなのかもしれないが、若い胃を持っている人だけではなく、あらゆる年齢の方に安心・安全を提供するためには、決して芯残り焙煎はできないのである。
最近、流行りもあってか「酸味の強いコーヒーがほしい」と言う方がいらっしゃることも増えたが、残念ながらヴェルディには【強い酸味≒すっぱい】コーヒーは存在しないし、今後も出す予定はない。
ご理解願えれば幸いである。


