自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

  1. 下鴨店TOP
  2. カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記
  3. 珈琲のことなど

珈琲のことなど

掘り出し物

2023年9月7日 

ヴェルディは、開業当初バッハグループとして営業していたので、生豆の仕入れは全てバッハからであった。

生豆の知識を持たなくても、産地のことをよく知らなくても、必ず良い豆を仕入れられるという点では良かったのだが、同時に自分が選んで良いものを仕入れるということはできなかった。

ある意味、20年前は豆の仕入れルートも限られており、月間100キロも焙煎しないような超零細焙煎店が独自仕入れするなんて無理な時代だった。

時は流れて、今や月間100キロ焙煎している自家焙煎店の方が比率的には少ないかもしれないというほど、超小型焙煎機で一日数キロしか焙煎しないというお店が増えている。

そして、そんなお店が成り立つのは、小分け小ロットで生豆を販売する業者が増えたからに他ならない。

が、私の経験則から言うと、ある程度のロットを購入できないと、安定して良い豆を仕入れることは難しいというのも事実。

現在ヴェルディは、主要な豆については年間契約で数十袋を産地出港前に契約して仕入れているので、国内には出回らない豆や、同じ産地・同じ農園(精選所)のものでも、より良いものを仕入れられるようになってきたが、まだまだ上には上が多数いるので、本当に最上のものだけを仕入れるには、もっと焙煎量を増やして多くのロットを確保できるようにしなくてはと常々感じている。

そんな中でも、ヴェルディのような中途半端に大きくなく小さくない焙煎屋だから仕入れられる豆もある。

たまに電話がかかってきて「続木さん、掘り出し物があるんだけど、3袋だけだから全部買ってくれない?」と言われて、すぐに内容をメールでもらい、即買い付けといったことがある。

電話口で詳しく話を聞くと「〇〇農園(有名農園)のものだけど、一般に出回っているのではなくて、そこのセレクトロットが3袋だけ余って、まとめて買ってくれるところを探しているんですよ」といった具合。

要するに、大手さんだと3袋なんて少なすぎるし、月間100キロも焙煎しないところだと、3袋買ったら使い切れない。

つまり、ヴェルディ程度のサイズがちょうどよいから電話がかかってくるということなのだと思う。

生豆の業者のカタログを見ると「COE入賞暦のある名門農園○○農園の豆、カッピングスコア85点」なんて書かれているのをよく目にするが、名門農園だから美味しい(良い豆)とは限らない。

100のうちの5だけスペシャルロットを作って、親密な取引先に売り、残りのうち、まずまず良い45を「スペシャルティ」として、そこそこ高価な値段で一般に売り、ちょっと良くない(汎用なもの)50をちょっと高価に売るための文言が「COE入賞暦のある名門農園」という台詞になったりするから恐ろしい。

実際に、同じ農園(精選所)へ行って、裏に回って見てみると、こんな風に分けられていることがある。

有象無象のチェリー

そこそこまとまっている豆だけど、ちょっと収穫が早かったかな?というものが大半のチェリー

完熟比率が最も高いチェリー(でも、未熟なものも散見される)

し視察に行って、収穫しているところを見ると、だいたいは私たちが見る限り良いものしか収穫していない。

が、裏に回って見てみないと、本当のところどうなのかは分からないわけで、こうして違う容器に入れているということは、やはりロットとして甲乙丙を作っていると考えるのが妥当だと思う。

そういう光景を目にすると、名門農園とか、COE受賞歴といったものは、あまり役に立たず、やはり仕入れる人と農園の信頼関係が重要だと思ってしまう。

そんなわけで、たまにかかってくる掘り出し物電話。

私が「保留」と言ったら、すぐに他に流れてしまうので、仕入れる人を信じて即断即決するしかない。

今日もかかってきて、思わず購入してしまった。

来月あたり、超限定で出てくるかも。

楽しみでもあり、恐ろしさでもあり。

豆 後編

2023年8月28日 

昨年タンザニアとケニアへ行ったときのこと。

ケニアのNCX(ナイロビコーヒーエクスチェンジ)で、次週行われるオークションの出品豆をみたときのこと。

恐らく、日本で自家焙煎をしている人たちは、ケニアのグレードだと【AA】か【AB】悪くても【B】くらいしか目にしたことがないように思う。

実際、私も【C】以下のケニア産コーヒーを見たことはなかった。

しかし、オークションのカタログには、AAから始まりTT、Tという豆がけっこう入っている。

この【TT】【T】は、比重選別したときに軽くてはじかれた豆や、欠けてしまった豆などで、言わば私たちが店でハンドピックをした場合、はじいた欠点豆の集合体とも言えるようなもの。

つい、輸出業者の方に「こんな豆買う人いるんですか?」と訊いたら「これがロースターさんにとっては一番儲かる豆なんですよ」と。

↑NCXのオークション出品豆のサンプルルームで。

私が訪問したときは、まだメインクロップ(主収穫期のもの)ではなく、フライクロップ(少し早く収穫されるもの)だったので、若干クオリティーは悪いものが多く見受けられたが、それにしても【T】グレードのサンプルを見て絶句。

これは、もうハンドピックなどできない、と言うより、私たちだったらハンドピックして欠点豆を取り除くのではなく、この欠点豆の中から使えるものを探すと言った感じかもしれない。

一方で、「これが一番儲かる」という言葉が、喉にひっかかった魚の小骨のように、なんとなく嫌な気分をひきずりながら、NCX視察を続けた。

私たちが仕入れるコーヒー豆だと、どうしても100gあたり販売価格700円を切ることはできないが、世の中にはその半額以下の豆が多く流通している。

つまり、こういった二束三文で買える【T】や【TT】といった豆を混ぜながら、うまく原価調整をして大量販売することで、利益を出すということなのだろう。

ブラジルで言えば、No.4-5(フォー ファイブ)NY市場の基準となるグレードで、No.2よりはかなり安価に流通している。

安価なブレンドベースとして使われているもので、これよりも2段グレードが下がると、輸出基準外=国内消費向けとなる。

(だから、ブラジルの一般的なコーヒー店で飲むコーヒーは決して美味しくない)

実際No.4-5のグレードだと、かなり欠点豆が混入しているし、リオと言われる悪い臭いを出す豆が若干混ざっているのだが、ケニアの【T】はそんなレベルではない。

しかし、それもビジネス。

需要がないところに供給はないわけだから、非難することではないのだが、個人的にはこの豆を見てしまうと、やはり安価なコーヒーは飲みたくないと思ってしまう。

が、裏を返せば、私はコーヒーについては産地へ行って実際にどうなのか確認できるので、安いコーヒーがどんな原料を使っているのか分かるのだが、私の専門外のものについては、どうなのか知る由もない。

でも、こうしてコーヒーの実情を見ると、「安いものには訳がある」ということがよくわかる。

毎日、そんなに高いものばかり食するわけにはいかないが、少なくとも「安さ」だけに走るのは、本当に恐ろしいと実感するひとときであった。

豆 前編

2023年8月27日 

今年は初めて敬老の日のギフトボックスを作り、現在ご予約受付中なのだが、そのギフトボックスに珈琲とセットで入れるお菓子を何にしようか考えた結果、定番のフィナンシェに加え、宝泉堂さんの「しぼり豆 黒大寿」を使わせて頂くことになった。

せっかくだったので、宝泉堂の古田社長に、しぼり豆に対する思いを聞かせて頂こうとお願いしたら、お忙しいにも関わらず二つ返事でご快諾下さって、しっかりとお話を聞かせて頂くことができた。

その折に宝泉堂さんでは丹波黒豆の中でも、一番良いもの、【秀】と【優】と【良】があったら、【秀】しか使わないとおっしゃっていた。

秀と優の違いは、品質的には同じでも、少し傷がついていたり、軽かったり程度で、炊いてしまったらよほどの人でない限り区別はつかない。

しかし、区別がつかなくても、決して秀品以外は使わないというのが、宝泉堂さんのプライドであり、お客様の信頼にこたえる術であるという、本当に自社の商品に対しての強い信念を感じずにはいられないお話であった。

同時に、産地も【秀品】と偽って【優品】を出しても、よほどでないと区別はつかない中、宝泉堂さんには何があっても【秀品】しか納めないというのは、長年産地とともにしっかりとした商品を作り上げてきた信頼関係から。

そんなお話を伺うと、実は珈琲も全く同じことが言えるということに気付く。

珈琲豆の場合、海外の、しかも決して先進国と同じレベルでやりとりができるとは限らない国のものを仕入れなくてはならない上、自分だけで何かができるというわけではないので、日本と同じ感覚では難しいのだが、やはり私もそのときに入手できる中で、最も良いものを仕入れるよう努力している。

また、産地へ行くのも、その国のシステムを知ることや、輸出する人がどんな人なのか、そして現地へ行くからこそ、信頼関係とまでは言えなくても、少なくとも他の顔も見たこともない人に対してよりは、良いものを入手できる可能性が高くなるという部分がある。

そして、いろいろな豆を見て、その国の精製方法や収穫方法などをじかに見てこそ、分かることも少なくない。

しかし、それ以前に、私も知らなかったことが分かるということもあり、それがけっこうショッキングなことだったということもあり。

明日は、昨年ケニアへ行って、私も知らなかった豆のことについて書きたいと思う。

バナナ

2023年7月20日 

コーヒーの産地へ行くと、路上で果物や野菜が売られている光景をよく目にする。

国によって、どんな果物や作物が売られているかは違うのだが、タンザニアへいったときは、ともかくバナナが恐ろしい量で売られていた。

これは、コーヒーの木のシェードツリーとしてバナナを植えていることが一番の理由だと思うのだが、産地近くの路上では、まだまだ緑色のバナナしか見ることができなかった。

購入したバナナは、頭上にのせて運ばれる。

それが、エチオピアへ行くと、産地の近くではバナナがこんな感じで売られている光景を目にすることはなく、そう言えばあまり露店も目にしなかった。

途中でたまに見かけたバナナを売っている露店でも、タンザニアほどの量は置いておらず、しかも緑色ではなく黄色いバナナだった。

首都のアディスアベバでは、他のフルーツとともにバナナも大量に売られているが、それも全て黄色い食べごろの色。

やはり、首都ではすぐに食べられるものが売られているのだろう。

タンザニアへ行ったとき、ダルエスサラームは乗り換えだけだったので、街へ出ることがなかったため確認できなかったが、コーヒー産地へ行ったとき、バナナがどんな感じで売られているか、これからけっこうチェックしそうな気がする。

このページの先頭へ