先週、珈琲にまつわる資格はたくさんあるということを書きましたが、今回からいよいよ本題です。
珈琲鑑定士と聞いたら、皆さんはどんな仕事だと思いますか?
恐らく、珈琲をカッピング(テイスティング)して、味に点数をつけたり、グレードを決める人のことだと思うでしょう。
もちろん、それも重要な仕事の一つで、鑑定士の資格試験には味覚試験やグレード付けの試験もあります。
しかし、ブラジルの珈琲鑑定士に要求されるのは、そのような官能的な部分だけではなく、非常にビジネスライクな部分もあるのです。
次の問題は、ブラジルの珈琲鑑定士資格試験に出てくるような問題です。
● KC Z 11 これは何を意味するか?
● NYBOT にて5月渡しの価格が158.55¢/Lb のとき、1bag(Sc)は何R$か?
※ US$1=R$1.70と仮定する
コーヒーマイスターはもちろん、Qグレーダーの試験にも、恐らくこのような問題は出てこないと思います。
これは、商取引上に必要な知識ではありますが、単に珈琲の味を表現するのであれば、それこそ「知らなくていい知識」かもしれません。
どうしてこのような知識が鑑定士に必要になるかは、そのうち説明するとして、まずは皆さんが真っ先に考える珈琲のグレード付けの手法について、ブラジルの鑑定士はどのような基準でグレードをつけているかご説明します。
まず、ブラジルにおいて豆のグレードは「Tipo(タイプ)」と呼ばれ生豆に含まれる欠点数(悪い豆の点数)に応じて、Tipo2~Tipo8までの7種類と、その中間の6種類に分けられます。
TipoはCOB(ブラジル公式鑑定法)に基づき生豆300g中の欠点数が算出されます。
欠点豆には、各々点数があり、例えば「死豆(Preto)」は1粒で1点ですが、「発酵豆(Ardido)」は2粒で1点、「割れ豆(Quebrado)」は5粒で1点となります。
鑑定士は、300gのサンプルから欠点豆を選別し、欠点豆ごとに分類して点数をつけていきます。
欠点数が算出出来たら、下の票に従ってTipoを決定します。
Tipo2は、欠点数が4以下で最も優れており、Tipo8は欠点数が最大360で、最も品質の劣るコーヒーとされます。
ただ、同じTipo2でも中間値があるため、Tipo2とTipo2-45では欠点数が7も変わってきます。
7点の違いとなると、割れ豆などだと300g中に最大35粒の違いがでてくるので、同列には扱えないですね。
欠点数360以上のものは規格外とされます。
ちなみに昔よく耳にした「ブラジル・サントス No.2」というのは、ブラジルのサントス港から出荷されたTipo2の豆ということで、これだけでは広大なブラジルの中でも、どの地域で採れたものなのか、精選方法は何なのか、スクリーンサイズはどうなのか、そして肝心に風味はどうなのか、などが全く説明されていないということになります。
Verdi にご来店下さるお客様の中には、極稀に「サントス No.2あるか?」と訊いてこられる方がいらっしゃいます。
たしかに、ブラジルを出荷する段階では、Tipo2=No.2は最高グレードですが、Verdi ではハンドピックによって欠点豆はすべて取り除いていますので、Tipoとして言うなら欠点数が0なので、表には存在しないTipo1ということになります。
そうしてみると、もしコーヒー店へ行って「ブラジル・サントス No.2」と書かれていたら、それはハンドピックをせず欠点豆が入ったまま焙煎したということを宣伝しているようなものと言えるでしょう。
Tipoが決まったら、欠点数以外の評価が加わります。
COBにおける豆の評価項目は以下の通りになります。
● Bebida:味(風味の良し悪し)
● Peneira(formato da fava):スクリーンサイズ(大きさ)、豆の形状
● Preparo(Via Seca eVia Umida):精選方法(ナチュラル or ウォッシュド)
● Seca / Cor / Asprcto / Torra:乾燥状態 / 色 / 見かけ / 焙煎
次回は、味の評価方法について書きますが、今回は代表的な欠点豆をご紹介しておきましょう。
Preto プレット=死豆または黒豆 1粒の混入で1点
Ardido アルジード=発酵豆 2粒の混入で1点
Preto Verde プレット ヴェルジ=未熟な発酵豆 2粒の混入で1点
Verde ヴェルジ=未成熟豆 5粒の混入で1点
こうしてみると、300g中に未成熟豆が最大20粒混入していてもTipo2=No.2に認定されてしまいます。
ある意味、ちょっとどうなんだかなぁ・・・と思いながら、このTipo決定のプロセスを勉強していました。
つづく