そろそろ薄手のジャージ上下では朝が寒くなってきた。

さて、今日は完全に私の趣味の世界なので、オペラに興味のない方はスルーしてください。
先日、Amazonで中古のDVDを注文した。

グノー作曲 ファウスト
1973年9月9日と12日、NHKホールでのライブ録画。
今から50年前に、NHKがイタリアからソリストと指揮者、演出家などを呼んで、N響と日本の合唱団で上演するということをシリーズ化していたようである。
今では、ミラノ・スカラ座やウィーン国立歌劇場など海外の一流オペラハウスの引っ越し公演が珍しくないなか、まだまだオペラが浸透していなかった時代の日本に、当代一流のキャストを呼んで、しかもソリスト以外は日本のオケとコーラスで上演するなんて、スゴイことだったというのは想像に難くない。
そんなある意味記念碑的とも、歴史の1ページともとれるDVD、ともかく歌手の名前を見て、何が何でも聞きたくて購入。
ファウスト役のアルフレード・クラウス、マルガリーテ役のレナータ・スコットという当時のイタリアオペラで唯一無二の存在が、よくもオペラ未開拓の日本に来てくれただけでなく、手を抜くとヤバいスカラ座の舞台でもないのに、この上なく見事に歌い上げる様は、鳴りやまぬ拍手がその素晴らしさを物語っている。
そして、やはり素晴らしいのは、ニコライ・ギャウロフのメフィストフェレス。
実は、ギャウロフの正体は悪魔メフィストフェレスそのものだったのではないかと思うほど、古今東西これ以上のメフィストフェレスはいないと思う。
ちなみに、私の愛聴盤はプレートル盤とボニング盤。
好きな曲は、だいたい5~6枚持っていのだが、やはり3枚組のグランドオペラともなると、そんなにたくさん揃えられず・・・
で、その2枚、両方ともBsにはギャウロフを配している。ボニング盤は1966年の録音で、このときのギャウロフはまだ悪魔になりきっていない、とても上手なバスという感じだったが、1978年録音のプレートル盤では、憎たらしいほどの悪魔ぶり。
12年の歳月をかけて、役を完璧に自分のものにしたのかと思っていたが、このDVDに聞くギャウロフは、目をつぶって聞いていたらプレートル盤と間違うほど、すでに完璧なメフィストフェレスだった。

ボニング盤のジャケット
ボニング盤は、コレルリが素晴らしく、またサザーランドのマルガリーテが初々しい乙女っぽさを出している。

プレートル盤のジャケット
プレートル盤は、ギャウロフの境地を是非聞きたいが、ドミンゴとフレーニというこの時代としての最高キャストは見事のひとこと。
でも、でも、この2枚を聞いた後に見たNHKホールのライヴ。
これは、本当に「よくぞこんなものを録ってくれた!」と感嘆するDVD。
終幕の前半に展開されるバレエ、まだオペラ以上に当時バレエはマイナーな芸術だったという感は否めないし、ヨーロッパの一流オペラハウスと最も差を感じるのは合唱の部分ではあるが、それを差し引いても余りある素晴らしい舞台。
主役の3人だけではなく、ジーベルもヴァレンティンも聞き惚れてしまった。
ワイド画面でもないし、画質はブラウン管品質だし、録音も今のデジタル技術と比べられるはずもないが、そんなことを超越した歴史的名演が、まさかのNHKホールライヴ。
まだ私もやっと幼稚園という年齢のころの演奏なので、見に行けるはずもなかったが、もし、その場にいたら涙をぬぐうことすら忘れスタンディングオベーションをしていたことは間違いないと思う。
本当にNHKさん、有難う!と感じるDVDだった。










