今日も下鴨で開店から閉店までカウンターに立たせて頂いた。
そうしてカウンターに立っていると、コーヒーをお召し上がりくださるお客様の反応を見る機会も多い。
限定販売の「新春ブレンド」をご注文下さるお客様も多くいらっしゃるが、お召し上がりになった後、豆をお求めくださると、気に入って頂けたのだと分かるし、豆をお求めにならないまでも、一口飲んで一緒においでになっている方に笑顔で何かおっしゃる姿を見たら、きっと気に入って頂けたものだと分かる。
珈琲屋として、自分たちが焙煎した豆を美味しいと思って頂けることが、私たちとしては一番うれしいことで、そのために何をすべきか日々考えて努力しているわけである。
そんな中、今日は閉店間際にカウンターにお座りになったお客様からこんな質問を受けた。
「新春ブレンドはゲイシャを使っているけど、ゲイシャを使ったブレンドは難しいのだろうか?」というもの。
確かに、ゲイシャは高価な豆なので、失敗は許されないし、カッピングスコアが90点近いものも多くある。
そうなると「90点」という数字が独り歩きして、それをブレンドすることで、90点以下の味になってしまうのではないかという危惧もある。
でも、私の個人的感覚では、カッピングジャッジが点数をつけるのは極々浅煎りのカッピング用焙煎。
その数字は単なるポテンシャルにすぎないわけで、カッピングスコアが90点を超えているからと言って、誰がどのよに焙煎しても素晴らしく美味しくなるかと言うと、そうとは限らないわけである。
であれば、高いポテンシャルを持った豆を上手くブレンドすることによって、単一では出せない新たな美味しさを作り上げることもできる。
ただ、ゲイシャという豆は、他にない風味を持っているものの、それは非常に繊細なもの。
その繊細な風味を損なわず、むしろ引き立たせつつ単一では出せない風味を作るためには何が重要なのかと言うと、私の場合はブレンドする豆の風味を楽器に見立ててみたりする。
例えば、ヴァイオリンとチェロの中に、いきなりトロンボーンが入ったら、弦楽器の音を殺してしまう。
では、ヴァイオリンとチェロならヴィオラだとまとまるか、と言われたら、確かにまとまるけど面白さはなかったり。
そこで、ピアノを入れたり、オーボエを入れたり、フルートやクラといった木管を入れてみると、まとまりと面白さを両立できるのではないか、とか。
ただ、楽器の組み合わせと同時に、楽譜がどうなのか、というのも大きな問題。
個人的な感覚だと、ゲイシャはハープのような存在。
そこで、今回はハープにヴァイオリンと木琴という組み合わせにした、つもりだった。
スコアは、やはりモーツァルト。
店名がヴェルディだからと言って、ゲイシャのような豆は重厚なヴェルディではなく、軽快で分かりやすいモーツァルトですね。
そんなわけで、今回の新春ブレンド、私としては主役はハープのゲイシャ、そこに寄りそうヴァイオリンはエチオピアのイルガチェフ、そして、邪魔はしないけど主張はしている木琴はブラジルのフルッタメルカドン(今回のフルッタは、前回ほどキャラが強くなかったので、あえて使ってみた)で、モーツァルトの小曲を演奏していると、思いながら飲んで頂けたら、もっと楽しいかも。
以上、分かるような分からないような、新春ブレンド与太話でした。