コーヒーの精製第四回目は、パルプドナチュラル=ハニー製法について説明いたします。
パルプドナチュラルは、1960年代にブラジルの大学が、コーヒーの種子・種を作り出す方法として考案されたのがスタートと言われています。
その後、1989年~1991年頃ブラジルの精製機器製造メーカー、ビニャレンセ社が「フルボディのコーヒーを作る安全な方法」として考案。
疑似的なナチュラルプロセスとして広がりました。
ブラジルにおける「ウォッシュド」は、だいたいの場合「セミウォッシュド」=「ミューシレージ除去製法」と言われ、方法的にはパルプドナチュラルとほぼ同じですが、セミウォッシュドが疑似的ウオッシュドとして広がっているのに対して、パルプドナチュラルは疑似的なナチュラルとして広がっています。
さて、パルプドナチュラルは別名「ハニー製法」と言われています。
たしかに、パルプドナチュラルはナチュラル特有のフルーティーな甘みを出したいから行われている精製法ではありますが、それによって蜂蜜のような甘みが出るというものではありません。
スペイン語ではミューシレージを Miel と言いますが、Mielを単純に英訳したら「honey」なので、ハニー製法と言われるようになりました。
ミューシレージは専門用語なので、普通に西英時点でMielをひいたらhoneyが出てくるので仕方ないと言えば仕方ないのですが、仮に「ミューシレージ残存乾燥製法」なんてネーミングになっていたら、あまり広がらなかったかもしれません。
何となく「ハニー製法」の方が美味しそうに感じますね。
話がそれましたが、そのハニー製法がどのように行われるか記載します。
① 収穫(収穫後に粗選別をすることもある)
② 果肉除去(水洗いではぎ落す)
③ ミューシレージがついた状態で乾燥
④ 重量ベースで水分量が11±1%まで乾燥
⑤ ドライパーチメントとして貯蔵
⑥ 出荷前にドライミル加工
順を追って説明します。
まず収穫したチェリーから水を使って果肉除去します。

上の写真は、比重による粗選別をしているところです。
比重選別をしてから果肉除去をする場合もありますが、選別なしで機械にかけるところもあります。

水といっしょにドラムで果肉を除去しますが、全ての機械がドラム式と言うわけではなく、果肉除去をする機械は他にもいくつかの種類があります。

こうしてチェリーから果肉を除去して、ミューシレージ(粘質物)が残った状態の種子が排出されます。

これをミューシレージ(Miel)が残った状態で、パティオやアフリカンベッドで水分値11%まで乾燥させます。

ミューシレージがついた状態で乾燥させて保管、出荷前に乾燥したミューシレージとパーチメントを脱穀して袋に詰めて出荷されます。
● ハニープロセスの特徴(ポジティブ)
- カッププロファイルが非常に多様である
- 果肉を除去しているため乾燥が早く製造のスピードアップが図れる
- 過発酵・カビなどのリスクが少ない
- ウォッシュドに比べて水の使用量が少ない
- ウォッシュドに比べて廃棄物の量が少ない
● ハニープロセスの現状
- 色で表現されるが明確な基準がなくまちまちである。
(Black / Red / Yellow / Golden / White )
これらの色の基準は以下のように言われているが特に定義はない。
1, ミューシレージの当初量
2, ブリックス(糖度)
3, 部分的ミューシレージ除去
4, 果肉内部の発酵度合い
5, 部分的乾燥等
- 乾燥方法も多様で、以下のようなものがある
1, 発酵なし、スタティックドライヤーで40℃ ⇒ パティオ乾燥
2, 数時間発酵後ビニールハウスで26日乾燥などなど
このような事情(悪く言えば統一性のなさ)があるため、パルプドナチュラルという精製方法は、ポジティブな面を発揮できているものもあれば、普通のウォッシュドと大差ないものまで様々です。
私が焙煎を始めたころは、ファーメンテーションが必要ないことから、水の使用量と廃棄物の量を抑えられる、疑似的ナチュラルとして扱われることが多かったのですが、「ハニープロセス」と言われるようになってから、「風味の向上=高価な豆を作る方法」といった趣旨が広がりました。
特にハニー製法というだけで普通のウォッシュドよりも売買価格を上げられることから、品質を追求する農園と、利益を追求する農園によって、同じハニープロセスでもクオリティーには大きな違いが出てきていると言えるかもしれません。
次回は、スマトラ式について説明いたします。


