自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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珈琲のことなど

販売開始!

2024年6月11日 

今日は真夏のような暑さ。

いつもホットをお召し上がり下さるお客様も、今日はアイスと言う方が目立った。

そして、本日よりブラジルのセラード地域で毎年開催されている

Cup of Progressive Cerrad の Washed 部門優勝豆販売をスタート!

こちらは、20キロ限定入荷のため、売り切れ次第終了となります。

で、この豆のどこがProgressive なのかと言うと、コーヒーを美味しくするために土壌改良からスタートして、農薬や化学肥料を極力抑え、自然の力で木の持つポテンシャルを引き出し、風味を良くしたということになります。

具体的には、以下の4つのことが柱となります。

コーヒーの木の周りに、大根系の野菜を植えることで、大根ができてそれらを抜いた後、土に隙間ができて雨水の浸透力が増し、コーヒーの木が水分を吸収しやすくすること

農薬を使ってコーヒーにつく害虫を殺すのではなく、その害虫の天敵になる虫が好む草を農道に植えることで、害虫を駆除して農薬を使わないようにすること。

木々がうっそうと茂る森林の土壌から、木の根に栄養を運ぶバクテリアを採取、それらを森の土と一緒に水で混ぜて培養して散布することで、手を加えていない自然な状態の森林と同じような土壌環境を作ってやる。

上記、コーヒーの木につく害虫の天敵用に植えた雑草をコーヒーチェリーの収穫前に刈り取り、堆肥にして散布することで、自然の肥料となって先の大根や微生物の効果を最大限に引き出し、木々が十分な栄養を吸収して元気に育つようにすること。

そういった農法により、以前の農薬や化学肥料を使っていたころよりも、木々は元気になって、風味も良くなりました。

手間もコストもかかる栽培方法ではありますが、自然の力で風味をよくするよう日々努力している「ドナ ネネン農園」のブルボン種、ぜひ味わってみてください。

ティピカ

2024年6月5日 

今日の夕方、ご来店下さったお客様とカウンター越しに話していた時のこと。

パプアニューギニアのコーヒーが、今けっこう良いクオリティーであると言うことを話しつつ、全生産国的に見ても、パプアは最もティピカ種の比率が高い国ではないかと思う、といったことを私が語っていた。

閉店前になり、今日勤務していたスタッフにコーヒーを淹れようと思い、何を飲みたいか聞いたら「パプアニューギニア」という返事。

そこで、パプアを淹れて飲ませたところ、「飲みやすいコーヒー」という感想が返ってきた。

確かに現在ヴェルディで使っているパプアニューギニアは、アフリカの豆や中米のスペシャルティーと比べると、際立った個性はないのだが、中深煎りに仕上げることでクセなく苦み・酸味に偏ることなく、それでいて味わい深い The Coffee と言っても良いコーヒーだと思う。

その現在ヴェルディで使っているパプアニューギニア産豆の品種は、ティピカとアルーシャ。

パプアへ行ったときも、ほとんどの農園がティピカメインで栽培していたのだが、これは世界的に見てもけっこうレアな光景。

と、言うのもティピカ種は病害虫やコーヒーの木の病気に対する耐性が弱く、また一本の木から採れるコーヒーチェリーの量も、カツアイなどと比べて少ない。

さらに、同じく生産性が低かったり、栽培が難しかったりといった品種と比べても、特筆するほどの個性がない品種。

コーヒーらしいコーヒーと言えば聞こえは良いのだが、ゲイシャやパカマラといった品種と比べると、どうしてもキャラクターが弱くなってしまう。

生産性が低い上に、差別化が難しいとなれば、無理してまでティピカを育てようと言う感覚はなくなってくることも理解できる。

そんな中、パプアについては、いろんな意味で他との接触が少ないことも手伝い、いまだに昔ながらの品種になっているというところもある。

そして、パプアと並んで、いや、もしかするとパプア以上にティピカがメインの国と言えば、キューバが挙げられる。

こちらも、長くアメリカとの国交がなかったこともあり、先進的な栽培技術の面でも、それを取り入れるための資金の面でも、他国に後れを取ってしまったからティピカの比率が高いのかもしれない。

そんなティピカ種は、世界に出回っているほぼ全ての品種は、元をたどればティピカに行きつくと言われるほど、多くの品種の母体となっている。

にもかかわらず、ティピカを栽培しようと言う農家は減少の一途をたどっていることもあり、もしかするとティピカ種は最大母体品種であるにも関わらず、絶滅危惧種となりつつあるのかもしれない。

私個人的には、強烈な個性はなくても、毎日飲めるオーソドックスで王道の味わいを出してくれる良質なティピカを使いたいと思い、ヴェルディではティピカ種の豆を3種類ほど販売している。

でも、世の中は、強いキャラクターを求める方向性が強いから、やはりティピカは絶滅危惧種になりつつあるのだろう。

ちなみに、ヴェルディで扱っているティピカ種は以下の通り。

キューバパナマパプアニューギニア

キューバは浅煎りでナッティーな風味。

パナマは中煎りでまろやかではあるが、中米らしいほのかなフルーティーさも持っている。

パプアニューギニアは、比較的ボディもあり、王道のコーヒーらしいコーヒー。

よろしれば、ヴェルディのティピカ種を飲み比べて頂ければと思います。

実は間もなく売り切れ

2024年6月3日 

ヴェルディで通常販売しているコーヒーのほかに、その時々のスペシャルコーヒーをご用意している。

先月から「インドネシア諸島シリーズ」ということで、バリ島からスタートして、東ティモールのナチュラル、そして5月最終週からはフローレス島になった。

通常、このスペシャルコーヒーは、サイトにもトップページにバナーをつけてお知らせするところ、今回はあれよあれよという間になくなっていき、今日の焙煎を終えた時点で、残る生豆は5キロとなってしまった。

もう、今更バナーを作るのもどうかということで、今回はサイトのトップページ告知をしないうちに販売が終了してしまう。

が、このフローレスが終わったら、次はいよいよブラジルのコンテスト優勝ロット!

先日、優勝農園である「ドナ ネネン農園」の方が髙島屋にもご来店くださって、農園での取り組みについてお話くださったばかり。

こちらは、木箱1箱しかないので、今回のフローレスよりも早く売切れることが予想される。

毎年この時期にブラジルのコンテスト優勝ロットを購入しているのだが、今年もどんな素晴らしい豆なのか、私も楽しみ。

というわけで、フローレス島は恐らく今週末か来週頭には売り切れ予定。

まだお召し上がりでない方は、ぜひ早めにお試しください。

マンデリン その2

2024年6月2日 

マンデリンという名称をつける条件は以下の2点。

スマトラ島の北部~中部の産地で採れたアラビカ種であること。

スマトラ式精選(Wet hull)によって処理されたこと。

北部のアチェやリントンは、マンデリンの産地として古くから知られているが、最近ではリントンの南部にある「ポルン」という地域や、さらに南のスマトラ島中部にあるパダン、このパダンで採れた豆は、昔からマンデリンとして出荷されていたものの、リントン地域のものと混ざって流通していたため、地域的には離れているものの「リントン産」として世に出ていた。

そのパダンを中心としたエリアで作られる豆の中でも、「クリンチマウンテン」は、ある意味新興産地、と言うか、近年仲買人がしっかりとトレースをとって、標高毎に買い付けるなど、しっかりとしたルートを開拓していることから、一般で出回るアチェやリントンよりもしっかりとしたトレーサビリティーとクオリティーが担保された豆であることが多い。

それだけに、アチェやリントンの所謂「マンデリンG1」と比べると、クリーンさとクリアさという面で一歩抜きんでているところがある。

いっとき、このクリンチマウンテンは「マンデリン」と呼んでよいのかどうかという議論が交わされていたが、現在では「マンデリン・クリンチマウンテン」と呼ぶことに問題はないという解釈が主流になっている。

同様に、新興の輸出業者によって開拓されたリントン南部の「ポルン」も、一般的なリントンと比べるとトレーサビリティーがしっかりしており、精選時の繊細な管理も手伝って、マンデリンとは思えないほどのクリーンカップを実現している。

正直、豆面を見ると、10年前のマンデリンと比べて非常にきれいで、精選がどれほど繊細に行われているかが見て取れる。

そんなクリンチマウンテンやポルンをヴェルディでも販売しているのだが、昔からのマンデリン好きにとっては、物足りなさを感じるという意見も聞かれる。

独特のアーシーさ、ちょっと草のような香りとふっと感じる柑橘系の風味が弱いというわけである。

ある意味、栽培から収穫、精選まで徹底していくと、味はクリアになるが、嗜好品として昔からあった風味(場合によっては雑味)がなくなってしまうということもある。

私もハンドピックをしていると、昔のマンデリンは、けっこうな欠点豆が多かったので、ハンドピックに苦労する豆ベスト5には入っていた。

が、最近のポルンやクリンチマウンテンは、逆に欠点豆がほとんどなく、ハンドピックが楽な豆ベスト5にはいるくらい。

昔のマンデリンの味、正直言うと私も独特な風味(今となっては若干雑味の感も否めないが)も好きだったが、さて、後戻りするかどうか・・・

なかなか悩ましい豆でもある。

(気が向いたら、さらに深掘りへと続く。多分、しばらく期は向かないですが)

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