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カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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知らなくてもいい珈琲の話

知らなくてもいい珈琲の話-その11【珈琲鑑定士 Part 4】

2021年3月28日 

珈琲鑑定士についてのお話も第4回目。

今回は、自分で書いていても、恐らくエチオピアの話より分かりにくいだろうなと感じながら、でも始めてしまったからには最後まで書かねばと思いつつ、ちょっと端折りながら、今回で完結できるようにしたいと思います。

本当は、6~7回の連載になるだろうと思ったのですが、書きたいことを箇条書きにしたら、マニアックになりすぎてしまいそうだったもので。

まぁ、テレビドラマでも視聴率が悪かったら、本当は10回放送の予定を8回で打ち切ってしまうなんてことあるし・・・

そういえば、ディズニーが映画製作を開始した「ナルニア国物語」、もう次の話は出ないのだろうか?と思ったり・・・

そんなわけで、珈琲鑑定士が行う仕事の中で、グレード分けや味の評価以外の部分について説明したいと思います。

ブラジルでexporterを訪ねると、たいがいは最初に案内されるサンプルストックの部屋で鑑定士がコーヒーのグレード分けを行っています。

ともかくブラジルにおいては、この「グレード分け=欠点数の算出」がなくてはコーヒーの評価は始まりません。

そんなexporterの倉庫兼事務所には、毎日たくさんのトラックは入ってきます。

トラックに積まれているのは、もちろんコーヒー豆です。

この段階では、私たちが仕入れる60キロ入りの麻袋ではなく、Bica Corrida(ビッカ コリーダ)と呼ばれる1.6~1.8トン入りの袋に入ってきます。

これが、倉庫に積まれて行きます。

そして、入ってきた豆はサンプルが抜き取られて、鑑定士の元に運ばれます。

鑑定士は抜き取られたサンプルを鑑定して、入ってきたロットに欠点数によるTipo分けが行われます。

そうして、Tipo分けされた豆が、次は味評価へと移ります。

ちなみに、後ろの棚に積まれている小さな容器は、このexporterが倉庫に保管している豆のサンプルで、商談のときに使います。

事務所にはサンプルロースターがならび、毎日たくさん入ってくる豆を次々とローストしてカッピングをしていきます。

こうして味の評価をされた豆がサンプル容器に入れられて、豆の取引の折にバイヤーの確認用に使われます。

exporterの事務所には商談スペースが並びます。

買い付けにやってきた人が自分の欲しいグレードや風味特性、価格などを詰めていきますが、その日の相場で価格は変わりますので、商談スペースには証券会社などでよく見るようなリアルタイムの先物価格表示が刻一刻と数字を変化させつつ瞬いています。

これらを元に、バイヤーは細かくグレードや味を指定して豆を購入するわけですが、そのときによく利用されるのが「ブレンド」です。

アフリカなどは小規模農園の豆を集めて、それらを精選するウォッシングステーションが豆のトレースとなっているところが多いのですが、ブラジルは大規模農園も多いため、農園単位のトレースが効きます。

しかし、必ずしも単一農園産のものが、バイヤーの求めているグレードと味になるわけではないので、いろいろな生豆をブレンドしてバイヤーが求めるグレードと味、価格のロットを作ると言うことが出てきます。

私も、鑑定士講習の最終段階で、[Tipo=4-5、風味特性はGrupo1だが、味を安定させるためにコニロン(ロブスタ)を少量配合、最終的に4-5でApenas Moleのロットを作れ]という課題が出されました。

これらを混ぜたら、理論上はTipo=4-5、風味はApenas Mole のものができるはず。

これをサンプルロースターで焙煎して、再度味を見てブレンドの可否を決めます。

ちなみに、このTipo4-5というのは、ブラジル産の豆ではBASEと言われ、一般的なコモディティコーヒー(普及価格帯)の基準となるものです。

欠点数は26~28、300グラム中に発酵豆や黒豆、未熟豆などが20~50粒(欠点の種類によって違う)程度入っていると言うことになります。

日本では、主にブレンドベースに使われるランクのもので、スーパーなどで300グラムが1,000円以下で売られているようなブレンドが、このランクのものだと思えば良いかと思います。

このように、珈琲鑑定士はグレード付けをするのみならず、バイヤーの要望に合ったコーヒーのブレンドなども行う役割があります。

そのあたりを見ると、本当に生産国=輸出側の立場に立った資格であることがよくわかります。

そうして、商談成立となったら、ドライミルにかけた後、60キロの麻袋に入れ替えられます。

スペシャルティコーヒーの場合は、真空パックにされたり、ビニールに入れて箱詰めして出荷されたりしますが、ブラジルのほとんどの豆は、この麻袋状態で輸出されます。

港の倉庫からコンテナに入れられ、出荷されますが、ブラジルの出荷港として有名なのが「サントス港」ここからは、Tipo2も4-5も、それよりもっと下のクラスのものも出荷されますし、味についてもMole~Dura、Rioに分類されたものもここから出荷されます。

これまでの経緯をご覧頂いたら、「サントス」という名称は、単なる出荷港の名前に過ぎず、味については何の保証もないことが分かるかと思います。

私の場合、「サントス」は単なる港の名前で合って、「ブラジル・サントス No.2」というのは、サントス港を出港した欠点豆が少ないものである、ということ以外は、何のトレースも風味面での評価もされていないと言うことは、鑑定士になる以前から承知していたことでした。

しかし、実際に鑑定士という資格をとってみると、ブラジル産の豆がどのような評価でどのように価格決定されているのか。

また、トレースが効くもの(単一農園産)以外の、ブラジル豆がどのように扱われ出荷されているのか、ということがよく分かりました。

そして、ブラジルのコーヒー業界においては、この鑑定士の資格を持っていると、だいたい食いっぱぐれることがないことも。

もし、私も食うに困ったら、家族みんなでブラジルへ移り住もうかと思います。

~珈琲鑑定士編、おわり~

知らなくてもいい珈琲の話-その10【珈琲鑑定士 Part 3】

2021年3月21日 

前回は、珈琲鑑定士がグレード付けをするにあたって、欠点豆の点数によりTipoを分けると言うことについて説明しました。

しかし、コーヒーのグレード付けは、欠点数に加え以下のことも考慮されます。

● Bebida:味(風味の良し悪し)

● Peneira(formato da fava):スクリーンサイズ(大きさ)、豆の形状

● Preparo(Via Seca eVia Umida):精選方法(ナチュラル or ウォッシュド)

● Seca / Cor / Asprcto / Torra:乾燥状態 / 色 / 見かけ / 焙煎

今回は、[Bebida=風味の良し悪し]についてご説明いたします。

日本国内には様々な珈琲の資格を持った人がいます。

ちょっと講義を聞けば誰でも取れてしまうようなものから、なかなか取得が難しいものまで多種多様ですが、その中でも世界の複数国において、同じ基準で(厳格には同じと言えない部分もありますが)認定されている資格に「Qグレーダー」というものがあります。

これはSCA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が決めた基準で資格を認定するものです。

そのQグレーダーは、コーヒーのグレードを決めるにあたり10の要素について各々10点満点の評価をして、概ね85点以上がスペシャルティコーヒーと評しています。

カッピングは、同じ豆(粉に挽いたもの)を5カップ分用意して、全てのカップをテストして評価します。

なぜ同じものを5つもテストするかと言うと、豆ごとのバラツキがあるか否かということも重要な要素になるからです。

その10の要素は以下の通りです。

1. Fragrance/Aroma(フレグランス/アロマ)
粉の状態と液体になったときの香り。その強弱と質。

2. Flavor(フレーバー)
液体を口に含んだ時に鼻と口で感じる風味。

3. Aftertaste(アフターテイスト)
液体を口から出した後の余韻。

4. Acidity(アシディティ)
酸味の強弱と質。

5. Body(ボディ)
コーヒーを口に含んだ時のボディ=コクの強弱と質。

6. Uniformity(ユニフォーミティ)
味の統一性。5カップの味にバラツキが無いか、或いはどの程度あるか。

7. Balance(バランス)
Flavor、Acidity、Bodyのバランスがどうか。

8. Clean cup(クリーンカップ)
味に欠点(デフェクト)があるか、雑味の有無。

9. Sweetness( スイートネス)
甘さの強弱と質。

10. Overall(オーバーオール)
総合評価。

そして、味の性質については、よくこのようなフレーバーホイールで説明されることがあります。

そのようなわけで、SCA認定のQグレーダーは全ての人が全く同じ味覚を持ち、同じものを飲んだら、全く同じように評価できる・・・のが理想でしょうけど実際には恐ろしいほどバラつきがあるので、参考程度に考えておく方が良いかと思います。

私も豆の買い付けをするにあたり、現地のQグレーダーが下したカッピングスコアは90点と高い数字なのに、実際に日本に入ってきたサンプルを試してみたら、大したことがないというものは吐いて捨てるほどあります。

現地のQグレーダーは輸送中に味が落ちたと言い訳をしますが、高く売りたいから高い点数をつけていることは自明のこと。

では、日本国内のQグレーダーはどうかと言うと、以前弊社の太田がハンドドリップチャンピオンシップに出場したときのことです。

全国大会まで行くと多くの審査員(Qグレーダー有資格者)によって彼女が抽出したコーヒーに点数をつけられるのですが、人によってけっこう点数にバラつきがあって、結局はその平均点でスコアを決めると言うことになります。

要するに、しょせん人間の味覚は個人差があるから資格を持っているからと言って完ぺきとは言えないということ。

しかし、全くの素人よりは根拠のある風味評価と言えるでしょう。

私の場合は、味覚や人間性を信用できるトレーダーが下した評価を最初のフィルターと位置付けた上で、最終的には自分の風味判断で豆を仕入れることにしています。

ちょっと前置きが長くなりましたが、SCAの評価と言うのはそのようなもの。

一方でブラジルの鑑定士が行う風味評価はどうかと言うと、SCA方式よりもかなりアバウトで、評価項目も少なくなります。

ある意味ブラジルらしいとも言えますが、根底にはいかに効率よく大量の豆を素早く評価して流通させるかということを重要視しているというのが本当のところではないかと思います。

そんなブラジルのカップ評価は次のように行われます。

● カップは1種類につき基本的には1つ。

● ドライ=粉の香りの良し悪し

● ウエット=湯を浸したときの香りの良し悪し

● 液体の風味評価

SCAの場合、これらの香りや風味の評価項目が10あるのに対し、ブラジルの場合は全体をまとめて2つのグループ(Grupe)と7段階の評価に分けます。

まず Grupo 1 Arabica=Bebidas Finas(アラビカ・グループ1=良い味)は以下の4段階に評価されます。

Estritamente Mole:ストリクトリー ソフト=最も糖度が高く味が良い

Mole:ソフト=甘みが感じられる

Apenas Mole:わずかにソフト=弱い甘みがある

Dura:ハード=青バナナのような渋みがある

ここまでがグループ1=良い味と評されるものです。

続いてGrupo2 Arabica=Bebidas Fenicadas(アラビカ・グループ2=フェノール系の味がする美味しくないコーヒー)で、以下の3段階に評価されます。

Riada:リアーダ=わずかにヨード臭がする

Rio:リオ=ヨード臭がしっかりする

Rio Zona:リオゾーナ=強いヨード臭がする

よく、ブラジル産の豆の悪い味として「リオ臭」と言われますが、まさにコレのことです。

ちなみに、カネフォーラ(ロブスタ=ブラジルではコニロンと呼ぶ)はGrupo3に分類され、味の評価は以下の4つになります。

Excelente=優良

Boa=良い

Regular=普通

Anormal=異常

全く関係ないのですが、ブラジルでは R の発音をせず H の発音になるので、リオのことはヒオ、レギュラーのことはヘグラと言われ、最初は何のことかよく分かりませんでした。

もし、ブラジル人が美味しくないコーヒーを指して「ヒオ」と言っていたら、それはリオ臭がするコーヒーのことだと思ってください。

※ リオ臭については、そのうちどうしてそれが起こるのかを含めどこかで説明いたします。

そんなわけで、ブラジルの風味評価を図にすると、こんな感じになります。

この中で Dura =ハード=青バナナの渋みと言う味の表現があります。

しかし、ほとんどの日本人は「青バナナ」を食べたことがないので、よく分からないのですが、現地で参考までに青バナナを食べさせてもらいました。

もう、しばらく口の中が麻痺してしまったのですが、この味までが「良い味」に分類されるのか?と驚くと同時に、ヨード臭(フェノール系の風味)さえなければ、良い味に分類しても良いだろうというのがブラジルの発想かもしれません。

そして、もう一つSCA方式のカッピングと大きく違うところは、豆の色も優劣の判断基準になるため、カッピングの際は色を見ずに純粋な味だけを見る必要があるということが挙げられます。

従って、鑑定士の試験の折には、このようなライティングでカッピングを行いました。

まずは評価サンプルが出てきますが、すぐに蓋をとってはいけません。

写真の暗室か?と思われるような赤い光になって色が判別できない状態になってからカッピングを行うと言うことになっています。

これはなかなか面白かった。

そのようなわけで、同じカッピング=風味評価と言っても、SCA方式とブラジルの鑑定士とではいろいろな面で大きく違ってきます。

恐らくSCAの方式を良しとする人、つまりスペシャルティコーヒー業界の人たちからすると、ブラジルの鑑定はアバウトすぎて全然味評価をしているレベルではないと思われるかもしれません。

しかし、これは用途・主旨が全く違うのだから一概にそうは言えないものと思います。

よく、スペシャルティコーヒー専門店の方は、世界で流通しているスペシャルティコーヒーはコーヒー全体の5~10%程度と、非常に希少性が高いものだと主張しています。

中にはピラミッド型の絵をかいて、頂点の部分を指して「当店の取り扱い豆はこの部分」と言っているところも珍しくありません。

これはある意味間違いではないのですが、では、ブラジルの鑑定士が扱っているのは何なのかと言うと、主にはその他の90~95%にあたるコモディティとかコマーシャルコーヒーと言われるジャンルのものなのです。

逆を言うと、SCA基準でQグレーダーが評価する豆は、全体の5~10%にすぎない極めてニッチなものをさらに細分化しているということになります。

スペシャルティコーヒー専門の人からすると、その5~10%が全てなのかもしれませんが、世の中のコーヒーがスペシャルティコーヒーだけになったら、流通量が9割減ってしまうことになり、そうなるとコーヒーの価格は恐らく一杯数千~数万円になってしまうのではないかと思います。

高価なコーヒーというのは、対象となる普及価格があるから「それに比べて高い」と言えるのであって、対象となる一般流通商品がかなったら、コーヒーに限らず世の中全て価格崩壊がおこってしまいます。

スペシャルティコーヒーは、それ以外の9割にあたる普及価格帯のコーヒーがあるからこそ存続していると言っても過言ではなく、それらを否定することは天に唾することと同様と私は思うのです。

コーヒーを衣料品に置き換えて考えてみましょう、世の中全てがシャネルやサンローランであるはずもなく、ユニクロやGAPも必要だということで、世の中の大半の人は、だいたい日常的にシャネルの服を着るわけではなく、ユニクロで十分だと思っているわけです。

しかし、衣料品と違いコーヒーの場合はトップクラスのものと、普及品の差が衣料品ほど大きくないので、世の中の多数を占める一般的な人でも、スペシャルティコーヒーを日常的に飲めてしまうため、スペシャルティ業界の中でも、井の中の蛙な人はちょっと誤解してしまうのかもしれません。

でも、ある程度世の中の仕組みが分かっている人なら、自分はスペシャルティを扱っていても、それはコモディティがあるから成り立っているということを理解しているはず。

そんなわけで、膨大な量を流通させなくてはならないブラジルのコーヒー業界においては、Qグレーダーほど細かく風味を分類する余裕はなく、収穫されたものを次々と世に出していくために必要かつ十分な判断基準が鑑定士の基準=COB(ブラジル公式鑑定法)になったのではないかと私は想像しています。

で、どうして私はQグレーダーではなくブラジルの珈琲鑑定士、つまりニッチを極めるのではなく、グローバルの基準を知る方を選んだのか?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

その答えは、Qグレーダーの資格取得のためには、ブラジルへ行って鑑定士の資格をとり、同時に農園視察をして回るのと同じくらいの費用が必要だったから。

それであれば、私はブラジルという国へ行って、世界最大の産地を自分の目で見て感じて、そのうえで彼らの品質管理基準を知りたいと思ったわけです。

同時に、私たちは「買い手」ですが「売り手」の理屈を知りたかったというのも大きなところで、Qグレーダーは「売り手」も「買い手」も有資格者が多いため、完全な売り手の判断基準と言うのは、ブラジルの鑑定士にならないと分からないということもありました。

そして、今後もQグレーダーの資格取得にお金を出すのであれば、もっといろいろな産地をめぐって、その土地を肌で感じたいと思っています。

それは、自分が資格を持っていなくても、有資格者以上の味覚は持っているという自信があるからかもしれません。

今回も長くなってしまいましたが、次回はグレード分け以外の鑑定士の仕事について書こうと思います。

知らなくてもいい珈琲の話-その9【珈琲鑑定士 Part 2】

2021年3月15日 

先週、珈琲にまつわる資格はたくさんあるということを書きましたが、今回からいよいよ本題です。

珈琲鑑定士と聞いたら、皆さんはどんな仕事だと思いますか?

恐らく、珈琲をカッピング(テイスティング)して、味に点数をつけたり、グレードを決める人のことだと思うでしょう。

もちろん、それも重要な仕事の一つで、鑑定士の資格試験には味覚試験やグレード付けの試験もあります。

しかし、ブラジルの珈琲鑑定士に要求されるのは、そのような官能的な部分だけではなく、非常にビジネスライクな部分もあるのです。

次の問題は、ブラジルの珈琲鑑定士資格試験に出てくるような問題です。

● KC  Z  11 これは何を意味するか?

● NYBOT にて5月渡しの価格が158.55¢/Lb のとき、1bag(Sc)は何R$か?

 ※ US$1=R$1.70と仮定する

コーヒーマイスターはもちろん、Qグレーダーの試験にも、恐らくこのような問題は出てこないと思います。

これは、商取引上に必要な知識ではありますが、単に珈琲の味を表現するのであれば、それこそ「知らなくていい知識」かもしれません。

どうしてこのような知識が鑑定士に必要になるかは、そのうち説明するとして、まずは皆さんが真っ先に考える珈琲のグレード付けの手法について、ブラジルの鑑定士はどのような基準でグレードをつけているかご説明します。

まず、ブラジルにおいて豆のグレードは「Tipo(タイプ)」と呼ばれ生豆に含まれる欠点数(悪い豆の点数)に応じて、Tipo2~Tipo8までの7種類と、その中間の6種類に分けられます。

TipoはCOB(ブラジル公式鑑定法)に基づき生豆300g中の欠点数が算出されます。

欠点豆には、各々点数があり、例えば「死豆(Preto)」は1粒で1点ですが、「発酵豆(Ardido)」は2粒で1点、「割れ豆(Quebrado)」は5粒で1点となります。

鑑定士は、300gのサンプルから欠点豆を選別し、欠点豆ごとに分類して点数をつけていきます。

欠点数が算出出来たら、下の票に従ってTipoを決定します。

Tipo2は、欠点数が4以下で最も優れており、Tipo8は欠点数が最大360で、最も品質の劣るコーヒーとされます。

ただ、同じTipo2でも中間値があるため、Tipo2とTipo2-45では欠点数が7も変わってきます。

7点の違いとなると、割れ豆などだと300g中に最大35粒の違いがでてくるので、同列には扱えないですね。

欠点数360以上のものは規格外とされます。

ちなみに昔よく耳にした「ブラジル・サントス No.2」というのは、ブラジルのサントス港から出荷されたTipo2の豆ということで、これだけでは広大なブラジルの中でも、どの地域で採れたものなのか、精選方法は何なのか、スクリーンサイズはどうなのか、そして肝心に風味はどうなのか、などが全く説明されていないということになります。

Verdi にご来店下さるお客様の中には、極稀に「サントス No.2あるか?」と訊いてこられる方がいらっしゃいます。

たしかに、ブラジルを出荷する段階では、Tipo2=No.2は最高グレードですが、Verdi ではハンドピックによって欠点豆はすべて取り除いていますので、Tipoとして言うなら欠点数が0なので、表には存在しないTipo1ということになります。

そうしてみると、もしコーヒー店へ行って「ブラジル・サントス No.2」と書かれていたら、それはハンドピックをせず欠点豆が入ったまま焙煎したということを宣伝しているようなものと言えるでしょう。

Tipoが決まったら、欠点数以外の評価が加わります。

COBにおける豆の評価項目は以下の通りになります。

● Bebida:味(風味の良し悪し)

● Peneira(formato da fava):スクリーンサイズ(大きさ)、豆の形状

● Preparo(Via Seca eVia Umida):精選方法(ナチュラル or ウォッシュド)

● Seca / Cor / Asprcto / Torra:乾燥状態 / 色 / 見かけ / 焙煎

次回は、味の評価方法について書きますが、今回は代表的な欠点豆をご紹介しておきましょう。

Preto プレット=死豆または黒豆 1粒の混入で1点

Ardido アルジード=発酵豆 2粒の混入で1点

Preto Verde プレット ヴェルジ=未熟な発酵豆 2粒の混入で1点

Verde ヴェルジ=未成熟豆 5粒の混入で1点

こうしてみると、300g中に未成熟豆が最大20粒混入していてもTipo2=No.2に認定されてしまいます。

ある意味、ちょっとどうなんだかなぁ・・・と思いながら、このTipo決定のプロセスを勉強していました。

つづく

知らなくてもいい珈琲の話-その8【珈琲鑑定士 Part-1】

2021年3月7日 

知らなくてもいい珈琲の話、やっとエチオピアから出国できました。

今回からは、「珈琲鑑定士」という仕事について書きたいと思うのですが、これも知ったからと言って全く役に立たない上、かなり地味な内容で、しかもやたら文章は長くなるので、興味のない方はパスされることをオススメします。

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現在世の中は「資格」に溢れています。

何かの仕事をするにあたって、その資格を持っていないとできない職業もありますが、世の中に氾濫する資格の多くは、民間団体などが付与する資格で、持っていなくても差し障りがないものがほとんど。

先日散髪にいったとき、店内に流れていたラジオで「野菜ソムリエの私がお勧めする野菜の美味しいイタリアン」なんて言いながらお店の紹介をしていて、つい耳がダンボになっていました。

医者になるためには医師免許を持っていなくてはなりませんし、弁護士や会計士になるためにも国家資格は必須です。

このような難易度の高い国家資格は別として、もっと身近なもので言えば、自動車運転免許証がないと、車を運転できませんよね。

また、飲食店を営業するためには「食品衛生責任者」または「調理師免許」の資格を持った人が店舗にいなくてはなりません。

ただ、調理師免許は若干ハードル高めですが、食品衛生責任者は受講さえすれば簡単に取得できます。

恐らくほとんどの人が知らない資格ですが、私は「甲種防火管理責任者」の資格を持っています。

大型の商業施設や多くの人が住む共同住宅では、防災の計画書を作らなくてはならないのですが、その計画書を作成できるのは甲種防火管理責任者の資格を持った人になります。

まぁ、実際には管理会社が防災計画の案を作り、私は署名捺印をすることと、検査に立ち会ってハンコを押すだけなのですが、運悪く、私が住むマンションの中に、甲種防火管理責任者の資格を持つ人がいなかった(まぁ、普通そんな資格持っている人いないですよね)ので、私はかれこれ20年もマンション全体の防火管理責任者になってしまうという、不運に見舞われました。

そんなわけで、マンションに住む方は、あまりニッチな資格は取らない方が身のためではないかと思います。

そんな多種多様な資格の中でも、先に書いた「野菜ソムリエ」のように民間団体か勝手にと言ったら語弊はありますが、一定の基準を設けて資格を付与しているものは、法的必然性はないものの、そのジャンルの中では権威があったりします。

まぁ、どのあたりが線引きかと言えば、「その行為によって、身体(生命)・財産・基本的人権の保障する知的な部分で、的確さを欠いた仕事をした場合は個人および団体の権利を棄損する恐れがある」ものに対しては資格がないと、その行為をしてはならないということになるのではないかと思います。

医師免許や薬剤師=身体(生命)の部分、弁護士や会計士、司法書士など=財産の部分、教員免許=基本的人権の保障する知的な部分、運転免許や防火管理責任者=生命と財産的な部分といったところでしょうか。

個人の範囲を超えて、ボイラー技士だとか、電気設備関係の資格も、一歩間違うと施設を破壊して財産や身体的な棄損に繋がりますよね。

一方で、野菜ソムリエだとか、ワインのソムリエ、インテリアコーディネーターといった資格は、お金こそ絡みますが、深刻な身体的財産的棄損に繋がるとは考えにくいので、専門職に就くからと言って、持たなくても法的に問題のない資格となるのでしょう。

前置きが超長くなりましたが、コーヒーにも多くの資格があります。

私も聞いたことがないような資格もあり驚きましたが、まとめると、こちらに書かれているほどの資格があるようです。

そして、日本国内においては、コーヒー店を経営するにあたって持っていないと法的にまずいものはない(飲食店営業における食品衛生責任者を除く)ものばかりです。

そう言うと「Qグレーダーは、スペシャルティ認定に必要」という声が出てくるかもしれませんが、スペシャルティ認定をしたら(Qグレードコーヒー認定)「その豆が相場より高価で売れる可能性が高くなる」というだけのことで、どの豆を高く売るか・安く売るかは資本主義社会における自由競争の範囲内、必要性は、あくまで法的根拠で考えて頂ければと思います。

そんな中、ブラジルにおける「クラシフィカドール=珈琲鑑定士」は、日本国内で見ると全く無意味ですが、ブラジルでは国家資格であり、コーヒー豆の取引を行うにあたって、鑑定士によってグレード付けをすることが前提条件になっています。

流通価格はあくまで相場ですが、その相場の元となる【輸出基準の豆】なのか、【国内消費用豆】なのかを判断するのは珈琲鑑定士、輸出用であれば、どのグレードに位置するのかを決めるのも鑑定士なので、ブラジルにおいては珈琲鑑定士が鑑定しないと、取引に入っていけないということになり、日本における「コーヒーマイスター」だとか「コーヒーコーディネーター」といった資格とは全く意味の違うものなのです。

ヴェルディでは、コロナ前に入社した社員は全員 SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)認定のコーヒーマイスターという資格を持っています。

働くにおいて、最低限の知識は持っていてほしいので、自社の社員には取得を推奨していますが、私が取得したのは「コーヒーマイスター」ではなく「ブラジル政府認定の珈琲鑑定士」でした。

どうしてマイスターやQグレーダーではなく、他国の鑑定士の資格だったかと言うと、世界のコーヒー相場の根拠となっているグレードは、どのようにつけられているのか、また、輸出する側の国がどのような基準でコーヒーを売ってきているのかを知りたかったから、ということでした。

そんなわけで、めちゃくちゃ前置きが長くなりましたが、次に話す内容を考えるにあたっては、【資格】というものの位置付を明確にしておく必要があったので、つらつらと書いてしまいました。

そんなわけで、今回はプロローグということにして、次回から具体的な珈琲鑑定士の仕事についてお話します。

今回は下手すると7~8回連載になるかも。

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