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カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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2023年10月

スペシャルティーコーヒー-3

2023年10月27日 

今日の日記も、ヴェルディの従業員向けに私が考える「スペシャルティーコーヒー」について述べるものであり、必ずしも一般の方に読んでほしいものではないことを最初に申し上げます。

まぁ、このテーマについて書き始めたら、恐らくきりがなくなるので、次回で最終回にしたいと思います。


前回、「5,風味特性・風味のプロフィール」について書き始めたら、結局6,と7,について書けずに終わってしまったので、まずはその部分を。

6,後味の印象度

コーヒーを飲みこんだ後の口の中に残る余韻というか、要するに甘みを伴った心地よい香りがほんのり残るかどうか、ということで、後味に刺激的な嫌な感覚が残ってはいけない、ということである。

難しいのは、「後味のスッキリ感=キレのある後味」と「甘い余韻=残り香」をどう考えるかだがが、ヴェルディでは「後味がすっきりしている」コーヒーを提供していると開業当初から主張してきた。

ただ、それは当時(20年前)のコーヒーは、後に嫌な苦みが残るものも少なくなかったので、それとの差別化を図るためであり、心地よい余韻を否定するものではない。

そして、良い豆をしっかりと焙煎して、新鮮なうちに挽いて、よほど下手な抽出をしない限り、そんなに悪い後味にはならず、むしろ甘い余韻は感じられるものと思う。

さらに言えば、この項目以前に書かれている1,~5,の要件を満たしていたら、概ね良好な後味になるはずである。

7,バランス

調和がとれているか、突出したものがないか、欠けているものはないか、と、書かれているが、逆に近年のCOEで上位入賞をしようと思ったら、突出したキャラクターがないと難しいようにも感じる。

なんだか、最後に取ってつけたような項目に感じた。

と、言うことで、ここまでスペシャルティーコーヒーの要件について解説してきたが、結局のところ「じゃぁ、一言で表せるスペシャルティーコーヒーの定義って何?」と訊かれて、誰もが納得する答えを言える人はいるのだろうか?と思う。

一つの判断基準として、Qグレーダーと言われる人たちが80点以上つけたらスペシャルティーと言う人もいる。

が、芸大店の太田がチャレンジしてきた「ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ」で、審査員の評価が戻ってきた後に見せてもらったら、全員違う点数をつけているし、コメントも人によって違ってくる。

コーヒーの風味を点数化するというのは、陸上競技のようにタイムや飛んだ距離・高さなどが明確なものや、球技のようなしっかりとルールにのっとって点数が入る競技のような点数のつけ方ではなく、フィギュアスケートのような、審査員の主観が入ってしまう採点に近いかもしれない。

そうしてみると、点数でスペシャルティーを区切ると、例えば80点以上か未満かという場合、(90点とかまで行ってしまえば、多少の差は関係ないのだろうけど)それを判断する人の主観次第で、スペシャルティーになるのか、ならないのか変わってくる。

そうしてみると、もはや「このコーヒーは美味しい」「このコーヒーはイマイチ」という個人の感覚でスペシャルティーか否かを決めるしかないように思う。

そこで、このテーマで日記を書くことになった「ここに並んでいるのは全てスペシャルティーか?」という質問にどう答えたら良いのか?

個人的な感覚では、すべてスペシャルティーと言っても良いと思うのだが、一般的な判断で言えば、そうとは言えないものもある。

そして、昨日私がお客様から受けた発言の中に「スペシャルティーって酸っぱいコーヒーでしょ?」というものがあった。

明後日、このテーマの最終回では、【ヴェルディの豆はスペシャルティーか?】、【スペシャルティーコーヒーは酸っぱいのか?】【お客様にスペシャルティーコーヒーというものをどう説明したらよいのか?】

という内容で記載したいと思います。

明日から!

2023年10月26日 

ここ2回ほど、けっこう硬い内容を書いていたので、今日はちょっと商品の宣伝など。

と、言うか、人に嫌われるようなことを書くより、商売につながることを書かねば、ですね。

ってことで、明日27日より、毎年秋恒例のお酒のような香りの(と言うより、ほとんどお酒)コーヒーを限定販売!

スペシャルティーコーヒーがどうのこうの言っているくせに、こんな超変化球なコーヒーを出すのか!?と言われそうですが、真面目に20種類以上のコーヒーを焙煎しつつ、中には一つくらいこういう面白いのがあってもいいではないか。

ってことで。

明日の営業開始より、下鴨本店、京都芸術大学店、京都髙島屋S.C.店で販売開始。

通販では、27日の午前0時より販売をかいしいたします。

ブラジル・ヴィンテージバレル。カシャーサ

キャッチフレーズは「秋の夜長のほろ酔いコーヒー」

アルコール摂取はドクターストップな私でも、これなら飲める♪

なかなか深い味わい。

そして、本日まで販売していた「モカブレンド」用に仕入れた「ゲイシャ」が、ほんの少しだけ残っているので、そちらは明日のお昼くらいから通販限定で数量限定特価販売をしようかな?と。

よろしければ、おためしくださいませ。

スペシャルティーコーヒー-2

2023年10月24日 

昨日に引き続き、今日の日記も、ヴェルディの従業員向けに私が考える「スペシャルティーコーヒー」について述べるものであり、必ずしも一般の方に読んでほしいものではないことを最初に申し上げます。

むしろコーヒーに対する幻想を傷つけないためにも、読まないで頂きたいほどです。

特にスペシャルティーコーヒーを前面に出す同業者には、耐えがたいことを言う可能性もありますので、そういう方はお読みにならないことを強くお勧めいたします。

このような注意喚起にも関わらず、読んでしまって文句を言われても、私は一切応じませんので、どうぞご了承ください。


昨日の日記を読み返して、既存のヴェルディ社員であれば常識として知っていないといけないものの、新たに加わった高島屋S.C.店のスタッフには説明が不十分だった点があったので、最初にその部分を書いておく。

〈酸っぱいコーヒーはお湯をかけても膨らまないことについて〉

日々、コーヒーを抽出していたら、ヴェルディの豆は挽きたてであることを前提とはするが、お湯をかけるとふっくらと膨らむことは承知しているものと思う。

これは、豆(粉)が膨らんでいるのではなく、焙煎によって生成された揮発成分が、お湯をかけて熱せられることにより豆(粉)の中から出てきて泡となり全体を持ち上げることにより膨らんでいるわけである。

従って、コーヒーの粉が膨張しているのではなく、あくまで揮発成分が泡になって全体を持ち上げているから膨らんでいるように見えるわけである。

と言うことは、お湯をかけて膨らむのは、コーヒー豆が焙煎をすることにより、中に含まれる物質がしっかりと生成され、香り・風味のもととなり、味が形成されるということになる。

一方で、新鮮かつ挽きたてであるにもかかわらず膨らまないということは、その揮発成分として、香り・風味になる成分が、まだ十分に精製されていないと言うことになる。

それでも、膨らまない極浅煎りは香りが良い、と思われるかもしれない。

たしかに、極浅煎りだと挽いた粉からは、酸味を伴った果実感のある香りを感じられる。

コーヒーは、熱を加えるプロセスによって、刻々と香りを変えていく。

そういう中で、ある意味「生焼け」状態が、一番果実系の香りが出ている瞬間と言えるかもしれない、が、芳香を楽しむだけであればそれが正解でも、飲料として見た場合、生焼けのコーヒーは攻撃的な味が残っている。

生焼けのコーヒーは、ステーキで言うところの「ベリーレア」な状態。

表面は茶色くなっているが、肉をナイフで切ったら、中からは血が滴っているような状態である。

もちろんベリーレアなステーキが好きな方も多いとは思うが、食の安全を考えた場合、リスクが高いことは否めない。

生肉と焼いた肉、同じ肉でも味は全く違うのだが、火を通すことによって肉の中のタンパク質をはじめとした成分が、熱によって変化して、生では味わえない旨味を作り出す。

コーヒーも同様なのだが、肉とコーヒーの違いとして、コーヒーは「豆」と言われるが、実際には「種」であるということを思い出してほしい。

種とは命の源。

その種が地に落ちて発芽して木になっていくものであり、ある種ものすごい力を持った小さな粒である。

そんな強い生命力を持った「種」は、一つ間違えれば攻撃的な側面も持っていると考えられるのではないだろうか。

そんな生命の源である「種」と、「肉」を同等に比較はできないが、コーヒーの持つ攻撃的な酸味(ヴェルディ的には酸っぱみ)は、その種の持つ攻撃的な側面が表面化しているものと私は解釈している。

そこで、私たちがすべき焙煎とは、種の持つ攻撃性を焙煎によってしっかりと抑えつつ、加熱におけるプロセスの中で、最善と思われるタイミングを掌握して焙煎することにより、【攻撃的な酸味(酸っぱみ)】を【美味しい酸味】へと導いていくことである。

同時に、生焼けのものと、しっかりと火が通ったもの、どちらの方が早くれ劣化するかと訊けば、恐らく常識を持った人なら誰もが「生焼けの方が早く劣化する」と答えるものと思う。

それらを考えても、ヴェルディでは安心・安全の観点からも、風味の観点からも、決して生焼けにはせず、芯まで火を通して良いコーヒーを作り上げるよう日々焙煎をしていることをしっかりと理解してほしい。

前置きが長くなってしまったので、そろそろ本題。

昨日に引き続き、「スペシャルティーコーヒーに適用可能な判定の尺度」から、昨日解説しなかった5~7について私の考えを述べる。

5,風味特性・風味のプロフィール

一般のコーヒーとスペシャルティーコーヒーを区別する最重要項目と評されている。

栽培・収穫・精選から焙煎・抽出まで一貫して理想的に行われれば、栽培地域の特性:Terroirが正しく表現されるもので、コーヒーが一般的なプロフィールしか持っていないか、或いは栽培地域の特性「Terroir」が純正に表現できているかを明確に評価する。

と、書かれている。

スペシャルティーコーヒーの代表的なものとしてCOE(カップオブエクセレンス)が挙げられる。

COEを極簡単に説明すると、生産国における品評コンテストで、国内品評を通過した豆が、国際審査員により100点満点中87点以上をつけたものに与えられる称号。

点数の高いものから順位がつけられオークションによって販売される。

そのCOEについて、以前ある有名なコーヒー業界の重鎮と話した時のこと、私もその方もCOEに対して同じような感想を持っていた。

それは、どんなに風味特性に特徴があると言っても、コーヒーはコーヒーでしかないのだから、COEに入賞するコーヒーの風味傾向は似通ってくる。

それにともない、「どの国のどんな品種をどのように栽培したか」ではなく、「COE審査員が高評価する風味にどれだけ近付けられたか」が重要になるため、国ごとの特性が薄れて、上位入賞豆は似通った味になってくる。

というもの。

ここで考えなくてはならないのが、COEに入賞しようと思ったら、スペシャルティーコーヒーの定義である地域特性=Terroirよりも、審査員の評価基準が優先されてしまうことになる。

話は全く変わるが、私は高校生時代から写真を趣味にしていた。

ある程度いろいろと撮り始めたら、雑誌などのフォトコンに出すようになってきた。

最初のうちは、純粋に自分が良いと思ったものを応募して、入選した・落選したに一喜一憂していたが、そのうち審査員の傾向が分かり始めたら、入選するための写真を作るようになり、応募すれば2/3くらいの確率で最低でも佳作はとれるようになっていった。

が、あるときアホらしくなって、応募をやめてしまった。

自己表現の写真ではなく、入選のための撮影に面白さを感じなくなったからである。

私にとっての写真は趣味だから良いのだが、コーヒー農園はビジネスであるため、入賞したら高く売れることもあり、Terroirよりも審査員が評価してくれる品種を植えて、入選しやすいような栽培・精選をすることに誰も異を唱えることはできない。

先日のSCAJ会場で、ある輸入業者の方と話をしていたときのこと。

コーヒーの品種について言えば「全ての品種(エチオピア、イエメンを除く)は、ティピカに通じる」と言っても過言ではないのに、そのティピカ種が現在最も絶滅危惧種になりつつあるという話題になった。

ティピカ種は、世界で流通しているほとんどのアラビカ種の原点とも言え、そこから派生・変異・掛け合わせが行われて、今の多くの品種になっている。

しかし、そのティピカ種は他の品種と比べると、味覚特徴に強烈なキャラクターがあるわけではなく、また、病害虫にも弱く栽培も難しく、生産性も良くないことから、多くの農園はよりキャラクターが強く、病害虫に強い品種であったり、栽培は難しくても高値で売れるゲイシャ種のような品種を栽培したがる。

しかし、最もコーヒーの原点に近く、素直でクリーンな味わいを出せるティピカ種は、逆を言うと際立った個性が出しにくいことから、もともとティピカを植えていた産地も他の品種へ変更していくため、どんどん少なくなっている。

これを時代の流れととるか、危惧すべきことと捉えるか。

また、精選方法においても、ウォッシュドはクリーンな味にはなるが、大きな差別化を図るには他のものとの差別化が難しいため、もともとウォッシュドしか精選方法として取り入れていなかった生産国でも、より香りを強く出せるナチュラルを取り入れる傾向にある。

そこで考えたいのは、産地の伝統的な品種と土壌や気候風土により長年受け継がれてきたTerroirがCOEやスペシャルティーコーヒーの台頭により、逆に損なわれてきているのではないかということ。

実は今日、私は東京へ出張していた。

ヴェルディが使っているブラジル産のコーヒーを仕入れさせて頂いている、セラード珈琲の創業35年記念イベントが、ブラジル大使館で開催され、その記念講演を聞きに行っていたのだが、そこで「フルッタメルカドン」をはじめとするアナエロビック(嫌気性発酵)を施した精選コーヒーはスペシャルティーか否かということも話題になった。

そして、セラード珈琲の方は明確に「アナエロビックはスペシャルティーではありません」と言い切った。

その理由は、Terroirよりも精選方法による特別な風味を優先しているから、ということであった。

ヴェルディでもフルッタメルカドンは販売当初から扱っており、これもコーヒーの楽しみ方の一つだと認識しているが、Terroirという面で言うと、決してスペシャルティーに分類されるべきではないと認識していたので、改めてその思いを確信にできた。

そして、先日の日記にも書いたが、今回のSCAJに出品されていたコーヒー生豆の中に占めるアナエロビックやインフューズドの割合は、昨年と比べても非常に高くなっており、中にはゲイシャ種をアナエロビックにするという暴挙に出ているところすらあった。

そうして考えると、スペシャルティーコーヒーの定義として最も重要と言っていることを実はスペシャルティーコーヒーの代表格と言えるCOEが壊している可能性すら否定できないということに気付く。

いったい世界のコーヒー市場は、どのような方向へ向かっているのか、そして、近年その名称だけが独り歩きして、ある意味実態が非常に分かり辛い「スペシャルティーコーヒー」というものの実像は何なのか? ちょっと長くなってしまったので、また次にそのあたりも書きたい。

スペシャルティーコーヒー-1

2023年10月24日 

今日の日記は、ヴェルディの従業員向けに私が考える「スペシャルティーコーヒー」について述べるものであり、必ずしも一般の方に読んでほしいものではないことを最初に申し上げます。

むしろ読まないで頂きたいほどです。

従って、現在の世の中で、特にアメリカの極めて資本主義的・利益最優先の経営をしているコーヒーショップおよび、それがどういうことかもわからず模倣している近年乱立するスペシャルティーコーヒーを前面に出しているコーヒーショップの考え方とは似て非なるものであり、当該事業者には否定される(と言うより、完全に敵に回す)内容であることをご理解の上、読んでみたい方だけ読んで頂ければ幸いです。

また、恐らく後編においては、「それならお客様にどう説明するのか」という部分は、私の本音であり、嫌な思いをされる方も少なくないと思われます。

特にスペシャルティーコーヒーを前面に出す同業者には、耐えがたいことを言う可能性もありますので、そういう方はお読みにならないことを強くお勧めいたします。

このような注意喚起にも関わらず、読んでしまって文句を言われても、私は一切応じませんので、どうぞご了承ください。


髙島屋店の営業もちょうど1週間経って、スタッフの皆は積極的にお客様とコミュニケーションをとって販売にあたっている中、何名かのお客様から「ここに並んでいる豆は、全てスペシャルティーコーヒーなのか?」という質問を受けたのだが、どうなのか?と、スタッフに訊かれた。

それに対して、その場で私がスタッフに説明をし始めたら、営業どころではなくなってしまう。

そこで、今日からの日記で説明するので読んでおくようにと言ったので、以下記載する。

そもそもスペシャルティーコーヒーとは何なのか?

まず、スペシャルティーコーヒーというものの定義については、下記SCAJ(日本スペシャルティーコーヒー協会)がHPに記載しているので、それを読んでいただきたい。

SCAJのWeb site

これを読んで、どう思うだろうか?

どこにも明確な判断基準は示されていない。

と言うか、コモディティコーヒー(日常的に飲用されるもので、他社製造のものでも代替可能なコーヒー)とは違うと言いつつ、その境界線は個々の感覚に頼っているように思える。

そこで、「スペシャルティコーヒーに適用可能な判定の尺度」の部分に書かれている各項目について私見を述べさせていただく。

1、「カップ・クオリティのきれいさ」

この項目は、要するにヴェルディが開業した当初からヴェルディの特徴として言っている「雑味がなく、後味がすっきりしている」ということだと解釈される。

ヴェルディ開業当初の20年前は、まだ「スペシャルティーコーヒー」という言葉そのものが、やっと出始めた時期であり、グァテマラなど中米の国でCOE(カップ・オブ・エクセレンス)が始まったころだったので、コモディティコーヒーとスペシャルティーコーヒーを区別するような環境ではなかった。

そこで、ヴェルディはバッハの田口護氏の教えに従い、【良い生豆】(田口護氏が良いと思った豆)を仕入れて、【ハンドピック】で、良い豆の中から本当に良い豆だけを選び(悪い味を出す豆を取り除く)【豆の芯までしっかり火を通しつつ、各々の豆に応じた適切な焙煎】をして【新鮮なうちに提供】することで、雑味なく後味のすっきりとしたコーヒーを提供してきた。

少なくともヴェルディのコーヒーは、どれをとっても決してカップ(抽出液)に雑味やトゲのある苦み、攻撃的な酸味(酸味と言うより酸っぱみ)のあるコーヒーは存在し得ないので、「カップ・クオリティのきれいさ」という点においては全てスペシャルティーの基準を満たしていると言える。

ただし、それは「生豆がスペシャルティーだから」というのではなく、「ヴェルディのクオリティーに対するポリシーとして」だと言うことを胸に刻んでほしい。

2、「甘さ」

ここで言う甘さとは、科学的に計測した豆に含まれる糖質の量ではなく、熟度(収穫の折に完熟したものを採っているかどうか)と均一性および、他の成分との相互関係における甘みと言われている。

一方で、【辛さのある苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等が有ると甘さを感じにくくなる。】と記載されているが、これは上記の「きれいさ」を遵守していれば、存在し得ないネガティブな風味特性なので、ヴェルディのコーヒーにおいては考える必要がない。

では、熟度と均一性はどうかと言うと、これこそ私が産地へ出かけてしっかりと農園を視察する理由の一つと言える。

当然、仕入れる豆全てをチェックできないが、仕入れさせて頂く輸入商社の現地で買い付けをする担当者が、農園に対してどのように指導しているのか、また、どのような基準で取り扱う豆を決めているのか、そのあたりのコンセンサスを現地でしっかりとることで、私が望むハーヴェスト(収穫)レベルを保っているものを扱っているかをチェックして、しっかりと仕入れに活かしている。

左から、まだまだ未熟な豆、真ん中が完熟、その右隣は熟度が高く甘みが強い可能性もあるが、均一性には欠ける。

その隣のブラックオリーブのようになっているものあたりからは、熟しすぎ。

ダメな収穫
かなりレベルの高い収穫
お手本のような収穫

一方で、どんなに素晴らしいポテンシャルを持った豆でも、焙煎で活かすことも殺すこともできることは、ヴェルディのスタッフであれば当然既知のことと思う。

ヴェルディでは、特に私がバッハグループを脱退した後は、田口氏(他人)に頼ることなく、自分の目で直接見て、人と接して、判断して、高いポテンシャルの豆を仕入れて、しっかりと火を通して甘みを引き出して提供している。

3、「酸味の特徴評価」

恐らく、アメリカ人が利益優先で考える【酸味】とヴェルディが主張する【酸味】は全く異質なものであり、利益を取るための【酸味】は、ヴェルディの定義で言うと【酸っぱみ】にあたる。

【酸っぱいコーヒー】を判断する最も分かりやすい方法は、焙煎後2週間以内のものをドリップで抽出することである。

ヴェルディの豆は、浅煎りであっても、お湯をかけたら美味しそうなハンバーグのようにきれいに膨らむ。

一方で、アメリカ人が利益優先で焙煎したコーヒーは、お湯をかけてもあまり膨らまず、3投目あたりからは、泡すら出なくなる。

では、「利益優先の焙煎」とは何なのか。

下の写真を見て頂きたい。

これは、同じ豆を8段階に分けて煎り止めして、それぞれ100粒ずつとったときの量である。

一番左は生豆、その後左から順に、下の写真の①~⑧と進んで行く。

焙煎を進めると、水分が飛んでいくのでだんだん重量は軽くなっていく。

コーヒー豆は体積ではなく重量で販売されるのが一般的なので、焙煎を深くするほど原価率は高くなる。

1ハゼ終了時点のものと、2ハゼ後半では、5~8%も重量が変わる。

飲食店において、原価率を5~8%下げると言うのは、よほどクオリティーを落とさない限り至難の業である。

が、焙煎を浅くすると、いとも簡単にそれが達成できてしまう。

ちなみに、上の写真の①~⑧の風味特性は下の図のような感じである。

俗に言うアメリカ資本主義を体現している「サードウェーブ」と呼ばれるジャンルのコーヒーは③あたりで煎り止めするのが一般的。

対してヴェルディは⑤~⑧で煎り止めている。

つまり、酸味ではなく「酸っぱみ・渋み・エグみ」が最高潮に達したところで煎り止めているのがサードウェーブの特徴と言えるのだが、先述のSCAJが言う酸味の定義には、こう書かれている。

反対に、刺激的な酸味、不快な印象度を与える酸味、爽やかさ・キレの無い酸味、劣化した嫌な酸味は、スペシャルティコーヒーには有ってはならない。

本来「有ってはならない」ネガティブな酸味(ヴェルディ的には「酸っぱみ」と表現している)があるにもかかわらず「スペシャルティコーヒー」を名乗っているのは、要するにスペシャルティーコーヒー協会のお偉方も儲けたいという意欲が旺盛であるため、サードウェーブ的な酸味(ヴェルディ的には酸っぱみ)を「良質でフルーティーな酸味」と言って消費者をごまかしている方が都合が良い上、「アメリカのすることは素晴らしい」という戦後日本の誤った意識を上手く利用していると言っても過言ではないであろう。

しかし、もしかすると、あの強烈で刺激の強い酸味(ヴェルディ的には酸っぱみ)を心から美味しいと思って焙煎している人もいるかもしれない。

コーヒーは嗜好品、誰がどんな味を美味しいと言っても、それを否定することはできない。が、ヴェルディにご来店下さるお客様の多くは「酸っぱいコーヒーは嫌」という方の方が「酸っぱいコーヒーが欲しい」と言う方より圧倒的に多く、特にサードウェーブ系のコーヒーは飲めないと言う方は少なくない。

なので、もしかすると、利益率を上げたいとか、アメリカ人が美味しいから、そうなんだろう、と言う考えではなく、心から美味しいと思って酸味の強い(ヴェルディ的には酸っぱい)コーヒーを作っている人もいるかもしれない。

そうであれば、その方には大変失礼なことを言って申し訳なく思う。

さらにもう一つ、原価率を落とす以外に、酸味の強い(ヴェルディ的には酸っぱい)コーヒーを作ってしまう要因があると思われるが、それについては後編で述べるので、場合によっては利益のためではなく、別の理由で酸味を強くしている可能性もあることは述べておく。

しかし、私の経験上、芯まで火が通っていない(新鮮にもかかわらず膨らまない)豆は、何杯か飲むと胃が痛くなるほど攻撃的なコーヒーと言える。

正直、あまり体に良いとは思えない。

人の口に入るものは、「美味しい」「好き」と言う前に「安全」が第一。

ヴェルディは、1日10杯飲んでも負担が少ないコーヒーを目指しているので、やはり体に対して攻撃的なコーヒーは作りたくない。

つまり、ヴェルディは、例え原価率が上がっても、決して自分が安全で、美味しいと思えないものは作らないし、その考えを間違えた焙煎はしない。

それをしてしまうと「本当に良いものをお客様に提供する」という私のポリシーを変えることになるので、そこだけは絶対に譲ってはならない一線である。

4、口に含んだ質感

これも、しっかりと芯まで焙煎できていれば、ほとんどの場合大丈夫なのだが、実はこの部分は抽出に左右されるところが大きい。

スタッフの皆には、しっかりと抽出技術を身に着けて、ふくよかでいて丸みがあり、香りが立ちながら、後味にキレのあるコーヒーを抽出できるよう不断の努力をして頂きたい。

と言うことで、けっこう長くなってしまったので、【5】以下については「中編」で解説したいと思う。

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