自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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珈琲のことなど

賛否

2023年11月26日 

芸大店は12月11日で閉店ということで、ランチメニューなどもだんだん絞り込んで行っているところだが、ヴェルディのランチメニューの中でも一番人気だった「カリープレード」は、昨日をもって完売。

これからの2週間は、あいがけカリーとキッシュランチという形での営業となる。

この数日は、カレーが食べられなくて残念と言って下さる方も多く、嬉しいような、申し訳ないような、残念なような・・・

とは言え、もう次の準備も進んでいるので、頑張ってやって行こう。

さて、先日より販売をしている「スマトラ・ナチュラル」も残りわずか。

しっかりボディ、ほのかな酸味、柔らかく丸い口当たりで、とても良質な美味しさを楽しめたが、次はものすごくキャラが濃い商品が限定で登場。

今月の月刊紙では「スイートフラワー」という名前で販売すると書いていたが、テストローストしたものを飲んだスタッフたちが「バナナの味」というものだから、名称変更して「スパイシーバナナ」にしてみた。

こちらは、インフューズドコーヒーと言って、収穫したチェリーを精選前に嫌気性発酵。

そのときに、スパイスやフルーツなどを一緒に入れて発酵させることにより、コーヒーに香り付けすると言う、ある意味「行くところまで行ってしまった」感のあるコーヒー。

ヴェルディ的には、やはりコーヒーそのものの風味を前面に出して行きたいところではあるが、こういうお遊び的面白さもお客様にお試しいただければと思い、恐らく最初で最後となるインフューズドコーヒーの提供ということになった。

スタッフの間でも賛否両論がるが、まずは飲んでみないと始まらない。

と言うことで、11月27日午前0時から通販では販売開始。

店舗では、芸大店は明日から、下鴨本店は火曜日から。

髙島屋S.C.店では、昨夜から一足早く販売を開始しているが、店内飲食をされるお客様が多いようで、皆さまコーヒーそのものを味わうというより、コーヒー業界の新たなチャレンジを楽しんでくださっている様子。

際物ととるか、楽しいお遊びととるか。

スタッフ内でも賛否分かれるところなので、全ての方のお口に合うとは決して言えないコーヒーですが、まぁ話のタネに是非一度お試しくださいませ。

フェアトレード-3

2023年11月24日 

【フェアトレード=公正な貿易】について書いてきたが、今日、髙島屋S.C.店のアルバイトさんから「結局ヴェルディはフェアトレードの商品を扱ってるのですか?」と訊かれた。

答えとしては、「認証としてのフェアトレードを受けているものは扱っていない。」というのが正解。

JASオーガニックにも言えることだが、JASという名称をつけるためには、農園段階でJAS認証を受けていても、国内の流通段階で一度でも輸入された形態の袋から小分けしたら、その時点で名乗れなくなるし、保管・焙煎設備についても、細かい規定があるので、JASを謡いたい場合は、かなりな資金的余裕が必要になる。

これは農園も同じで、一切化学肥料を使わず有機肥料だけで栽培していても、認証を受けるためには多額のお金が必要なので、中小零細農家では認証を受けることは難しい。(ウォッシングステーション単位で受けているところはあります)

フェアトレードも同様で、認証を受けるためには、それなりの費用が必要なわけで、当然フェアトレードの認証を出す団体は、収益を上げなくてはならないから、実質的に公平な貿易をしていても、認証を受けるためには余分な費用が必要となるため、認証を受けていない場合も多い。

と言うより、基本的にフェアトレードをしていても、認証は受けていないというのがほとんどではないかと思う。

なぜなら、真剣に農園を指導して、共に良いものを作って、それに見合う対価を支払おうという志を持っている人なら、その指導や農村の人たちの意識改革(子供の教育を含む)のために、多大な労力と資金を必要とするわけで、実質的にフェアトレードをしている人は、そういった本来必要とする部分にお金をかけた方が良いことをしっているから。

そのようなわけで、ヴェルディにおけるフェアトレードをどうしているかという部分は、実際に産地を訪問して、私が仕入れている輸出先が農園とどのような関係を築き、どういう仕入れをしているか見ているわけで、認証をとっていなくても、きちんとした取引をしているところから仕入れているので、名より実をとっているのが実情。

でも、やはり世の中的には、どこかの団体が認証を出しているものが正しくて、認証のないものは、信じられないという人も多いものだと思う。

そうなると、私を信じて豆を買って下さるか、誰かが認証したものだけを信じるか、ということになる。

ヴェルディの常連さんは、恐らく私を信じて購入して下さっているものと思うが、やはりお墨付きがないと不安な方も多いはず。

もっと努力して、第三者のお墨付きの有無にかかわらず、ヴェルディの出すものなら信じられる、と思って頂けるような店にしていかなくては、と思うのであった。

つづく

フェアトレード-2

2023年11月21日 

前回から書き始めたフェアトレード。

前提条件として、単一農園単位で輸出業者と取引ができる大農園は、そもそもフェアトレードの対象外ということを踏まえたうえで、アフリカやアジアにおける零細農園とフェアトレードをする難しさについて書いていきたい。

フェアトレードと言っても、クオリティーに関係なく大農園と同じ買い付け価格で買えばよいというものではない。

それなりの金額を出すのであれば、価格に応じたクオリティーが必要となる。

しかし、農作物は何もせずに品質が良くなるということは考えにくいので、当然品質を上げるためには労力をかけて丁寧に栽培して、完熟のものだけを収穫する必要がある。

日本人であれば、より高い価格をつけるのであれば、それなりに品質を上げる必要があるということは理解しているだろうし、そのために労力をかけて、あるいは設備投資をして、今まで以上に高い品質のものを作らなくてはならない上、今日頑張ったからと言って、明日レスポンスがあるというものでもないことは理解できるだろう。

特に農作物の場合は、年単位での仕事になってくる。

それを承知の上で、先行投資をして品質向上に努め、数年後に良い商品を品質に見合った価格で販売することを目指すわけである。

が、これは日本人だから、あるいは先進国と言われる国々の価値観だから実現可能なものであり、途上国と言われている国の人たちが、同じ価値観を共有していると思ってはいけない。

日本人でも、胆略的な人はいるが、比率としてアフリカの零細農家の人たちは、高いクオリティーを出すための努力をしたら、その年の収穫で労力に見合った報酬が得られなかった場合、その努力をしようと言う気持ちにはならない人が多い。

農作物というものは、今年何かをしたからと言って、いきなり目標のレベルに到達するというわけではなく、毎年毎年の積み重ねで土壌も変わるし、品質も向上する。

頑張ったのに、昨年よりちょっと良い程度の報酬しか得られないとなったら、その翌年もう一度同じ努力を使用という考えを持つ人は少ないと言っても良いであろう。

そんな中、もし単純にフェアトレードと言って、大農家に払うのと同じ金額を出してしまったら、今度は逆に彼らは仕事をしなくなってしまう恐れもある。

「同じことをやっていても、この人たちは高値で買ってくれる」と思ってしまい、余計な努力はしなくなるかもしれない。

それならまだマシな方で、いきなり普段より多くの収入を得てしまったら、働かなくても当面暮らしていけるから、働かなくなってしまい、農地が荒れてしまうということすらあり得る。

もし、本気でフェアトレードをするのであれば、現地の人たちの考え方から変える必要があり、さらに永続的に続けたいのであれば、子供のころからの教育を見直さなくてはならない。

また、良い品質のコーヒーを作るための農業的な知識と技術を持った人が帯同して、きちんとした指導をしなくてはならない。

そして、根気強く現地の人たちと一緒になって、そこで指導したことを【見ていなくても農園の人たちが自主的にやる】ようにしていかなくてはならない。

これには、そうとうな時間と費用がかかるわけで、単純に人道的な考えから、フェアトレードをしようと思っても、時間的にも費用の面でも、なかなかできるわけではない。相当な覚悟と根気が必要なことになる。

そんなことから、私が尊敬している仕入れ業者の方は、まず最も結果が表れやすい「収穫」の部分を収穫期には必ず産地へ赴き農家の人に根気よく指導している。

いかに完熟したものだけを摘み取るかが重要かということをしっかりと覚えこませ、完熟したものだけを収穫していたら、適当に収穫したものより高価になることを分かってもらう。

次のステップとして、日々の管理や土壌のことになっていくわけである。

しかし、それもその年に結果が出なかったら、なかなか前に進まないのが現実問題。

北風と太陽ではないが、完熟したものだけを収穫したら、より良い報酬が得られるということを分かってもらうところもあれば、未熟なものは突っぱね返して受け付けないことで、完熟チェリーだけを持ってこさせるウォッシングステーションもある。

いずれにせよ、「フェアトレード」と言えば聞こえは良いが、コーヒーの栽培の知識を持たず、生産国の人たちのものの考え方もよく理解せず、人道論だけで現地に乗り込んで行って、フェアトレードで仕入れようと思った場合、運が良ければ最初の一回は成功するかもしれないが、それを継続しようと思ったら、ものすごい知識と現地への理解と根気と覚悟が必要なわけである。

そして、それを実現している人たちは、特にフェアトレードと謳わず、「良いコーヒーを出したい」という狂気にも近い信念で、コーヒーを仕入れている一部の人かもしれない。

が、その人たちにとって、現地で品質を上げるよう指導して、良いものを適正価格で買い取り・売ることは自分の仕事と思っているので「フェアトレード」という表現をしないから、「フェアトレードの豆を欲しい」と言われても、そうは言えない可能性もある。

以前「人は、美味しいものを買うのではなく、美味しいと言われているものを買うものだ」という言葉で、ヴェルディの取引が断られたことがある。

それに似たものかもしれない。

次回、それでも難しいフェアトレードの実情について書きたいと思う。

フェアトレード-1

2023年11月20日 

先日、髙島屋S.C.店のスタッフから、こんな質問が届いた。

「お客様から、フェアトレードの豆はないのか?と訊かれましたが、フェアトレードの豆はありますか?」

恐らく、この質問をされたお客様は、素直に善意から、こんなことをお考えなのではないかと思う。

「一般的にコーヒー農家から輸出業者が買い取る価格が不当に安いため、農家の人たちが苦しめられている、人道的な観点から。農家の人にきちんとした代償を支払った豆を購入したい。」

普通に考えたら真っ当で、そうお考えになるお人柄は素晴らしいと思う。

ただ、実情はそんなに簡単なものではないのである。

先日、あるお客様から「おいしいコーヒーの真実」という映画のDVDを貸していただいた。

コーヒー生産国の事情を知らずに、この映画を見たら、その質問をされお客様のような気持になるかもしれない。

この映画で描かれていた世界は、ある意味正解で、ある意味全てを伝えているわけではないので、正解とは言えないもの。

例えば、三角柱を真上から見たら三角に見えるが、横から見ると四角に見える。

それを知った上で、真上からも横からも見せていれば良いのだが、真上からしか見ずに、「これは三角である」と断言してしまうと、誤った情報を与えてしまうこともある。

まず、前提条件として、コーヒー生産国の中でも、農園が価格の決定権を持っているところも少なくない。

有名なところでは、パナマのエスメラルダ農園なんて、農園を区画で割って、その区画ごとのオークションを行い、下手をすると1キロ10万円なんていう狂気じみた価格を要求するところだって存在する。

ある意味、大農園の豆を買いたたいて安価に仕入れるなんて話は、あまり聞いたことがない。

では、フェアではない価格で買い取られる可能性があるのは、どういったところかと言うと、小規模零細農家ということになる。

そして、小規模零細農家がメインの生産国というのは、主にアフリカやインドネシア、東ティモール、パプアニューギニアといったアジア・オセアニア地域にみられるもので、中南米のものは、ほとんどが単独農園から仕入れられるものなので、先の映画のようなことが起こるとは考えにくい。

さらに、アフリカと言っても、国によってシステムが違うので、ひとくくりにできないところがある。

つまり、コーヒー生産国の生産者は全ての人たちが虐げられていると考えるのは間違いで、中南米の農家などへ行くと、実はすごくリッチな生活をしていることだってあるし、アフリカにしてもケニアあたりの農園へ行ったら、家族一人が一台の車を持っているところだって少なくない。

一方で、エチオピアの零細農家などは、必ずしも多くの収入を得ているとは言えないが、現在のエチオピアは法律で収穫したチェリーの最低買取価格が決められている(一昨年に施行された法律)ので、不用意に安価で売買がしにくい。

そして、これがここ数年エチオピアの豆が高騰している原因の一つである。

それでもエチオピアの農家が貧困にあえいでいるのは、単に農園の面積が小さくて、収穫したもの全てを売っても、十分な収入を得られるほどの量が作れないということもある。

と言うわけで、ぱっと全体を見ても、フェアトレードという概念が必要な国・地域は限られてくる上、「コーヒー農家」と全体をひとくくりにはできないため、まずは、どの国の豆ならフェアトレードをする可能性があるかどうか、ということから考え、そこでフェアトレードが実現する土壌ができているかと言う点も見て行かなくてはならない。

そう書くと「フェアトレード実現の土壌とは?」という疑問が出てくるかもしれないが、このことを書き始めたら、またまた超長くなってしまうので、その点については、また次回個別の案件をもとに説明したいと思う。

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