自家焙煎珈琲 カフェ・ヴェルディ

カフェ・ヴェルディの気まぐれ日記

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担替え?

2023年7月5日 

もう夏至を過ぎましたので刻一刻と日の入りが早くなっていることなど微塵も感じさせない午後7時半の明るさです。

 

 

 

下鴨神社に関してはこれまで完全な早朝担でしたが、最近は夕暮れ時の美しさにも惹かれるようになりました。

 

朝よりも陰日向のコントラストが強く、ドラマチックです。

ひんやりと心地良い風が吹いて、まるで日の終わりを讃えるようにゆったりとした時間が流れています。

 

 

 

本殿の門は閉まっているかもしれませんが、夕刻のお散歩にでも通ってみてください。

日々の疲れが、すこーし癒えるかもしれません。

 

2週間後にはみたらし祭りが始まりますので、静かなお散歩をご所望の際はぜひお早めに。

 

 

今日は湿度の高い1日になりそうです。

冷たいデザートをご用意してお待ちしております。

ちょっと休憩にお立ち寄りくださいませ。

 

出来心と勢い

2023年7月4日 

このところ、自宅に戻ってからのデスクワークがあまりにも多くて、ちょっと精神的に余裕がないなぁ、と思っていたところ、先日久しぶりにブルックナーの交響曲など聴いてみたら、なぜか気分が落ち着いた。

なんか、精神的にざわついているときは、モーツァルトなんかの方が良いようなイメージだったが、あの長大なシンフォニー、しかも冷静に聞いたら不要とも思える繰り返しが逆に精神的な調和を与えてくれるのかもしれない。

もしかしたら、私はゲルマン系の思考回路を持った人間なにかも。

多分違うけど。

で、ブルックナーは交響曲や宗教曲は多数作ったが、オペラの作曲には至らず。

でも、ワーグナーを敬愛していたわけで、ブルックナーの曲調はワーグナーから影響を受けていると思える部分が少なくない。

そうなると、久しぶりにワーグナーが聞きたくなって、CDラックをあさったのだが、そう言えばLPではリングもオランダ人も持っているものの、CDだとタンホイザーとローエングリンとワリキューレしか持っていないことを思い出した。

しかも、タンホイザーに至っては、ちょっと劣化していてプレーヤーにかけてみたが、けっこう音飛びがしてしまう。

そこで、ネットで調べていたら、バレンボイムがワーグナーのオペラ全集を出していることを知り、ちょっと出来心で購入しようかと探してみた。

すると、もうこのCDは製造中止になっていて、売っているところも少なかったり、プレミアムがついて高かったり・・・・

でも、Amazonだと現在品切れながら、入荷予定有で、1万円ちょっとで買えることが分かった。

そこでもう、これは勢いでポチっとしてしまった。

で、今朝メールチェックをしていたら、このCDが「配達済み」になっているではないか!

最近、Amazonの配達員はインターホンを鳴らすこともなく宅配ロッカーに入れてしまうらしい。

もし、このCDを宅配ロッカーから取りだしたら、恐らく私は一日中CDプレーヤーの前から動かないと思ったので、宅配ロッカーへは行かず下鴨店へ。

今日は、ある意味一日オーディオの前にいても大丈夫なレベルしか絶対に終えなくてはならないタスクはなかったので、お昼過ぎまで下鴨で用事をして帰宅。

いよいよ宅配ロッカーに取りに行った。

34枚組のCD BOX!

それにしても、ちょっとスタローン似のバレンボイム。

私は一回だけ、パリ管と来日したときに、サンサーンスとラヴェルとスクリャービンのプログラムを聴きに行ったが、ともかく情熱的な人だと言う印象。

とりあえず、タンホイザーから聴き始めたが、ワーグナーってだいたい1つのオペラがCD3枚ものだから、まだまだ先は長い。

タンホイザーを聴いた限りでは、ちょっと傷んでしまっている私の愛聴盤、ショルティがコロをフューチャーしているものの方がしっくりくるのだが、ともかくワーグナーを一通り聴くには、とても良いBOXだと思うので、これからぼちぼち時間のある時に聴いて行こう。

らしさ

2023年7月3日 

月曜日の芸大店は、一週間の中でもお客様が少ない傾向にある曜日。

やはり週末開けは、あまり人が動かないのかもしれない。

そんな月曜日の今日も、けっこう穏やかな時間が流れるランチタイムだったが、お昼ごろにご来店下さったお客様から「ブログに書かれていたティピカを飲みたい」というリクエストを頂いた。

昨日書いたのは、パプアニューギニアのことだったので、早速抽出してお持ちしあたら「コーヒーコーヒーしているコーヒーだ」というご感想を頂いた。

これは的を得ているご感想だと、私的には嬉しいお言葉だった。

ティピカ種は、今流行りのゲイシャなどと比べると、ある意味地味だし、ものすごく強いキャラクターを持った豆と言うわけではない。

が、それ故にきちんと焙煎をすれば、本当にコーヒーらしいコーヒー、洗練の極みとも言えるコーヒーを作ることができる品種でもある。

一方で、最も原種に近い存在と言うこともあり、病害虫に対する耐性も乏しく、また生産性も高くはないので、苦労して栽培しても収穫量はそれに見合うほど多くはなく、キャラクターも強くないため、差別化を明確にし辛くCOEなどの入賞も難しい。

ヴェルディオープン当初は、こういった本当にコーヒーらしいコーヒーが好まれていたが、最近のスペシャルティブームの波は、「コーヒーらしさ」よりも「コーヒーらしからぬ」が偏重される傾向にあるため、ティピカを栽培する国や地域、農園が減少傾向にあると言っても過言ではない。

個人的に、パナマのボケテ地区で作られるティピカは、ブルーマウンテンを凌ぐクオリティだと思うのだが、最近はパナマと言えばゲイシャで、良質なパナマのティピカを探すのが難しくなってきている。

そんなティピカも、元をたどると「エチオピア在来種」が根源にある。

まぁ、現在市場で流通しているほとんどの豆は、ティピカまたはブルボンからの枝分かれなので、元をたどればほぼ同じなのだが、そのティピカの一つ上の階層にある「エチオピア在来種」というのが、なかなかの曲者。

世界中のコーヒー品種は、いったい何種類あるのか分からないが、もし、「エチオピア在来種」を遺伝子的に細かく分類したら、恐らくコーヒーの品種は爆発的かつ掌握不可能なほど増えるのではないだろうか。

一説には、世の中の知られる・知られざるを含め、コーヒー全品種の8割はエチオピアにあると言われるほど。そうしてみると、ティピカをコーヒーらしいコーヒーと言ってよいのか、あるいはエチオピアこそコーヒーらしいコーヒーなのか。

さらに、エチオピアでも、シダマ、イルガチェフ、ジマ、ハラー、レケンプティ、カッファ、ジマと全てキャラクターが違ってくる。

いったい何がコーヒーらしさなのだろうか?

実は、昨日の日記を書いたは良いが、そんなことを考えていると、品種のチャートが頭の中をぐるぐる巡りはじめ、なかなか寝付けなくなってしまった。

とは言え、それはエチオピアの良質なコーヒーを仕入れて、私なりの解釈で焙煎をした場合、地域によってキャラクターが違ってくるということで、エチオピア国内での焙煎度合い(めちゃくちゃ深い)と抽出方法(煮出し)で飲んだら、ヴェルディで焙煎するほど味に幅は出ないような気もする。

まぁ、なかなか何が正解とは言えないのだが、ともかく最近のコーヒー業界の傾向としては、少なくとも私が「コーヒーらしいコーヒー」と思っていたコーヒーから、「コーヒーらしくないコーヒー」へと世の中の主流が移り変わりなりつつあるように感じざるを得ない。

それを悲しむべきなのか、地球誕生以来止まることなく続いている世の中の移り変わりの一つであり、そういうものなのだと思うべきなのか。

多分絶対正解の答えは出ないので、「らしさ」をコーヒーに求めるのではなく、「ヴェルディらしいコーヒー」を追求するのが、一番なんだろうな、と思うことにした。

ティピカとカチモール

2023年7月2日 

昨日の夜話の会は、今までの中で最も雑談に近い内容だったような気がするが、逆にその分専門性が薄かったせいか、話の後の質問コーナーでは、非常に多くの質問を頂いた。

その中で、自分でも意識していなかったものの、ハッとさせられるものがあった。

パプアニューギニアの農園や輸出システムが非近代的であるということについて、これがもっと近代的になったら、よりクオリティーが安定するだろうか?という内容のご質問。

何も考えずに、思い浮かんだことをおこたえしつつ、やはりパプアは今のままの方が良いかもしれないと思ったこと。

昨年タンザニアへ行ったとき、TCB(タンザニアコーヒーボード)でタンザニアコーヒーについての説明を聞く機会をもらった。

ここでは、タンザニアコーヒーの生産地域ごとの比率や、輸出先のことなど、TCBの現地トップの方から、事細かく聞くことができた。

このとき、タンザニア北部のキリマンジャロエリアで作られているコーヒーは、ほとんどがブルボンかケント(インドで見つかったティピカの突然変異種)がメインと言っていた。

が、実際に農園で話を聞くと、最近植え替えたものや、新たに植えている木は、ほとんどが「コンパクト」だと。

コンパクトとは、現地で言われている品種のことで、一般には「カチモール」を指す。

カチモールは、ムンドノーボとハイブリッドティモールの掛け合わせなので、1/4はロブスタが入ったハイブリッド品種ということになる。

ただ、必ずしもハイブリッドが味的に劣るかと言うと、実は下手なティピカよりも風味特性が良いということもあるし、COE(カップ オブ エクセレンス)でも入賞するような豆もあるので、「ハイブリッド=低品質」ではないことは確か。

しかし、ヴェルディ開業当初のタンザニアと比べると、やはり風味が違ってきていることも確かで、現在限定珈琲として販売している コンゴ の方が、昔ながらのキリマンジャロの味に近いようにも思う。

ただ、TCBはブルボンとケントと公言しているのに、農家には新たに植えるものは生産性の高いカチモールを勧めているという矛盾も生じてしまう。

やはり、栽培の近代化や収益の最大化を図るようになったら、どうしても伝統品種よりも生産性が高く病害虫に強い品種へ移行してしまうということだろう。

一方、パプアニューギニアは、悪く言えば「遅れている」が、よく言えば「外部に染まっていない純粋さ」がるため、未だにティピカ種とアルーシャ種がメインになっている。

多くのコーヒーの木を見ていたら、それがティピカかハイブリッドか程度は区別がつくのだが、パプアの木は明らかにティピカ系。

生産性は悪いが、高生産性の木を植えていないのだから、現地の農家は比較対象がないので、これが普通と思って栽培を続けているわけである。

一方で、やはりハイブリッド系は、実のつき方(このときは、まだ開花状態だったので実はついていないが)がティピカに比べると多く、一本の木から採れる実の量も多くなる。

いろいろと考えてみると、もしかすると世界の生産国の中で、一番ティピカが残っているのはパプアかもしれないし、土壌のポテンシャルを考えると、パプアのティピカはものすごい可能性を持っているようにも思う。

そうしてみると、パプアの生産現場や輸出入を取り仕切る現場で近代化が進み、品質と輸出が安定したら、より良いコーヒーが手に入るように思う反面、そうなったら、一気にティピカの比率が下がってしまうかもしれない。

何となく、ティピカという個性は弱いが本当にコーヒーらしいマイルドコーヒーと言える品種がしっかり守られていくことと考えたら、パプアにはこのままでいてほしいような。

まぁ、消費国のわがままかもしれないが、ちょっと変な気分になった夜であった。

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